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「構いません」は正しい敬語? 「結構です」「大丈夫です」との違いを解説

松岡友子(コミュニケーションマナーアドバイザー)

「構いません」は敬語のイメージがありますが、ビジネスシーンで上司やお客様、目上の人に使っても問題ないのでしょうか? 今回は、コミュニケーションアドバイザーの松岡友子さんに「構いません」の意味と使い方、「結構です」「大丈夫です」などの似ている言葉との違いを解説してもらいます。

今回のテーマである「構いません」という言葉は、使うのが難しいと感じる人が多いかもしれません。

それは「構いません」と言う時の表情や言葉のトーンによっては、少し冷たそうに聞こえたり投げやりに聞こえたりしてしまうからでしょう。

今回は、「構いません」の使い方やおすすめの言い換え表現を解説します。

「構いません」は正しい敬語?

まず「構いません」はどのような意味なのか、辞書を調べてみましょう。

大辞林第4版で「構う」を調べてみると、関心をもつ。気にかける。関係がある。とあります。

また、「構わない」は差し支えない。気にしない。の意であるとなっています。

つまり、「構いません」は「差し支えありません」「気にしません」という意味。

私たちが日常的に使っている言葉で分かりやすく言い換えれば「良いです」「OKです」の意味になるでしょう。

「構いません」は、日常会話で以下のように使います。

「構いません」の使い方

・完成度が高ければ、どれだけ日数が掛かっても構いません。

・どれだけ日数が掛かっても構いませんので、完成度の高いものをお願いします。

上記のケースでは、完成度が高ければ日数は気にしない、問題にしない。つまり、日数よりも完成度を優先するという気持ちが表れています。

完成度も日数も大切にしたい気持ちはあるものの、そこには優先順位がついている場合、「○○で構いません」と相手を許容するニュアンスがあることが分かります。

そのため、「構いません」は一見丁寧な言葉に聞こえますが、これ単体ではどんなシーンでも使える正しい敬語とは言い切れません。

詳しくは後述しますが、「構いません」を目上の人に使用する場合には、お礼や相手を気遣う一言を添えるなどの工夫が必要です。

「構いません」の言い換え表現(例文あり)

「構いません」を目上の人に対して使う時は、注意しないと失礼な印象を与える場合も。

より丁寧な表現をしたいなら、以下のような言葉を選ぶと良いでしょう。

(1)差し支えない

「問題ない、OKです」と丁寧に伝えたい場合「差し支えない」を使うのがおすすめ。

例文

・商談を15時からに変更する件は、差し支えありません。

・会議を途中退出しなければならないのですが、差し支えないでしょうか。

また、こちらから許可を願い出る場合には「差し支えなければ」を文頭につけることもできます。

・差し支えなければ、この方法を試してみてもよろしいですか。

(2)問題ない

あるいは「問題ない」を使ってシンプルに表現してみてはどうでしょうか。

シンプルな表現が、必ずしも失礼な言い方とは限りません。「問題ない」に「ございません」をつければ、ビジネスシーンにおいて誰に対してでも使用可能な表現になります。

例文

・今年度はこのスケジュールで問題ございません。

「構いません」と「結構です」の違い

「構いません」の他に「結構です」という言い方があります。

「結構」の1つ目の意味は「素晴らしくて難点がない」ということです。「この度は結構なお品をお送りいただき恐縮でございます」という場合はこの意味で用います。

そして2つ目に「満足できる状態」を表すことから「報告書はその書式で結構です」などと使います。

3つ目には「それ以上を必要としない、十分である」という意味にも発展し「コーヒーのお代わりはいかがですか」「もう結構です」とも使うことができるのです。

「結構です」が難易度の高い言葉と思ってしまうのは、特にこの3つ目の意味で使う場面ではないでしょうか。

「もう結構です」と断ると「もう十分満足だから」というよりも、満足いかないがために「もう嫌だ」のように聞こえるため、使うのを躊躇してしまうのだと思います。

そして「目上の人に使っても良いのだろうか」「上から目線で失礼にならないだろうか」と心配になってしまうのです。

基本的に、「結構です」は目上の人に使って問題ない言葉と言えます。しかし、失礼なニュアンスにならないように注意すべき点があります。

「結構です」を使う時の注意点

では、「結構です」を目上の人に対して使う時、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。

まず、対面で用いる場合には、声や表情をうまく味方につけましょう。そして、ちょっとした言葉を添えてみるのです。

例文

「麦茶のお代わりはいかがですか」「いえ、たくさんいただきましたので、結構です。ありがとうございます。おかげさまで汗が引きました」

例文のようにお礼の言葉などを添えるのに加えて、十分満足したことを声のトーンや表情で伝えてみてください。そうすれば、お断りしても失礼になりにくいです。

メールでも、お礼や満足したことが伝わる言葉を添えるのがおすすめです。

「構いません」と「大丈夫です」の違い

もう1つ「構いません」と似た言葉に「大丈夫です」があります。筆者もよく用いる言葉ですが、使い方には注意しなければいけないと感じています。

大辞林第4版によると「大丈夫」の本来の意味は「危険や心配のないさま」「まちがいがないさま」です。

しかしそこから「近年、若者を中心に使われる」と但し書きをした上で「婉曲的に拒否したり、辞退したりするさま。結構」という使われ方が紹介されています。

そのため、「明日の飛行機の予約は10時で大丈夫ですか」「はい、それで大丈夫です」という答え方は、やや若者らしい印象を抱かれる可能性があります。

そのため、ビジネスシーンでは「構いません」「結構です」を使う方がふさわしいと言えるでしょう。もしくは、「問題ございません」などのシンプルな表現でもOKです。

例文

「明日の飛行機の予約は10時でよろしいですか」「はい、それで構いません。ありがとうございます」

この場合も、相手を許容する失礼なニュアンスで受け取られるのを避けるため、「ありがとうございます」などのお礼の一言を加えるのを忘れずに。

参考記事はこちら▼

「大丈夫です」は上司に使える言葉? 正しい敬語の言い換え表現を解説します。

「OKです」「大丈夫です」から卒業しよう

「構いません」は、使い方を誤ると失礼なニュアンスに取られかねない、少し難易度の高い言葉です。

もし使い方に迷うようであれば、「問題ございません」などのシンプルな表現を選ぶと良いでしょう。

そうすることで、自然と「OKです」や「大丈夫です」から卒業できて、スマートな言葉の使い手になれると思います。

(松岡友子)

※画像はイメージです

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