「ご無沙汰しております」はどう使う? 意味や例文を解説
あいさつやビジネスメールでもよく使われる「ご無沙汰しております」は、どんな相手に使うべき言葉なのでしょうか。今回は、「ご無沙汰しております」の意味や「お久しぶりです」との違いなどを解説します。
「ご無沙汰しております」が長い間合っていない人に対するあいさつの言葉であることは分かっていても、「お久しぶりです」とどう使い分けるのか分からないという人は多いでしょう。
また、人から「ご無沙汰しております」と言われたら、どう返事をすれば良いのか迷ってしまうことはありませんか。
そこで今回は、「ご無沙汰しております」の使い方や具体的な使用例、返事の仕方などを紹介します。
「ご無沙汰しております」とは
「ご無沙汰しております」は、しばらく合っていなかった人や連絡していなかった人に使えるあいさつです。
あらたまった表現で、ビジネスでもよく使われています。
ここでは、「ご無沙汰しております」の意味を確認していきましょう。
「ご無沙汰しております」の意味
「ご無沙汰しております」は、「ご+無沙汰+して+おります」で構成されています。
ごぶさた【ご無沙汰】
(「無沙汰」を丁寧にいう語)長い間相手を訪問しなかったり便りを出さないでいたりすること。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)
「しております」の「して」はその状態が続いていることを表す補助動詞、「おります」は「いる」の謙譲表現となります。
つまり「ご無沙汰しております」は、長い間会ったり連絡したりしていなかった相手に対して用いる、おわびの気持ちを込めたあいさつ言葉です。
会った時のあいさつとしてだけではなく、電話やビジネスメール、手紙などでも使えます。
敬語として目上の人に使える表現
「ご無沙汰しております」には、丁寧の助詞「ご」や「ます」が使われています。
また、謙譲語である「おる」も使われていて、自分がへりくだる表現です。
謙譲表現ですので、上司や取引先、先輩など、目上の人に使うのにふさわしい表現です。
なお、「ご無沙汰です」と省略するのは失礼な印象を与えるので避けましょう。
「お久しぶりです」との違い
「ご無沙汰しております」と同じような状況で使われる言葉に「お久しぶりです」があります。
「お久しぶりです」は接頭語「お」と」丁寧語の「です」がついた表現。
丁寧な表現ではありますが、「お久しぶり」には「ご無沙汰しております」のような、相手に敬意を表す謙譲表現は含まれていません。
そのため、取引先へのビジネスメールや目上の人に対して使うなら、「ご無沙汰しております」が適しているでしょう。
「お久しぶりです」は、友人や同僚、部下などに対して使うようにしましょう。
「ご無沙汰しております」の使い方
「ご無沙汰しております」はよく使われる表現ですので、正しい使い方を理解しておきたいですよね。
ここでは、「ご無沙汰しております」の具体的な使用例を紹介します。
「ご無沙汰しております」を使た例文
ビジネスで久しぶりに会う相手に連絡を取る場合、スムーズに話を進めるのが難しいこともあります。
まずは「ご無沙汰しております」とワンクッション置くことで、それをきっかけに相手との会話が弾みやすくなり、コミュニケーションを円滑に進めやすくなりますので、ぜひ活用してみてください。
例文
・長らくご無沙汰しております。○○の件でご一緒しました○○と申します。
・しばらくご無沙汰しておりましたが、お変わりありませんか。おかげさまで、私は元気です。
・大変ご無沙汰しております。この度は、貴重なお時間をいただき感謝申し上げます。
「ご無沙汰しております」と併用できる言い回し
「ご無沙汰しております」と一緒によく使われる表現として、「お元気ですか」「お変わりありませんか」「申し訳ありません」などがあります。
「ご無沙汰しております」とあいさつした後に、こうした相手を気遣う言葉をつなげると、好印象を与えやすいでしょう。
例文
・長らくご無沙汰しておりますが、お変わりありませんか。
・すっかりご無沙汰してしまい、申し訳ありません。
・昨年の法事以来ご無沙汰しておりますが、皆さまお元気ですか。
ただし、「お世話になっております」は「ご無沙汰しております」は一緒に使うと仰々しい印象になりますので、併用はしないという点を覚えておきましょう。
「ご無沙汰しております」と言われた時の返事
相手から「ご無沙汰しております」と言われたら、自分も同じように「ご無沙汰しております」とわびるのが基本です。
その後に相手を気遣う表現や相手に関する話題をつなげることで、会話が弾みやすくなります。
例文
・こちらこそご無沙汰してしまい、失礼いたしました。
・こちらこそご無沙汰しております。
・こちらこそご無沙汰しております。お変わりありませんか。
「ご無沙汰しております」の英語表現
仕事で英語を使うことがあるなら、「ご無沙汰しております」の英語表現もチェックしておきましょう。
「long time」と組み合わせた表現
長い間会っていなかった相手や連絡していなかった相手に対しては、「長期の」を意味する「long time」を使うと、「ご無沙汰しております」をうまく表現できます。
例文
・It has been a long time since I last kept in touch with you.
「seen」と組み合わせた表現
「seen」は「see」の過去分詞。「see」にはさまざまな意味があり、「会う」という意味でも使われます。
長期間会っていなかった相手に対して「haven’t seen」などの表現が使われるので覚えておきましょう。
例文
・We haven’t seen you for a long time.
「been」と組み合わせた表現
「been」はbe動詞の過去分詞であり、現在完了形となることで「今までずっと〜である」「ずっと〜であった」などの意味を持っている言葉です。
「ずっと会わない状態で時間が過ぎてしまった」という言い回しをすることで、「ご無沙汰しております」の英語表現として使えます。
例文
・I haven’t been in touch with you for a while.
・It has been a while since I last contacted you.
あいさつ言葉をうまく使ってコミュニケーションをスムーズに
「ご無沙汰しております」は、しばらく会っていなかった人や連絡をしていなかった目上の人に対して使う、あいさつ言葉です。
後ろに「お変わりありませんか」など、相手を気遣う表現をつなぐことで、スムーズに会話が進みます。
敬語表現を使う時には、敬意の程度や失礼でない言葉なのかを意識しながら使い分けましょう。
(武田 麻希)
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