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「オープンクエスチョン」とは? 具体例や効果的な使い方を解説

浅野寿和(心理カウンセラー)

相手の話を効果的に引き出す質問方法である「オープンクエスチョン」。具体的にはどのような質問のことを指すのでしょうか? 心理カウンセラーの浅野寿和さんが、具体例ややり方、クローズドクエスチョンとの違いを解説します。

「オープンクエスチョン」は、相手との対話を求める場合にとても有効な質問方法です。

オープンクエスチョンを使えるようになると、ビジネスや恋愛・日常生活などのあらゆるシーンで、相手の考えを引き出しやすくなります。相手をさらに深く理解して信頼関係を築くためにも、オープンクエスチョンのやり方を身に付けておきましょう。

今回はオープンクエスチョンのメリットや、具体的なやり方を解説します。

オープンクエスチョンとは?

「オープンクエスチョン」とは、回答者の返答に制限を設けず、自由に回答をしてもらう質問方法です。質問された人が何を答えても構わないような質問形式とも言えます。

質問に「5W1H(いつ、どこで、誰が、どうやって、なぜ)」と呼ばれる要素を加えるとオープンクエスチョンになります。

オープンクエスチョンの具体例

オープンクエスチョンとは、具体的に以下のような質問方法のことです。

・休日は何をして過ごしているんですか?

・あなたはこの製品の魅力についてどう思いますか?

・あなたは自分の能力をどのように評価していますか?

このように「はい」「いいえ」で回答できない質問方法はオープンクエスチョンにあたります。

では、オープンクエスチョンにはどのようなメリットがあるのか次から見ていきましょう。

オープンクエスチョンはどこで活用するのが有効?

オープンクエスチョンは、以下のようなシーンで活用すると良いでしょう。

・雑談を広げたい時

・商談などで相手のニーズを引き出したい時

・相手から積極的に話してほしい時

ではなぜ上記のような場面でオープンクエスチョンが有効なのか、メリットと照らし合わせながら解説していきます。

オープンクエスチョンのメリット

ここからは、オープンクエスチョンの効果と特徴を基に、メリットについて解説していきます。

 

(1)相手との雑談が広がりやすい

オープンクエスチョンは相手の回答を制限しないので、1つの質問からたくさんの情報を得られます。

また、返答の自由度が高いため、その後の会話が発展していきやすくなります。相手から多くの情報を得たい時や、雑談を広げたい時にはオープンクエスチョンが有効です。

(2)悩みやニーズを聞き出しやすい

こちらから誘導して質問をせず、相手に自由に語ってもらう質問形式ですから、相手の真意を探り相互理解を深めることが可能になります。

特にビジネスシーンでは、お客様の悩みやニーズを聞き出す際にオープンクエスチョンがよく使われています。

(3)相手に会話の主導権を与えられる

オープンクエスチョンでは、質問者が聞き役に回ります。そのため、相手に会話の主導権を与えることができます。そうすることで、回答者が普段は気づいていない深い考えを引き出すきっかけにもなるでしょう。

また、質問者が上手に話を聞けば、回答者が「この人は自分の話をよく聞いてくれる人だ」と感じ、相手に好印象を与えられます。

オープンクエスチョンのデメリット

逆に、オープンクエスチョンには以下のようなデメリットがあります。

(1)初対面の相手には使いにくい

制限を設けない質問を投げかけるため、初対面の相手や信頼関係が築けていない相手には使いにくいというデメリットがあります。

信頼関係ができていない段階でオープンクエスチョンをされると、よほど話好きの人でない限りどう回答していいか分からず、答えにくいと感じる可能性があります。

(2)回答に時間が掛かる

オープン・クエスチョンは、回答者が答えるまでに時間が掛かる場合があり、すぐに回答を求める場合には適さない質問になります。

特に回答者に熟考を求める内容を投げかけていたり、回答者の潜在ニーズを引き出すような質問であれば、十分な時間を提供する必要があります。

(3)明確な答えが返ってこない場合がある

答えに制限を設けないため、質問者にとって思いがけない返答が返ってくる場合があります。聞きたかった答えが聞けなかったり、話が脱線してしまったりする場合も。

そのため、オープン・クエスチョンでは、回答者のいかなる答えをもしっかりと受け止める姿勢が求められます。

クローズドクエスチョンとの使い分け方

なお、オープン・クエスチョンと対となるものが「クローズド・クエスチョン」です。これはYesかNoか、AかB のどちらかなど、相手に選択させるような回答を求める質問形式です。

