「新天地でのご活躍を」の意味や使い方は? 例文・言い換え表現を解説
「新天地でのご活躍を」は、転職や退職、部署異動をする相手に対する別れのあいさつとして使える言葉です。正しい意味や使い方を知って、気持ち良く送り出してあげましょう。
「新天地でのご活躍を」は主に 自分の上司や同僚などが転職や退職、部署異動する際にお別れのあいさつとして使用する言葉です。
社外でも得意先の担当者が異動する時などに使える便利な言葉なのですが、正しい使い方を理解できていない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、「新天地でのご活躍を」の意味や使い方、例文を紹介します。
「新天地でのご活躍を」の意味とは
「新天地でのご活躍を」という言葉の中には、「新天地(しんてんち)」と「ご活躍(かつやく)」という単語が含まれています。まずはそれぞれの意味について見てみましょう。
まずは新天地の意味から紹介していきます。
しん‐てんち【新天地】
新しい世界。新しい活躍の場所。「—を求めて海を渡る」出典:『デジタル大辞泉』(小学館)
「新天地」は「新」と「天地」に分けることができます。まず「新」は新しい何かが始まってからまだ時間がたっていない状態や、今までに見られなかった面や性格が認められる様子を指します。
仕事であれば、新しい会社、新しい部署などを指し、プライベートであれば、新しい引っ越し先といった意味でも使用することができます。
次に「天地」は、場所の他に、荷物や書物の上下という意味があります。荷物の場合だと「天地無用」といって、「荷物を上下逆さまにしてはいけない」という意味で使います。
そして「新」と「天地」をつなげた「新天地」には、新しい世界、新しい活躍の場所、新たに生きる場所という意味があります。
次に「ご活躍」の意味を紹介していきます。
ご活躍
読み方:ごかつやく
別表記:御活躍
「活躍」に丁寧の「ご」をつけた表現。相手の活発な行動、それによる成果などを敬っていう語。出典:『デジタル大辞泉』(小学館)
「新天地」と「ご活躍」の意味を組み合わせると、「新たな場所で、注目を浴びるような素晴らしい活躍をして、業績や成果を」という意味になります。
転職、転勤、部署移動などの、新しい環境へ移る人に送るあいさつの言葉として使用されるのが一般的です。
「新天地でのご活躍を」の使い方と例文
「新天地でのご活躍を」という言葉だけではあいさつとして成立しません。例えば「よいお年を」は近しい関係の人であればあいさつとして使用できるのですが、本来は「よいお年をお迎えください」が正しいですよね。
「新天地でのご活躍を」の場合は、「お祈り申し上げます」を付け加えるのが一般的です。特に上司や得意先の担当者へのあいさつに使用する場合は「新天地でのご活躍をお祈り申し上げます」が丁寧な表現となります。
例文
・「○○部長、本社へのご栄転おめでとうございます。10年にわたりご指導いただきまして、心より感謝申し上げます。○○部長の新天地でのご活躍を心からお祈り申し上げます」
・「いつもお世話になっております。この度は退職されるということで大変驚いております。○○さまのおかげで、私も仕事を滞りなく進めることができました。あらためて御礼申し上げます。○○様の新天地での益々のご活躍をお祈り申し上げます」
「新天地でのご活躍を」は、同僚や目上の人だけでなく社外の人にも使える言葉となります。
「新天地でのご活躍をお祈り申し上げます」だけの簡素な内容ではなく、その人との思い出やお世話になった出来事など具体的なエピソードを交えるとより好印象です。
「新天地でのご活躍を」を使う時の注意点
「新天地でのご活躍を」を使用する時に注意しなければならないのは「ご活躍を」の後に続く言葉です。その使い方や相手を間違えると失礼にあたる場合もあるため、注意点をチェックしておきましょう。
(1)適切な表現を使う
「新天地でのご活躍を期待しています」という表現は間違いではないのですが、「期待しています」や「頑張ってください」という表現は上から目線な表現になってしまいます。
そのため、上司や得意先の担当者など目上の方に使うには不適切な表現となります。「お祈り申し上げます」や「お祈りしています」などの言葉の方が目上の方に使うには相応しいでしょう。
(2)使ってはいけない場合もある
「新天地でのご活躍を」は使う場面を間違えると、相手に不快感を与えることになります。ここでは「使って良い場合」と「悪い場合」について解説します。
使って良い場合
「新天地でのご活躍を」を使っても良い場合は、新しい場所が明確に決まっており、こちらもそれを分かっている時です。
新天地には「新しく活躍ができる場所」とういう意味も含まれているため、新しい場所が決まっていて、しかも前向きに移動できる場合にのみ「新天地」という言葉が使えるのです。
使ってはいけない場合
「新天地でのご活躍を」を使うのが良くない場合は、新しい場所を把握していない時や、後ろ向きな気持ちで移動する時です。
後ろ向きな気持ちとは、例えば左遷やけが、病気、解雇など本人が納得した形でない時です。そんな時に「新天地でのご活躍を」を使ってしまうと、皮肉や嫌味と取られて、あまり良く思われない可能性があるので注意しましょう。
「新天地でのご活躍を」の言い換え表現
誰かを送り出す時のあいさつやメッセ―ジで「新天地でのご活躍を」という言葉が頻繁に使われるため、他の人と同じになってしまい困ることがあります。
そんな時には、言い換え表現を使って他の人と言葉が被らないようにしましょう。
(1)「新たな勤務地でのご活躍をお祈り申し上げます」
上司や目上の人が、転勤など、住所の変更を伴う異動の際に使用する言葉です。
「新天地」という言葉が使いにくい場合には「新たな勤務地」「新たな環境」「新たな職場」など、その人の行動に合わせて使い分けると良いでしょう。
(2)「益々のご健康とご活躍をお祈りいたします」
手紙やメールなどの結びの言葉として使用されるのが「益々のご健康とご活躍をお祈りいたします」です。健康という言葉を使用する場合は、相手が健康であることが前提です。
相手の健康状態が明らかでない時には使用を控えましょう。
「新天地でのご活躍を」に対する返事
ここまでは送る側の「新天地でのご活躍を」の使い方などについてご紹介しました。送られる側はどのように返事をするのが正しいのでしょうか。
ここからは、「新天地でのご活躍を」に対する正しい返事の例をご紹介します。
例文
・「新天地でも日々精進してまいります」
・「おかげさまで新天地での活躍の場をいただきました。皆様のご期待に応えられるよう頑張ります」
「新天地でのご活躍を」に対しては、正確に意味を理解した上で返事をすることが大切です。
「精進してまいります」の使い方について例文を交えながら解説します。
ビジネスコミュニケーション指導に従事する大部美知子さんに、「ご期待に添えるよう」の意味や使い方を教えてもらいました。
「新天地でのご活躍を」は相手を送り出す時に使える言葉
「新天地でのご活躍を」は、転職、部署移動、転勤により新たな場所に移る人を送り出す言葉です。それを転職などという言葉ではなく「新天地」と表現することによって、「新たな場所で活躍してほしい」という期待が込められているのです。
それだけに、使い方や使う場面を間違ってしまうと相手に不快な思いをさせてしまいます。
今回ご紹介した「新天地でのご活躍を」の意味や使い方を理解し、お世話になった人を送り出す時に正しい使い方ができるようにしておきましょう。
(#にほんご倶楽部)
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