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セックスで使うローションの正しい選び方! シーン別のおすすめを紹介

宋美玄(産婦人科医・医学博士)

セックス時に濡れにくい場合、ローションを使うこともありますよね。昨今はさまざまな種類のローションが販売されていますが実際に使うならどれがいいのでしょう? 産婦人科医・医学博士の宋美玄先生にローションの選び方とおすすめについて伺ってみました。

セックスのときにローションを使ったことがあるという人は、そう多くないかもしれません。

じつはローションには挿入をスムーズにしたり、挿入時の痛みを緩和したりする効果があり、セックスに慣れていなかったり、濡れにくかったりする人にも役立つアイテムなのです。

正しく知って正しく使い、セックスの楽しみを増やしてみませんか?

セックスのときにローションを使う3つの理由

はじめに、ローションについて簡単に説明します。ここでいうローションとは、おもにセックスの際に使用する、ヌルヌルした質感の液体のことを指します。潤滑ゼリー、プレジャージェル、フェミニンモイスチャライザーなどと呼ばれることもあります。

「ローション」と聞くと、なんとなくやましいイメージを抱きがちですが、じつはそうではないんです。セックスをより楽しむために使うこともありますが、女性にありがちなセックスの悩みを解消するために、役立つことがあります。

以下に、セックスのときにローションを使うおもな理由をあげてみました。

(1)濡れにくさを補うため

「濡れる」というのは女性の性反応の一種です。女性が性的興奮を覚えると、性器周辺では血流が増加して、クリトリスや小陰唇がふっくらし、腟粘膜から体液(潤滑液)が分泌されていきます。

この潤滑液の分泌量には個人差があり、たっぷり分泌される人もいれば、そうでない人もいます。また同じ人でも体調によって濡れやすさに差が生じることもあります。それを補うためにローションを使うのは、ひとつの手段です。

(2)挿入時の痛みを軽減するため

濡れにくいことで、セックスのときに痛み(性交痛)が生じることがあります。潤滑液が少ないと挿入時に摩擦が起こり、それが痛みにつながるのです。ローションは、このような種類の性交痛を軽減させるための手段として役に立つこともあります。

(3)感度を良くするため

ローションのなかには、使うと外性器周辺がジワッと温かくなったり、反対にヒンヤリ冷たくなったり、また良い香りがしたりするものもあります。そうしたローションの効能が性的刺激につながり、感度が高まることもあります。

セックスでローションを使うときの注意点

濡れにくさや痛みが改善されたり、感度が良くなったり……。セックスでローションを使うことにはメリットが多いですが、一方で注意すべき点もあります。おもな注意点は以下の通りです。

(1)腟周辺の使用に適していない製品がある

市販されているローションのなかには、腟周辺に使うには適していない製品もあります。たとえば、ポリアクリル酸ナトリウムを主成分とした製品です。雑貨店などで「ローション」として販売されているものには、こうした製品が多いかもしれません。

ポリアクリル酸ナトリウムは吸水性ポリマーとも呼ばれ、身近なところでは生理用ナプキンやオムツなどにも使われています。肌につけること自体に問題はないのですが、腟周辺の粘膜に使うには刺激が強く、トラブルを引き起こす可能性があります。

(2)かぶれが生じる可能性がある

薬局や信頼のおけるWebサイトなどで販売されている、デリケートゾーンにも使用可能なローションは、基本的に粘膜にも使える成分で作られています。しかし、それでも個人差があり、なかにはかぶれが生じてしまうこともあるようです。

化粧品と同様に、デリケートゾーン用のローションも、人によって合う・合わないがあります。「オーガニック」や「敏感肌用」と表示されていたとしても、問題なく使用できるかどうかは、試してみないとわかりません。

なお、最初に使ってみたローションが自分には合わなかったとしても、別の製品なら合う可能性もあります。ひとつの失敗でめげずに、自分に合ったローションを探してみましょう。

(3)コンドームが破れてしまう可能性がある

ローションの成分によっては、コンドームを劣化させ、破れやすくさせることがあります。詳しくは後述しますが、そうした可能性があることを知って、注意しておきましょう。

パートナーにローションの使用を切り出しにくい場合は

濡れにくさなどの体質的なコンプレックスをカバーするためにローションを使いたいと思っても、「パートナーを気づかって遠慮してしまう」という女性も、なかにはいるかもしれません。

潤滑液の分泌量には個人差があり、濡れにくい=感じていないというわけではないのですが、相手によっては、“ローションを使う” すなわち “自分のセックステクニックが否定されている” と受け取ってしまうケースもあるからです。

ローションを使いたいのにパートナーに遠慮してためらっているという場合は、パートナーのペニスを愛撫するときに使ってみるのがおすすめです。いたずらっぽくローションを手に取って、ペニスに塗布し、愛撫します。