クローズドクエスチョンの具体例

クローズドクエスチョンとは、具体的に以下のような質問を指します。

・もう○○の製品はお使いいただきましたか?

・このSNSの反響、すごいと思われますか?

Aの製品とBの製品、どちらがお好みですか?

回答者が迷わず答えやすい質問ですから、会話や質問の導入部分などでは、クローズドクエスチョンが効果的に働くでしょう。

クローズドクエスチョンは回答を制限したい時に使う

クローズドクエスチョンは、何かを単に確認したい時やYesかNoの答えが欲しい時に使います。

例えば業務が完了したかどうかなどを確認する時は、「○○の件は終わりましたか?」と、クローズドクエスチョンを使うと良いでしょう。

さらに、商談などで話をまとめたい時も、クローズドクエスチョンの方が効果的です。最後まで「どう思うか?」と質問しても話がまとまりません。

オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの効果的な使い方

では、オープン・クエスチョンとクローズド・クエスチョンをどのように使えば良いのか。

具体的に会話へ落とし込んで確認していきましょう。

相手の本音を聞き出しづらい質問例

まずは、相手の本音を聞き出しづらい、あまりおすすめできない質問の例から紹介します。

A:あなたは今の仕事で悩みを抱えていますか?

B:はい、抱えています(いいえ、抱えていません)

A:では、今までつらくなかったですか?

B:はい、つらかったです(いいえ、つらくありません)

A:その悩みを上司に相談しましたか?

B:はい、話しました(いいえ、話していません)

これは極端な例ですが、全てクローズドクエスチョンによる質問の投げかけです。

質問者が想定している答えをピンポイントで引き出すことができますが、クローズドクエスチョンばかりとなると、答える側から主導権を奪い、不満を抱かせるリスクがあります。

相手の本音を聞き出しやすい質問例

では次は、先ほどと同じ質問を、オープンクエスチョンを交えることで本音が聞き出しやすいものに変えてみます。

A:あなたは今の仕事で悩みを抱えていますか?

B:はい、抱えています(いいえ、抱えていません)。

A:それは「どのような」悩みでしょうか?

B:〇〇です。

A:それは「いつから」抱えている悩みなのでしょうか?

B:〇〇です。

このように、クローズドクエスチョンの中にオープンクエスチョンを織り交ぜると会話の流れも自然になり、相手の深い意見も引き出せるようになります。

また、オープンクエスチョンで相手の言葉を引き出すことができたら、さらにオープンクエスチョンを続け、じっくり相手の回答を知ることでその内容を明らかにしていくことも可能です。これを「チャンクダウン(※)」と呼びます。

※「チャンク」とは「かたまり」のこと。チャンクダウンとは「かたまりをほぐしていく」という意味です。

ただし、質問者が回答者の答えを受け止めずに「なぜ」「どうして」と質問を続けると詰問のようになってしまいますから、注意が必要です。

特にオープンクエスチョンは答えにくい場合があること、回答に時間が必要であることを意識し、相手が答えるまで丁寧に待ち、「なるほど」「そうお考えなのですね」など相手を受け止めた上で、更に質問を重ねていくと対話の質が上がりますよ。

質問の質は対話の質につながる

必要な質問を適格に投げかけることで、質問者、回答者双方に大きなメリットが生まれます。質問の質は対話の質だと考えて、効果的な質問を使うことを意識してみてくださいね。

(浅野寿和)

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※画像はイメージです

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