マネジメントとは? 単語の意味や必要な能力を分かりやすく解説
マネジメントとは、ビジネスパーソンに欠かせない重要なスキルですが、具体的に何をすれば良いか分からない人も多いはず。そこで今回は、ビジネスノウハウに詳しいライターの上色ゆるりさんに、マネジメントとは何かを教えてもらいました。
管理職に就くと頻繁に耳にする、「マネジメント」という単語。最近では、マネジメントについて書かれたビジネス本も多く見かけますよね。
それほどマネジメント能力は、ビジネスパーソンにとって重要であるとされていますが、どのようにスキルアップすれば良いか分からない、と悩む人も少なくありません。
特に、今まで指導したり指揮を取ったりなどの経験がなければ、何から始めれば良いのかも分からず、途方に暮れてしまうこともあるはず。
そこでこの記事では、「マネジメント」とはどのようなことをすれば良いのか、基本となる手法やマネジメントをする時の注意点について解説していきます。
単語の意味や役割なども解説しますので、マネジメント経験が全くないという人も、ぜひ参考にしてくださいね。
「マネジメント」とは?
そもそも、「マネジメント」とはどういう意味なのでしょうか。まずは単語の意味からチェックしていきましょう。
「マネジメント」の本来の意味
マネジメントとは、「経営」や「管理」、「運営管理」を指します。辞書では以下のように記されています。
マネジメント
(1)経営などの管理をすること
(2)経営者。管理者。(『デジタル大辞泉』小学館)
マネジメントの語源は、英語の「management」から来ています。
management
(1)経営、管理、支配。
(2)【集合】経営者(側)、管理者(側)
(3)取り扱い、操作;(うまい)駆け引き(『Eゲイト英和辞典』ベネッセコーポレーション)
辞書ではこのように記されていることから、外来語の「マネジメント」と語源である英語の「management」は、ほとんど同じ意味で使われていることが分かります。
ただし外来語の「マネジメント」は、“管理者”といった「人」を指す使われ方は少なく、その代わりに「マネージャー」という言葉が使われます。基本的に、“管理をする”という行動を指す場合を「マネジメント」と表現することが多いです。
「リーダーシップ」との違いとは?
「マネジメント」とは、目標に向けてチームを管理、運営することを意味する言葉。
それに対し「リーダーシップ」とは、チームの目標を決めて、示すことを意味する単語です。
全体的な方向性を決めるのがリーダーシップ。その方向性にしたがって、具体的に何をすべきか決め、管理するのがマネジメントです。
マネジメントとリーダーシップの両方を1人で担うこともあるため、似たような言葉であると捉えてしまいがちです。しかし、意味も仕事の内容も厳密には違うので注意しましょう。
なぜマネジメントが重要? 目的と役割を解説
ここからは、マネジメントの重要性を探るため、目的と役割について解説していきます。
マネジメントを行う目的
マネジメントを行う目的は、主に2つあります。
(1)企業や組織を存続・発展させるため
1つは、企業や組織を存続させたり、発展させたりするため。
組織に利益を生み出すためには、数字や物資の管理を行うマネジメントが欠かせません。また、経済の悪化やライバル会社の出現などのトラブルから組織を守るためにも、マネジメントが重要です。
(2)目標に向けて人々を導くため
もう1つは、組織の目標に向けて人々を導いていくため。
さまざまな能力、性格、経歴を持つ人が集う企業や組織では、管理が行き届いていないとバラバラになりやすく、崩壊してしまうこともあるでしょう。そのような事態に陥らないよう、人々を管理するためにもマネジメントが必要です。
マネジメントの役割
マネジメントの役割は、主に以下の3つが挙げられます。
(1)目標達成のための組織運営
1つは、目標を明確にして達成のために組織を運営すること。
運営に必要なことは何か、何が課題なのかを見つけて、管理していく役割を担います。
(2)人材育成
2つ目は、人材を育成すること。
組織が成長していくためには、関わる人々の成長も欠かせません。課題を見つけて、従業員の成長を促すこともマネジメントの役割です。
(3)能力に適した人員配置
3つ目は、活躍の場を与えること。
組織に携わる人々が成長したとしても、実力を発揮できる場がないと意味がないでしょう。
それぞれの能力にあった役割と責任を与えることで、実力が最大限に発揮され、結果として組織の発展につながります。
マネジメントに必要な能力
効果的にマネジメントをしていくためには、何が必要なのでしょうか。
ここからは、身につけておくと良いマネジメント能力について解説していきます。
(1)意思決定の能力
目標を決めたりチームの指揮を取ったりするためには、決断力が必要です。
マネジメントをする人物に意思決定能力がないと、組織が向かう方向が揺らいでしまい、崩壊してしまう恐れがあるためです。
また、トラブルが発生した時に、迅速に軌道修正できるかどうかも重要。解決方法をスピーディーに決断する力は、組織が迷わずに済む助けになります。
大人数の従業員を束ねる時など、マネジメントする対象が大きければ大きいほど、意思決定の能力は必要不可欠になります。
