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「お力添え」の意味とは? 正しい使い方と例文を紹介

直井みずほ

ビジネスシーンでよく使われる「お力添え」という言葉ですが、正しい使い方を知っていますか? 今回は、国際おもてなし協会代表理事・直井みずほさんに、「お力添え」の使い方や例文、類語を教えてもらいます。

仕事をしていると、周りの人の力を借りたい・助けてもらいたい・協力をお願いしたい……といった状況に出くわすことはありませんか?

そんな時に使われるのが「お力添え」という言葉。ビジネスシーンで見聞きすることも多い言葉ですが、正しい使い方をご存じでしょうか。

今回は、「お力添え」という言葉の意味や正しい使い方について解説します。

「お力添え」とは?

まずは、「お力添え」という言葉の意味を見ていきましょう。

「お力添え」の意味

「力添え」とは、『広辞苑 第七版』(岩波書店)によると「力を添えて助けること。援助」とあります。

そこに、丁寧さや敬意を加える働きのある「お」を付けた言葉が「お力添え」です。

つまり「お力添え」とは、「人からの手助けや援助に敬意を込めた言葉」といえます。

「お力添え」は、相手への敬意が表れた言葉ですので、目上の相手やお客さま・お取引先などに対して使うことができます。

「お力添え」と「尽力」の違いは?

「お力添え」に似た言葉として「尽力」がありますが、この2つは使い方に違いがあるので注意が必要です。

「尽力」は、『広辞苑 第七版』(岩波書店)によると「あることのために力を尽くすこと。骨を折ること」と説明されています。

「尽力」は「努力をすること」と言い換えることができるでしょう。

つまり、「お力添え」は目上の相手からの援助や手助けについて使う言葉、「尽力」は「尽力いたします」といったように自分の行いについて使う言葉という違いがあります。

ただし、目上の相手や取引先が何か特別に骨を折ってくれた際、「この度はご尽力いただきまして誠にありがとうございます」と感謝の意を伝える場面では使うことがあります。

この時は「尽力」の前に、相手への敬意である「ご」を付けることを忘れないよう注意しましょう。

「お力添え」の使用シーンと例文

実際に、「お力添え」はどんな時に使えるのか、具体的なシーンと例文を紹介します。

(1)助けをお願いする時

誰かに手伝ってほしい・助けをお願いする時は、以下のように使うことができます。

例文

・お忙しい中大変恐れ入りますが、○○さまのお力添えを賜りますようお願い申し上げます。

・この度は、ぜひ○○さまのお力添えをいただきたく、何卒よろしくお願い申し上げます。

(2)助けに対して感謝する時

誰かから手助けしてもらったことに対して、感謝を伝える時にも使うことができます。

例文

・○○さまにおかれましては、多大なるお力添えを賜りまして誠にありがとうございます。

・○○さまをはじめ、皆さまのお力添えに深く感謝いたします。

(3)未来に(続けて)助けをお願いする時

これからも引き続き助けをお願いしたい時には、以下のように使うことができます。

例文

・今後とも変わらぬお力添えのほど、よろしくお願い申し上げます。

・これからも引き続き、お力添えいただきますようお願い申し上げます。

「お力添え」を使う時の注意点

「お力添え」は、「相手からの手助けや援助」という意味なので、自分の行為については使わないようにしましょう。

例えば「私がお力添えさせていただきます」という使い方は間違いです。

目上の人に対して「私が力を貸します」と伝えたい時には、「お手伝いいたします」「ご協力いたします」「ご支援いたします」と伝えると良いでしょう。

「お力添え」の類語と使い分け

最後に、相手の手助けや援助について敬意を込めて表現する言葉である「お力添え」と似た意味で使われる言葉をいくつか紹介します。

それぞれシーンごとに適切な使い方があるので、ニュアンスの違いとともに例文も見ていきましょう。

「ご助力(じょりょく)」

「助力」は、「力を添えること。手助け。加勢」という意味を持つ言葉です。

「ご助力」は「お力添え」と同じく「手助けすること」の意味を持ち、基本的には「お力添え」と同様に使うことができます。

「お力添え」は和語、「ご助力」は漢語という違いがありますので、一般的に「お力添え」は話し言葉として、「ご助力」は書き言葉として使われる傾向があります。

会話の中で柔らかく伝えたい時には「お力添え」を、文書でかしこまって伝えたい時に「ご助力」を使うと良いでしょう。

例文

・助けをお願いする時
この度の業務に際し、○○さまのご助力をいただけませんでしょうか。

・助けに感謝する時
この度は、ひとかたならぬご助力を賜り心から感謝申し上げます。

・未来に/続けて助けをお願いする時
今後ともご指導とご助力を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。

「ご支援」

「支援」とは「支え助けること。援助すること」という意味があります。

「ご支援」は、お力添えと同じように「手助けすること」の意味を持ちますが、「支える」といったニュアンスがより強くなります。

そのため、相手からより幅広く全面的な手助けをしてもらう時に使うと良いでしょう。

例文

・助けをお願いする時
大変勝手なお願いで誠に申し訳ございませんが、○○さまのご支援を賜れませんでしょうか。

・助けに感謝する時
今回のプロジェクトにおきまして多大なご支援を賜り、誠にありがとうございました。

・未来に/続けて助けをお願いする時
今後とも変わらぬご支援のほどよろしくお願いいたします。

「ご協力」

「協力」とは、「ある目的のために力を合わせて取り組むこと」を意味します。

「ご協力」は、「助ける」というよりは「一緒に行う」というニュアンスの言葉です。

「お力添え」よりも手助けの程度が低い場合に使うと良いでしょう。

例文

・助けをお願いする時
携帯電話はお切りくださいますよう、ご協力のほどよろしくお願いします。

・助けに感謝する時
皆さまのご協力に深く感謝いたします。

・未来に/続けて助けをお願いする時
弊社の益々の発展に向け、引き続き社員皆さまのご協力をお願い申し上げます。

「ご援助」

「援助」とは「助けること。助勢」を意味する言葉。

「ご援助」は、「救う・手を差し伸べて助ける・力を貸す」などの意味を持つ「援」と、文字通り「助ける」という意味の「助」という2文字から成る言葉。

「救う」という言葉には、「危機的な状況や苦しい境遇などにある人に力を貸し、そこから逃れるように助ける」というニュアンスがあります。

そのため、「お力添え」よりも「手助け」の程度が重く、より困難な状態の時に使うと良いでしょう。

例文

・助けをお願いする時
大変心苦しいお願いではございますが、○○さまのご援助をいただけませんでしょうか。

・助けに感謝する時
この度の未曾有の事態に際し、皆さまの甚大なご援助を賜り深く感謝申し上げます。

・未来に/続けて助けをお願いする時
この危機的状況を打破するためにも、引き続き皆さまからのご援助をお願い申し上げます。

「お力添え」を正しく使って丁寧にお願いしよう

ビジネスシーンでは、周りの人からの力を借りなければスムーズにことを進められない場面が多々あります。

お願いをする時は、相手が気持ち良く力を貸してくれるよう、丁寧な言葉遣いを心掛けましょう。

また、してもらったことに対して丁重にお礼が伝えられると、より良い関係を築きながら仕事を進めることができます。

ぜひ「お力添え」の正しい使い方をマスターしてくださいね。

(直井みずほ)

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※画像はイメージです

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