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「ご査収」とは? 意味・使い方・例文・類語を解説

ビジネス敬語マナー

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

ビジネスシーンでお決まりの言葉は、ややもすれば深く考えずに使ってしまいがちです。例えば、「ご査収」。書類を添付したり、郵送したりする際に使いますが、いつでも何にでも使っていいものでしょうか? どんな意味があり、どんな場面で使うのが適切なのか、ライティングコーチの前田めぐるさんに教えてもらいました。

「ご査収はビジネスではいつでも使える重宝な言葉」と思っていませんか? きちんとした印象がある「ご査収」という言葉ですが、いつでも使える万能な表現であるかどうかは、また別ですね。まずは、意味を知りましょう。

「査収」という言葉が持つ意味

「査収」を辞書で引くと次のような意味があることが分かります。

さしゅう【査収】
よく調べた上で受け取ること。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)

「査収」のビジネスシーンでの使い方

では、この「査収」という言葉はビジネスシーンでどのように使われるのでしょうか。

「よく調べた上で受け取ってもらいたい」場面で使う

「ご査収」を使った「ご査収ください」を分解すると、こうなります。

ご(尊敬を示す接頭語)+査収+ください

「ご査収ください」は、相手によく調べて受け取ってもらいたい場面で使う尊敬の表現。

「よく調べてお受け取りください」という意味です。

どんな言い方があるの?

「ご査収」を使ったフレーズには、次のようなものがあります。

・「ご査収ください」
・「ご査収くださいますよう、お願いいたします」
・「ご査収の程、(よろしく)お願いいたします」
・「ご査収の上〜」
・「ご査収いただければ幸いです」

書面、メール、口頭? 誰に対しても使えるの?

「ご査収」という言葉は、重要な書類・金銭・物を送る場合に、書面やメールで使います。

日常的な会話で使うことが間違いとは言い切れませんが、口頭ではほとんど使われません。

・郵送や添付メールで重要書類を送った時
・入金・返金手配を完了したことを知らせる時
・確認の必要な品(製品や試作品、サンプルなど)の送付を知らせる時 など

「ご査収」という言葉は確かに便利ではありますが、いつでも使える万能の言葉とまではいえないのです。

「査収」の例文

相手の確認を要するものといえば、見積書や納品書、請求書、企画書、その他の重要な書類、品物ですね。

金額や数字、内容など間違いがないか自分でもチェックした上で、相手にも念のため確認してもらいたい……そんな場面で次のように使います。

相手に送った書類を確認してもらう時

・「見積書を添付いたします。ご査収ください」
・「請求書を同封いたします。ご査収の程、よろしくお願いいたします」

相手に送った書類を確認してもらった上で何らかの行動をしてもらう時

・「企画書をお送りいたしました。ご査収の上、前向きにご検討くださいますようよろしくお願い申し上げます」

注意! 「ご査収」が適さない場面もある!?

便利な言葉に思える「ご査収」ですが、適さない場面がありますので注意が必要です。

自分都合で送るには使わない

さて、ここまで書いたのは、相手と自分との間で書類や物のやり取りを行う関係性がすでに確立できている場合です。

時々全く取引のない企業やお店から新規開拓のダイレクトメールやサンプルが送ってくることがあります。

そんな時、「ご査収くださいますようお願いいたします」と書かれていたらどうでしょうか? 「頼んだわけでもないのに」と感じるはずです。

このように相手から頼まれていないのに自社(自己)都合で送った書類や物について「ご査収ください」と書くことは、適切とはいえません。

そんな時は、「お時間のある時にご一読いただければ幸いです」「もしご関心がおありであれば、ぜひご覧くださいませ」などと書く方が良いでしょう。

相手から「ご査収ください」と受け取ったら?

さて、ここまで送る側の立場から書きました。受け取る側であれば、どうでしょう?

「ご査収」は相手の行為を表す言葉です。自分が受け取る側の場合には使いません。

相手から「ご査収ください」と送られたからと、「ご査収いたしました」とは返さないようにしましょう。

以下のように返信すると良いでしょう。

・「無事、拝受しました」
・「確かに受け取りました」
・「間違いなく、受領いたしました」
・「確認の上、領収いたしました」

無事に届いたこと、内容を確かめたことなどを示す言葉があると、相手も安心です。

「ご査収」に似た言葉は?

ビジネスにおける受け渡しでは、確認を要する場面から、受け取ってもらうだけでいい場面まで、さまざまです。知っておきたい類語と意味を以下に挙げておきます。

ご確認

・「書類を添付いたします。よろしくご確認いただきますよう、お願いいたします」

「確認」とは、「確かにそうだと認めること」。社内・社外などあらゆる場面で使えます。

ご検収

・「下記の通り納品いたします。ご検収の程よろしくお願いいたします」

「検収(けんしゅう)」とは「納品された品が注文通りであることを確かめた上で受け取ること」。製品やデータなどを収める時に使います。

お目通し

・「午後の会議で使う資料です。お目通しくださいますようお願いいたします」

「目通し(めとおし・めどおし)」とは「目を通すこと」「全体を一通り見ること」。目上の人には「お」を付けて使います。

お納め

・「ささやかな謝金で恐縮ですが、どうぞお納めください

「納める」とは「物や金銭などを受け入れる」意。

お受け取り

・「心ばかりの品です。どうかお受け取りください

「受け取る」は「受納する」「領収する」という意味があります。

ご笑納

・「コンペの景品を同梱いたしました。ご笑納くださいませ

「笑納」は、もともと贈り物をする時の謙譲語で、「つまらない物ですが、笑って受け取ってください」という意味です。無理に使う必要はありません。コンペの景品に添える文面など、当たり障りのない物を送る時なら使えるでしょう。

最近では、つまらない物を贈るという謙遜した表現自体を疑問視する人も多いので、「お納めください」の方が無難です。

返信期限がある場合は合わせて伝えよう

「ご査収ください」と送った相手から「確かに受け取りました。内容も問題ありません」などすぐに返信が戻ってきたら安心しますね。しかし、全てのやり取りがそういう相手とは限りません。

期限付きで返信がほしい場合には、「ご査収の上、もし修正や改善の必要があれば、○曜日までご返信にてお知らせください」など具体的に示す方が良いでしょう。どんな対応を希望するのか、臨機応変に書き添えることも必要です。

(前田めぐる)

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