そして、そのまま挿入に持ち込むようにすれば、パートナーも気持ち良くなりますし、女性にとってもスムーズにローションを使えるというメリットがあります。

セックスで使用するローションの種類

デリケートゾーンに使用できるローションは、使われている主成分の違いによって、いくつかの種類に分けることができます。各種類にはそれぞれ特徴があり、自分のコンプレックスや使いたいシーンなどに合わせて選ぶのがよいでしょう。おもな種類は以下の3つです。

ウォーターベース

その名の通り、水をベースに作られたタイプのローションです。汎用性があり、ローションを初めて使う人にも使いやすいとされています。さらっとしていて洗い流しやすいのですが、ほかのタイプに比べてヌルヌル感があまり長続きしないという特徴もあります。

シリコンベース

シリコンを主成分としたタイプです。ヌルヌル感が比較的長時間持続し、少量でも乾きにくいのが特徴です。皮膚を摩擦から守ってくれるため、性交痛に悩まされている人にはこのシリコンベースのローションが適しているかもしれません。

オイルベース

植物オイルを主成分としたタイプ。伸びが良くて乾燥しにくく、長時間の使用に向いています。ただし、オイルはラテックス(ゴム)製のコンドームと相性が悪いという難点があります。オイルがコンドームを劣化させ、破れやすくしてしまうのです。

オイルベースのローションを使う際は、必ずウレタン製のコンドームを使いましょう。また、シーツなどに付着するとシミになることもあるようです。

ローションの正しい選び方

ローションを実際に使ってみたいと思ったら、何をポイントに選べばよいのでしょうか。正しい選び方のコツを紹介します。

(1)デリケートゾーンに使えるタイプかどうかをチェックする

「ローションを使うときの注意点」でも紹介したように、ローションとして販売されているもののすべてが、デリケートゾーンの使用に適しているわけではありません。男性がマスターベーションに使用するのはOKだけど、女性器にはあまりおすすめできないというものも。

「潤滑ゼリー」などと表記された、腟や粘膜に使用できる製品かどうかを、最初にチェックしておきましょう。

(2)自分に合った使い心地のものを選ぶ

こちらも「セックスで使用するローションの種類」で紹介したように、ローションは主成分の違いによって特徴や使い心地が異なります。そのため、自分に合った使い心地のローションを選ぶことが大切です。

たとえばウォーターベースのものはサラサラしているけれど乾きやすいので、挿入の瞬間だけスムーズにしたいというケースにはとくにおすすめです。一方、挿入時間が長くて途中で乾いてしまうのが気になる場合には、シリコンベースのローションを選ぶのがベター。ヌルヌル感が長続きするため、挿入中の気持ち良さを持続させることができます。

このように、ローションの主成分と特徴をふまえて、自分に合ったタイプを選ぶのがよいでしょう。

(3)口に入っても問題のないものを選ぶ

セックスの際はさまざまな部分に触れるため、知らず知らずのうちにローションが口に入る可能性もあります。そうした可能性も考慮し、ローションを使う場合は、なめたり口に入ったりしても問題がないとされている商品を選ぶのがよいでしょう。

口にしても安全なタイプのローションを使うことで、より安心してセックスを楽しめるようになるはずです。

ローション選びで気を付けたほうがよいこと

ローションを選ぶ際、ベースとなる成分によっては注意が必要になることもあります。おもにオイルベースのローションを選ぶ場合には、以下の点を考慮しておきましょう。

(1)コンドームの破れに要注意

オイルベースのローションは、オイルの成分がコンドームを劣化させ、破れやすくするといわれています。そのため、挿入時の潤滑ゼリーとしてローションを使いたい人には、オイルベースのローションは適していません。ウォーターベースやシリコンベースのローションを選ぶことをおすすめします。

オイルベースのローションが適しているのは、挿入のときではなく、マッサージをしながらスキンシップするときです。オイルベースのローションには洗い流す必要がなく、マッサージオイルとして使用可能な商品もあります。使用するシーンに合わせて選ぶローションの種類を変えましょう。

(2)シーツや服につくとシミになることも

オイルベースのローションのなかには、シーツや服などの布地につくと、シミになってしまうものもあるようです。お気に入りのリネンや下着、服などにシミをつけたくないときは、ビニールシートを敷く、ローションに触れないように脱いでから使用するといった工夫をするとよいかもしれません。

ローションの種類によって、使い勝手は異なります。可能なら、いろいろな種類を試してみるとよいですね。

自分に合ったローションを見つけ、セックスを楽しんで

さまざまな使い方ができて、メリットも大きいローション。まずは、自分が何を目的に、どんなふうにローションを使いたいのか。それを考えると、おのずと自分に合ったローションを選べるのではないでしょうか。ローションを上手に使いこなして、セックスの新しい楽しみを見つけてみましょう。

(監修:宋美玄、文・構成:山本尚恵)

※画像はイメージです

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