(2)コミュニケーション能力
目標をただ設定するだけでは、組織は動くことができません。実行に移せるよう、目標の内容や進む方向を、部下達に伝えていく必要があります。
そのために、コミュニケーション能力を身につけておくことが大切。
分かりやすく伝える力が身につけば、どのような相手に対してもきちんと伝えられるようになります。
(3)管理能力
マネジメントとは管理することを指すため、管理能力は必須中の必須。
管理能力とは組織や個人が今どのような状態にあり、どのような行動を取るべきなのか見極め、指揮を執るスキルです。
具体的には数字やスケジュール、人材を管理する能力などが挙げられます。
計画的にプロジェクトを進行できているか、目標に対して売り上げの伸び具合、部下が目標に沿った行動ができているかといった内容を把握し、分析と管理をすることが大切です。
マネジメントの業務内容とは
では、マネジメントとは実際に何をすれば良いのでしょうか。ここからは、具体的な業務内容について解説していきます。
(1)目標を設定と分析をする
まずは企業やチーム、個人の目標を設定します。目標という基準がなければ、どの方向に向かって、どのように業務を進めれば良いのか分からなくなってしまうためです。
目標を設定すると向かうべき方向が定まり、組織全体のチームワークが高まります。また、個人への目標設定は、成長具合を把握したり成長を促したりするのに役立ちます。
目標を設定したら、それを達成するために取り組むべき課題を洗い出し、どうすれば解決できるか分析を行いましょう。
なお、目標は実行可能な範囲で設定することが大切。非現実的だと、組織や個人のモチベーションが下がってしまう可能性があるので注意しましょう。
(2)人材の育成を行う
マネジメント業務の中でも、人材育成は重要な要素の1つ。
人材育成の具体的な方法として、個人の課題点を見つけ出してサポートする、成長している点に対してきちんと評価するなどの行動が挙げられます。
一人一人のことをよく観察し、その人それぞれに適切な方法を用いて育成するのがポイント。基本となる育成方法はありますが、人によって能力や性格は違うので、個人に合わせた指導が大切です。
(3)モチベーションをアップさせる
対象がチームのような複数人であっても個人であっても、モチベーションをアップさせるのはマネジメントの大事な業務の1つ。
日々の業務が単調になると生産性が下がりやすくなるため、やる気をアップさせるためのきっかけづくりを行います。
部下に仕事を振り分けることは、モチベーションアップの代表的な手法の1つ。責任感が生まれ、仕事に対する意欲アップにつながります。
(4)評価する
どんなに頑張っても評価されなければ、部下のやる気は落ちてしまうもの。仕事への意欲を維持するためには、きちんと評価することも重要です。
昇格や報酬を与える以外にも、言葉で褒める行為も評価することに含まれます。
部下をよく観察し成長を促すよう言葉を投げかけることも、マネジメントの大事な業務です。
マネジメントの種類
マネジメントには、トップマネジメント、ミドルマネジメント、ローアーマネジメントの3種類があります。
それぞれどのようなものなのでしょうか。
トップマネジメント
トップマネジメントとは、企業の経営に関わる事柄に関してマネジメントを行うことを意味します。主に、社長や副社長、常務、専務などの役職に就く人が行います。
具体的な行動内容としては、組織の基本となる方針、経営戦略を決定することなどが挙げられます。また、組織の最終的な責任を担うのも、トップマネジメントの役割です。
ミドルマネジメント
ミドルマネジメントとは、経営の管理をするトップマネジメントと業務の管理をするローアーマネジメントの間に入り、組織をまとめることを指します。
いわゆる中間管理職のことで、主に部長や係長、支店長、マネージャーなどの役職に就く人が行います。
具体的には、経営陣が決めた方針や戦略を、現場を管理する人に伝える役割を担います。反対に、現場の声を経営陣に届けるのも、ミドルマネジメントの役割です。
ローアーマネジメント
ローアーマネジメントとは、現場で働く人たちをまとめ、指揮を取ることを意味します。主に、係長やチームリーダーが行うマネジメントです。
ミドルマネジメントから引き継いだトップマネジメントの戦略、方針を直接現場へ届ける役割を担います。
そして定められた戦略、目標に沿って業務が進んでいるか管理することも、ローアーマネジメントの大切な業務なのです。
マネジメント能力を高めて頼れる人になろう
企業に長年勤めていると、係長や部長など、マネジメントをする立場に就くことがあります。早ければ勤務歴1、2年ほどで任されるケースも少なくありません。
マネジメントとは何かを理解し、スキルを身につけておけば、チームをまとめる立場に就いた時に役に立ちます。その結果、上司からも部下からも信頼してもらえる人物になるでしょう。
「周りに頼られる人になりたい」「せっかくマネジメント業務を任されたから、期待に応えたい」という人は、ぜひマネジメント能力を身につけておきましょう。
(上色ゆるり)
関連する診断もあわせてチェック!
※画像はイメージです