お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

返報性の原理(法則)とは? ビジネス・恋愛での活用例

秋カヲリ

「返報性の原理」という言葉を知っていますか? 「何かをもらうと返したくなる心理のこと」を意味します。今回は心理カウンセラーの秋カヲリさんに、返報性の原理の意味や活用方法を解説してもらいます。

何かプレゼントをもらうとお返しをしたくなったり、「好き」と言われると相手のことが気になったりすることがありますよね。これらは「返報性の原理」といわれる心理が働いている状態です。

返報性の原理は、人間関係をスムーズにするテクニックとしても活用できます。より良い人間関係を築くためにも、今回は返報性の原理の意味や使い方について詳しく解説します。

返報性の原理の意味は?

まずは、返報性の原理とは何か見ていきましょう。

返報性の原理とは「もらうと返したくなる心理」

返報性の原理とは、何かをもらうと返したくなる心理のことです。

老若男女問わず「もらったんだから何かお返しをしないと」という義務感が生まれることが多く、ビジネスでもよく活用される心理の1つです。

返報性の原理の実験例

返報性の原理に関する実験はいくつかありますが、有名なのは、心理学者のデニス・リーガン博士が行ったジュースの実験です。

実験者(仕掛け人)が、実験対象者に「福引券を買わないか」と誘うのですが、以下2パターンに分けて検証したところ、その結果に差が見られました。

A:ジュースを買い与えた場合

B:ジュースを買い与えなかった場合

Aの場合、ジュースを買い与えた上で福引券の購入をすすめたところ、購入率がBの2倍になりました。

つまり、「せっかくジュースを買ってきてくれたんだから、私も福引券を買ってあげよう」と返報性の原理が働き、誘いに応じやすくなったのです。

返報性の原理を活用した身近な例は、スーパーの試食です。声を掛けられて試食し、そこで商品の説明を受けておすすめされた場合に断りにくいと感じる人は多いでしょう。

返報性の原理はどう活用できる?

返報性の原理を活用すると、スムーズに物事が運びやすくなります。ここでは、ビジネスや恋愛で返報性の原理がどう使えるのか解説します。

【ビジネス】営業先に販促品を配る

営業では、見込み顧客に販促品を渡して関係性をつくり、契約へとつなげようとするケースが多々あります。すでに契約している得意先に配り、リピート注文を促すこともあります。

販促品にはメモ帳やボールペンなどがよくありますが、なるべく見た目が立派なものの方が返報性の原理も働きやすくなるでしょう。

【ビジネス】営業先に足しげく通う

同じく営業先へのアプローチ方法で、足しげく通って訪問回数を重ねるのも返報性の原理が働きやすくなる営業手法です。「これだけ何度も来てくれたんだから、契約しないと悪いかな」という気持ちになりやすいのです。

販促品がなくても身一つでできるやり方なので、ニーズのある営業先にしっかりアプローチしたい時には合うやり方かもしれません。

【ビジネス】無料サービスを提供する

いきなり有料のサービスを販売するのはハードルが高いのですが、最初にセミナーやトライアルなどの無料サービスを提供して、そこから返報性の原理を活用して契約へと結びつけるケースもよくあります。

良質な無料サービスを提供することで「無料でここまでしてくれたから」と好感度や信頼度を上げ、営業先の購買意欲も高められそうです。

【恋愛】ちょっとしたものをプレゼントする

日常の中でちょっとしたプレゼントをするだけでも効果があります。

お菓子をおすそ分けする、お土産をあげるなどのプチギフトを渡すことによって返報性の原理が働き、ランチやお茶に誘いやすくなるでしょう。

まずは相手の負担にならないささやかなプレゼントをして、そこから返報性の原理を活用してデートに誘うなどすれば、仲良くなるきっかけを生み出せます。

【恋愛】親身に接する

気になる相手が困っている時にお願い事を聞いてあげる、相談事に乗ってあげるなど何かしら親切な行為をすると、相手も「恩返しをしなきゃ」という心境になり、返報性の原理が働きます。

もし相手が困っていたら率先して手を差し伸べ、今後のアプローチにつなげるのがおすすめです。

返報性の原理を使う上での注意点

このように返報性の原理はとても便利ですが、何でもうまくいくわけではありません。

活用する上での注意点を解説します。

(1)なんでもかんでも与えようとしない

返報性の原理を意識するあまり、相手に与えすぎてしまい疲弊する人がいます。

確かに返報性の原理は「何かを与えられればお返ししたくなる」というものですが、100%そうなるわけではなく、必ず同じ分だけ返ってくるわけでもありません。

何事もほどほどにするのが肝心です。自分が身を粉にして与えすぎると、悪い人に利用されて搾取されてしまうリスクもあるので気をつけましょう。

(2)見返りを求めすぎない

返報性の原理とは、「ギブアンドテイク」の関係をつくるということです。

わらしべ長者の発想でより多くの見返りを得ようとすると、期待通りの結果が得られずに落胆したり、相手に見透かされたりして関係性が悪化します。「少しでもお返しがあったら良いな」くらいの感覚で活用するのが理想的です。

(3)露骨に期待しない

見返りを求めすぎないことと通じる話ですが、露骨に期待しないのも良い関係性を保つコツです。

見返りに期待していることが分かると、相手は不信感を抱くでしょう。信頼も失いかねません。思うような結果が得られないだけでなく、悪評が立つなどのネガティブな結果に陥ってしまうでしょう。

(4)信頼関係をつくることを優先する

返報性の原理をうまく活用するには、相手が自発的に「お返しをしたい」と思う必要があります。つまり、土台に信頼関係がなければなりません。

いきなりお返し狙いで行動するのではなく、まずはしっかりとコミュニケーションして意思疎通を図り、相手からの信頼を得られるように行動しましょう。

人に貢献する「GIVEの精神」を持とう

返報性の原理は、良好な関係を築くために使える心理テクニックです。まずは「GIVEの精神」を持ち、相手に自分が何を与えられるかを考えた上で何かしらの貢献をしましょう。

見返りを求めすぎず「自分がどんな貢献ができるか」考えて真摯に取り組むのが大切です。そうすれば自然とお返しを受け取ることができ、信頼される人間になれます。

(秋カヲリ)

関連する記事もあわせてチェック!

【心理学】認知バイアスとは? 事例や種類一覧、対策を紹介

【心理学】カクテルパーティー効果とは? 活用方法と注意点

オペラント条件付けとは? 良い習慣を身に付けるコツ

※画像はイメージです

SHARE