「ご返事」と「お返事」の違いは?
ビジネスシーンでもよく使う「返事」というワード。メールを打ったり対話をしたりする中で、「ご返事」「お返事」どちらが正しい表現なのか迷ったことはありませんか? 今回は国際おもてなし協会の直井みずほさんに、「ご返事」「お返事」に違いを解説してもらいます。
相手に返事をもらいたい時、また返答する時、「ご返事いただけますでしょうか」「後ほどお返事いたします」と言いますが、「ご返事」「お返事」はどちらが正しいのでしょうか?
今回は、「ご返事」「お返事」の違いや正しい使い方を紹介します。
「ご返事」と「お返事」はどっちが正解? 違いは?
結論から言うと、「ご返事」「お返事」は、「返事」の前に接頭語「ご」「お」をつけた丁寧な言い回しで、どちらも正しい言葉です。
違いは、音読みの言葉につく「ご」なのか、訓読みの言葉につく「お」なのかという点です。
「ご返事」は漢語(音読みの言葉)
基本的に「ご」の後ろには、漢語と呼ばれる音読みの言葉がつきます。
「ご」がつく言葉の例として、ご集合、ご多忙、ご体調、ご決定、ご連絡などがあります。
「お返事」は和語(訓読みの言葉)
「お」の後ろには、和語と呼ばれる訓読みの言葉がつきます。
「お」がつく言葉の例としては、お集まり、お忙しい、お決まり、お知らせなどがあります。
「ご返事」「お返事」どちらも間違いではない
『大辞林 第四版』(三省堂)で調べてみると、「返事」は、
「かえりごと」の漢字表記「返事」を音読みした語
と記載されています。
つまり「返事」という言葉は、「かえりごと(かへりごと)」という和語に漢字を当て、それが「へんじ」という音読みの和製漢語となったと考えられます。
ほとんどの言葉は、続く言葉が音読みか訓読みかで、前に「ご」か「お」のどちらがつくかが変わりますが、そういった経緯を持つ「返事」は、「ご返事」「お返事」の両方を用いても問題はないといえるでしょう。
自分が返事をする場合も「ご」「お」をつけていい?
自分の行為に「ご」や「お」をつけていいものか、悩むこともありますよね。
「ご返事」や「お返事」は、自分が返事をする時に使っても問題ありません。
その場合、自分の行為について用いるので「謙譲語」になります。へりくだることで、相手を高める働きがあります。「ご返事」「お返事」以外の言葉も謙譲語にそろえるよう気をつけましょう。
また、丁寧に伝えようとするあまり、「ご」や「お」を使いすぎると回りくどい印象を与えますので、多用はしないように気をつけましょう。
よく使う言葉だからこそポイントを押さえる
ビジネスでは、相手とやりとりをする中で、相手の問いかけに答えたり、相手に返答をもらったりするシーンが少なくありません。
普段何気なく使っている言葉かもしれませんが、その正しい使い方を知り、相手に安心感や気持ち良さを与えながら言葉を交わし合えるといいですね。
(直井みずほ)
※画像はイメージです