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ダニング=クルーガー効果の意味は? 特徴や対策方法

高見綾(心理カウンセラー)

「ダニング=クルーガー効果」とは、自分の能力を実際よりも過大評価してしまう心理現象のこと。本記事では、心理カウンセラーの高見綾さんに、ダニング=クルーガー効果の意味や陥りやすい人の特徴、対処法を解説してもらいます。

認知バイアスの一種であるダニング=クルーガー効果。能力の低い人ほど自らを過大評価してしまう心理現象のことをいいますが、ご存じでしょうか?

今回は、ダニング=クルーガー効果とは何か、それに陥りやすい人の特徴や対策などについて解説します。

もし自己評価と周りからの評価に違いがある場合は、何かヒントになることがあるかもしれません。

ダニング=クルーガー効果の意味は?

まずは、ダニング=クルーガー効果とは何なのか、意味や概念を確認していきましょう。

認知バイアスの一種で「自分の能力を実際よりも過大評価してしまうこと」

ダニング=クルーガー効果とは、認知バイアスの一種で、能力の低い人ほど自らを過大評価する心理現象のことをいいます。

なぜ起こる? その原因とは

「優越の錯覚」とも呼ばれており、自己の能力を正しく把握できず欠点を見ることができないために、自分が優秀であるという錯覚(認知バイアス)を起こしてしまうとされています。

参考記事はこちら▼

認知バイアスについての詳しい記事はこちらをチェック!

ダニング=クルーガー効果の研究と日常例

この効果は、アメリカ・コーネル大学のデイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーによって、学生の成績と自己評価の関係が研究されたことにより定義付けられました。

学生たちに、ユーモア・論理的推論・英文法についてのテストを行い、自分の成績が全体の中でどの程度にいるのかを予想してもらいました。

すると、成績が悪い学生ほど自分の点数を高く見積もり、成績が良い学生は謙虚で過少に見積もる傾向があることが分かったのです。

この傾向は、勉強以外にも仕事や恋愛など、さまざまな日常生活のシーンにおいても見られるとされています。

仕事においてみられる一例

仕事において、本当に優秀な人は実力をひけらかさずに謙虚に取り組んでいるが、自慢話ばかりの人の実力は、本人がアピールしているほど大したことではないなども、ダニング=クルーガー効果の一例です。

ダニング=クルーガー効果の逆は?

ダニング=クルーガー効果の逆は、「インポスター症候群」といわれています。

インポスター症候群とは、自分の達成を内面的に肯定できない傾向のこと。詳細は以下の記事も参考にしてみてください。

参考記事はこちら▼

自分の達成を内面的に肯定できず、自己否定や過小評価をしていませんか?

ダニング=クルーガー効果に陥りやすい人は? 特徴をチェック

そんなダニング=クルーガー効果ですが、どんな人が陥りやすいのでしょうか? 特徴を紹介します。

(1)メタ認知の力が低い

メタ認知とは、自分が認知している(考える・感じる・記憶する・判断する)ことを客観的に捉える力です。

メタ認知の力が低いと、さまざまな認知バイアスにとらわれやすくなり、自分の能力を客観的に把握できないために、自信過剰になってしまう傾向があります。

(2)周りや環境に原因を求める

何かうまくいかなかった時に、自分に原因があるのではないかと考えて改善できる人はこの効果に陥りにくいです。

逆に言うと、周りの人や環境に原因があるのではないかと考える人は、この効果に陥りやすくなるのです。

ダニング=クルーガー効果で生じる悪い面とは?

