「取り組んで参ります」の意味とは? 使い方も解説(例文つき)
「取り組んで参ります」は、ビジネスシーンにおいてよく使われる言葉です。しかし、改めて意味を説明するとなると自信がない人もいるでしょう。この記事では、「取り組んで参ります」の意味や使い方を解説。また、使用上の注意点や言い換え表現も紹介します。
ビジネスシーンでよく見聞きする言葉の1つに、「取り組んで参ります」があります。意味はなんとなく分かっても、適切な使い方を把握できていない人はいるかもしれません。
そこでこの記事では、「取り組んで参ります」の意味や使い方について、例文を交えて解説。また、使用上の注意点や言い換え表現も紹介します。
「取り組んで参ります」の意味
まずは「取り組んで参ります」の意味を確認しましょう。「取り組む」とは、辞書によると以下の意味を持ちます。
とり‐く・む【取(り)組む】
[動マ五(四)]
1 互いに組み合う。とっくむ。特に、相撲で、勝負をする。「横綱と―・む」「がっぷり四つに―・む」
2 全力で事にあたる。「新しい研究に―・む」
3 手を取り合う。
(『デジタル大辞泉』小学館)
「取り組んで参ります」という場合の「取り組む」は2の意味です。つまり「取り組んで参ります」とは「全力で事にあたっていきます」という意味。
また、「取り組んで参ります」は、「取り組む」に謙譲の補助動詞「参る」と丁寧語「ます」がついた丁寧な表現なので、目上の相手にも使えます。
「取り組んで参ります」の使い方と例文
ビジネスで「取り組んで参ります」が使えるシーンとしては、主に以下が挙げられます。
- 重要な仕事や役割を任された時
- 決意を表明する時
- 会社の方針を表明する時
個人や会社として一生懸命頑張ります、というニュアンスを込めて使われることが多いでしょう。以下に例文をいくつか示します。
例文
・「この度はプロジェクトリーダーにご指名いただきありがとうございます。ご期待に沿えるよう、プロジェクトの成功に向けて一生懸命取り組んで参ります」
・「これからもチームに貢献できるよう、業務改善に取り組んで参ります」
・「今後もお客さまにご満足いただけるよう、弊社一同サービス向上に取り組んで参ります」
「取り組んで参ります」を使う時の注意点
「取り組んで参ります」を使う時は、以下の点に注意しましょう。
(1)何に取り組むのか示す
「取り組んで参ります」は、頑張りたい気持ちを表すのに便利な表現です。ただ、具体的に何に取り組むのか示さないと、相手に言いたいことが伝わりにくくなってしまいます。以下の例を見てみましょう。
悪い例:「チームに貢献できるよう、一生懸命取り組んで参ります」
良い例:「チームに貢献できるよう、スキル向上やチーム運営に一生懸命取り組んで参ります」
悪い例では何に取り組むか具体的に示されていないため、聞いた側は「頑張りたいのは分かるけど、何をしてくれるの?」と疑問に思うかもしれません。
一方、良い例では何に取り組むか明確に示しているため、今後やろうとしていることを聞き手にしっかりイメージしてもらえるでしょう。
(2)表記は「取り組んでまいります」が一般的
「取り組んで参ります」の「参ります」は、補助動詞です。
補助動詞とは、他の動詞(この場合は「取り組む」)とセットで使われ、本来の意味が薄れた動詞のこと。補助動詞は、ひらがなで表記するのが一般的です。
「取り組んで参ります」でも間違いではありませんが、「取り組んでまいります」の方が違和感は少ないでしょう。
「取り組んで参ります」の言い換え表現
「取り組んで参ります」は便利な表現ですが、何度も使うとくどい印象を与えてしまいます。そこで、ここでは「取り組んで参ります」と似た意味を持つ言い換え表現を紹介します。
(1)「努めてまいります」
「努める」とは、「精を出して仕事をする。努力して事を行う(出典:『デジタル大辞泉』小学館)」という意味。「全力で事にあたる」を意味する「取り組む」と似たニュアンスを持ちます。
そのため、「取り組んで参ります」は「努めてまいります」と言い換えることが可能です。
(2)「精進してまいります」
「精進」には、「一つのことに精神を集中して励むこと。一生懸命に努力すること(出典:『デジタル大辞泉』小学館)」という意味があります。
「精進してまいります」は、新しいことや大きなことに取り組む際の決意表明として使われることが多いフレーズです。
(3)「身を入れてまいります」
「身を入れる」には、「一生懸命する」という意味があります。
集中して取り組もうという気持ちを表したい時、「取り組んで参ります」の代わりに「身を入れてまいります」も使えます。
「取り組んで参ります」は決意表明に使える言葉
「取り組んで参ります」は、重要な役割を任された時や企業の方針を示す時などに使える言葉。「一生懸命やっていく」という前向きな気持ちを表現できます。
ただし、何に取り組むのか具体的に示さないで「取り組んで参ります」だけ使うと、言いたいことが伝わりにくい文章になってしまいます。
どのようなことに取り組むのか明確に示した上で「取り組んで参ります」を使い、相手にとって分かりやすい表現となるよう意識しましょう。
(にほんご倶楽部)
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