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「先日」の範囲はいつまで? 使える期間や言い換え表現を解説

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

ビジネスでもよく使う、「先日」という言葉。いつからいつまでの期間に対して使える言葉なのか、疑問に思ったことはありませんか? 今回はライティングコーチの前田めぐるさんに、「先日」と言える期間の目安や使い方を教えてもらいました。

「先日はありがとうございました」と私たちはよく使います。

しかし、「先日とはいつからいつまでのこと?」「先日の意味は?」と聞かれると、「過去のいつか」程度にしか答えを思いつかない、という人も多いのではないでしょうか。

この機会に、「先日」の正確な意味や範囲を調べてみましょう。

「先日」の意味とは?

「先日」の意味は、辞書には次のように載っています。

せんじつ【先日】
近い過去の或る日。このあいだ。過去。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)

以上のことから「先日」とは、「過去のある日」の中でも「近い過去のある日」を意味するものだと分かります。

つまり、近い過去において、「○月○日」と特定する必要がない時に使える表現です。

「先日」の範囲は3日前~1カ月程度前

前段を読んで、「ある日とは? 近い過去とはいつからいつまで?」と疑問に思う人もいるかもしれません。

「先日」が過去のいつからいつまでを示すか、具体的な範囲が決まっているわけではありません。

しかし、「先日」とは呼ばない日については多くの人が共通した認識を持っているはずです。

例えば「今日」の前日のことを「先日」と言う人はほとんどいないでしょう。「昨日」という明解な言葉があるからです。

「昨日」の1日前も「一昨日」という言葉で表せます。

とはいえ、こうした日にちの感覚には個人差があるのも確かです。2~3日前を「先日」と表す人もいれば、2~3週間前のことをそう表す人もいるでしょう。

では、4週間、1カ月前はどうでしょうか? いくら個人差があっても、スピードが重視されがちなビジネスシーンにおいて、1カ月前は「先日」と呼ぶほど近い過去とは言い難いと考えられます。「先月」の方がふさわしいでしょう。

以上のことから、ビジネスシーンで「先日」と表せる範囲は、「3日前~1カ月程前」が目安だといえます。

ビジネスシーンで「先日」を使う際のポイント

ビジネスシーンで「先日」という言葉を使う時のポイントを解説します。

「この間」よりも「先日」の方が適している

辞書にもあるように、「先日」とは「この間」とも言い表され、日常会話ではよく「この間ね、こんなことがあったんですよ」などと使われます。

しかし、ビジネスシーンでは改まった表現をする方が一般的です。

「昨日(きのう)」より「昨日(さくじつ)」、「一昨日(おととい)」より「一昨日(いっさくじつ)」と呼ぶことが多いように、「この間」より「先日」の方が改まった感じになります。

相手や状況に合わせて臨機応変に使うこと

ビジネスシーンにおける日にちの表現は、臨機応変に考える必要があります。

例えば、取引先の人とプライベートでばったり出会ったとしましょう。そのことを後日話す時には、「先日は、思いがけないところでお会いしましたね」のように「先日」を使います。

特に他の人が同席している際には、相手のプライベートな行動が周知される伝え方はしない方が無難です。何月何日という具体的な日にちより、「先日」をうまく活用しましょう。

ただし、仕事の進行に関わる場面では、「先日」よりも「○日は」と言う方がベターです。

例えば「今月5日にお願いした件ですが」と伝えると、相手に対して時間の経過も意識してもらえるので、スムーズに事を運ぶのに役立つでしょう。

また、相手にはっきり思い出してもらいたい時には、具体的な日にちや場所を共に伝えると良いでしょう。

例えば、あるセミナーを受けて、講師にSNSで友達リクエストを送る時は「○月○日の○○セミナーを受講した者です」と具体的に伝えましょう。「先日お会いした者です」では、どこで会ったのか分かってもらえないことがあるためです。

このように、「先日」という言葉は、相手や状況に合わせて臨機応変に使うようにしましょう。

「先日」を使える場面は?(例文付き)

「先日」とは「3日前から1カ月程度前」という目安を設定したところで、ここでは、ビジネスシーンのどのような場面で使えるかを紹介します。

お世話になったお礼を言う時

例文

先日はお世話になり、誠にありがとうございました。

以前話題になったことに改めて言及する時

例文

先日教えていただいたお店、今度週末に行くことにしました。

依頼した件について確認や念押しをしたい時

例文

先日お願いした件ですが、大体いつ頃になりそうでしょうか?

「先日」の言い換え表現(例文付き)

「先日」と同じように、過去のある日や時期に対して使える言葉を、例文と共に紹介します。

「過日(かじつ)」

「過ぎた日。先日」という意味です。

近い過去だけでなく、1年ほど前までの過去も表すことができます。

例文

過日お話を伺った件について、その後何か進展はございましたか?

「先般(せんぱん)」

「先頃。先だって」という意味です。

「先日」とほぼ同じように使えますが、日よりも事柄に重きを置く時に使われます。

例文

先般の会合では、貴重なお話を伺えてうれしかったです。

「先頃(さきごろ)」

「現在に近い過去の時。この間。せんだって。過日」という意味です。

「先日」と同じように、現在に近い過去に対して使えます。

例文

先頃お目にかかりました、京都の上田です。

「その節(せつ)」

「その折。その時分」という意味です。

「先日」よりも遠い過去について表すことができます。

例文

その節は、お世話になりありがとうございました。もう3年も経ったとは、早いものですね。

「先日」では思い出せない場面が増えている

以前よりも、SNSで学びや出会いの場面が広がる今、会話やメール・メッセージの相手は仕事相手ばかりとは限りません。

出会って間もない相手から「先日はどうもありがとうございました」と言われて、いつどこで会ったか思い出せないことはありませんか?

適当に覚えているふりをしても、交流は深まらないことが大半です。

そのため、1対1のやりとりでは「昨年末、○○さん主催の会でお会いした○○です」と、具体的に「いつ、どこで」を示す方が良いといえます。

そうして具体的に日にちを提示することで、相手もその時のことを思い出してくれます。

「あの時は楽しかったですね」「その後どうされていたか気になっていました」など、きっと話も弾むことでしょう。

(前田めぐる)

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