ダニング=クルーガー効果に陥ることで生じる、悪い面があります。

ここではそんなデメリットポイントを3つ紹介します。

(1)実力不足のままになってしまう

根拠のない自信から傲慢になってしまうと、「自分は今のままで大丈夫」と思い、学ぶ意欲が失われてしまいます。

また、周りが良かれと思ってアドバイスをしたとしても、自分に対する否定的なコメントを受け付けなくなります。結果的に、スキルや能力を磨く機会が減り、実力不足のままになってしまうのです。

(2)不満を持ちやすくなってしまう

自己評価が高いため、思うようにいかない時には周りに対して不満を持ちやすくなります。「自分はできるのに(頑張っているのに)、なぜ評価してもらえないのか」と思うのです。

そこで自己評価と他者からの評価のズレの原因が自分にあると気付ければ良いのですが、この効果に陥っていると、自分以外のもののせいにしがちです。

(3)空回りしてしまう

本人は「自分はできる」と思っているため、その自信が言動に表れたり高い理想を掲げたりしますが、周りは本人の自己評価と同じ評価をしていない場合が多いです。

そのため、言動と中身が伴っていないという印象を与えてしまい、結果的に空回りすることが多くなってしまいがちです。

ダニング=クルーガー効果の良さは「根拠のない自信を持てること」

一方で、ダニング=クルーガー効果の良さもあります。

それは、根拠のない自信を持てることです。

「やればできる気がする」「自分なら何とかなる!」と前向きに思えていれば、新しい物事に対しても気後れせず積極的にチャレンジできます。そうやって果敢に挑戦していくことで、結果的に経験値を積めるようになるでしょう。

もちろん、そのプロセスではうまくいかないことも出てくると思いますが、自信過剰さを行動に結び付けていければ、そのうち実力が伴ってきてバランスが取れるようになる可能性もあります。

ダニング=クルーガー効果に陥らないための方法

ダニング=クルーガー効果は悪い面ばかりではないことが分かりました。

とはいえ、成長の機会を失い、周りに不満を持ちやすくなってしまうので、自分の能力を過大評価しすぎない方が良さそうです。

最後に、この効果に陥らないための方法を紹介します。

(1)メタ認知の力を鍛える

メタ認知の力がアップすると、自分の能力を客観的に把握できるようになります。そのためには、主観的な見方だけではなく、1つの物事について複数の視点で見ることが大切です。

誰かに不満があったり、思い通りに行かなかったりすることがあれば、「相手からはどう見えていたか」を振り返ってみましょう。

また、ふわっとした感覚ではなく、できるだけ数値データで確認する癖を付けると、客観的な評価ができる力が身に付きますよ。

(2)「自分にできることはないか?」と考える

うまくいかない原因を周りや環境のせいにしたくなったら、少し立ち止まってみたいもの。

自分のせいだと責める必要は全くありませんが、「この状況で、自分には何ができるだろうか?」と考える癖を付けることで、ダニング=クルーガー効果に陥ることを防げるでしょう。

(3)他者からのフィードバックを受ける機会を持つ

主観的な物の見方ばかりしていると、どうしても自分の都合の良い見方に偏ってしまいがちです。

そこで、他者からのフィードバックを受ける機会を持つようにしましょう。中には、肯定的な評価だけではなく、耳の痛いこともあるかもしれませんが、「そういう意見もあるのだな」と思って受け取ってみて、その意見をさまざまな角度から検証するようにしましょう。

(4)経験したことを根拠のある自信に変えていく

ダニング=クルーガー効果に陥りやすくなるのは、あることをちょっとだけ知っているというような状況の時です。

とことん学んで実践していくなど、1つのことを継続して取り組み、深掘りしてみましょう。経験を積めば、根拠のない自信が、根拠のある自信に変わっていくはずです。

メタ認知の力をアップしていこう

自分の能力やスキルを客観的に把握する力が低いと、実際よりも過剰に高く評価してしまうことが分かりました。ドキッとした人もいるかもしれませんが、日常にもこうした事例は溢れています。

根拠のない自信は、新しいことにチャレンジしていく際には役立つものです。

が、自信過剰になりすぎて周囲にマイナスな印象を与えてしまうのももったいないので、メタ認知の力をアップさせ、自分を客観的に見られるようにしていきましょう。

(高見綾)

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