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やる気とは何か。心理学で分かる「やる気」の正体と高め方

高見綾(心理カウンセラー)

やる気とは何なのでしょうか? なぜ出なくなるのか、どうすれば気持ちを高めることができるのか。心理カウンセラーの高見綾さんが心理学の面から教えてくれます。

やらなきゃいけないことはあるけれど、やる気になれないことってありますよね。やる気の起きない自分に対して罪悪感を抱くこともあるかもしれません。

では、そんな時はどうしたらいいのでしょうか。そもそもやる気とはどういったものなのでしょうか。

無気力になってしまう原因や、やる気を出す方法などについて詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。

「やる気」が出ない時と出る時

やるべきことがあっても、やる気にならない、無気力になってしまう原因にはどのようなことがあるのでしょうか。

また逆に、どのような時にやる気が出るのでしょうか。

無気力になる原因

まずは人が無気力になる原因を4つ挙げてみたいと思います。

(1)やりたくないと思っている

好きじゃないことや、やりたくないことに対して、やる気は出なくなります。

「こんなのやって何の意味があるんだろう」と思っているようなものや、義務感でやっているようなものには、自分の中でそれをする目的が見つからず、気力が湧いてこないものです。

(2)成果が感じられない

例えば運動であれば、「体の調子が良い」「気分がすっきりする」などの変化があればやる気になりますが、そういった変化が感じられないとやる気は失われがちです。

「結果が数字に表れてこない」「誰からも認めてもらえない」「前に進んでいる感じがしない」など、物理的にも精神的にも報酬が得られないと意味を見いだせなくなり、やる気は削がれます。

(3)うまくいく気がしない

成功体験が少ないと、新しいことにチャレンジしようと思っても、うまくいく気がしないことがあります。

どこから手を付けてやっていけばいいのか具体的な道筋が見えなかったり、うまくいきそうな見込みがなかったりすると、やる前から「自信が無い」「どうせ無理だろう」と思ってしまうのです。

(4)自己評価が低い

「どうせ自分なんて」と思っていると、やる気が起きにくくなります。

うまくいかない時に、「なんでうまくいかないんだ、私なんてダメじゃないか」と自分を責めたり、「頑張ったって結果が出なければ意味が無い」と、自分の努力をなかったことにしていたりすると自己評価は低くなります。そんなふうに自分を認めてあげることができないでいると、次第に無気力になってしまうのです。

人間がやる気を出す時とは

逆に、人間はどんな時にやる気が湧いてくるのでしょうか。4つの代表的なものを挙げてみたいと思います。

(1)役に立っている感じがした時

自分のしたことで誰かが喜んでくれたり役に立っていると感じられたりすると、うれしくなり意欲が湧いてきます。

「あなたが必要」と求められている時も、自分の価値が感じられるのでより頑張ろうという気になるのです。

(2)前に進んでいる感じがする時

誰かに褒めてもらえたり、能力や頑張りを認めてもらえたり、できることが少しずつ増えていったりするなど、何かしら「前に進んでいる」と感じられると、モチベーションが上がり、やる気が出ます。

(3)成果が出た時

例えば仕事で頑張った結果、収益が上がるようになったとします。目に見える成果が出ると、うれしくなりもっと頑張りたいと思うようになります。

成果が出たり達成感を味わえたりすることで、その仕事が好きになることも多いですね。

(4)気分転換できた時

何か良いことがあった時には気分が良くなってやる気も出ます。

友達と遊んで楽しかったとか、お出掛けして好きな洋服を買えたとか、リフレッシュできた時も頑張ろうかなという気分になりやすいです。

「やる気」の正体とは

「やる気」とは、私たちが精力的に動こうとする時のエネルギー源のようなものです。似た言葉に「モチベーション」がありますが、こちらは行動しようとする動機や理由になるものです。「モチベーション」が高いので「やる気」が出る、「モチベーション」が低いと「やる気」が出ない、といえるかもしれません。

好きなことや、自らがやりたいと思っているようなことをする時は、モチベーションが高い状態になるため、多少大変なことであっても喜びや楽しみといったポジティブな感情の方が上回り意欲的にこなすことができます。

一方で、嫌なことや、やりたくないと思っていること、前に進んでいる感じがしないようなことに対しては、モチベーションが失われます。また、私たちは自分で決めることに価値を見いだすため、やらされている感じがするとモチベーションもやる気も低下してしまいます。

とはいえ、やる意義があったり、嫌いなことではなくとも、その日のコンディションによってはやる気が起きないこともありますよね。実は「やる気」には繊細な面があり、体が疲れていたり、ちょっとしたストレスや気になることがあったりするだけでも、低下してしまいます。私たちの体と心は密接に関係し合っているのです。

逆をいえば、体からアプローチをしてあげることで、心にスイッチが入りやすくなるということ。やる気が出ないからといって動かないでいると、ますます心にスイッチが入らずその気にならない、というループに陥ってしまうことが多いです。やる気を出したいのであればまずは動くことが大切なのです。

簡単にやる気を出す方法

では、やる気を出すには具体的にはどのような方法があるのでしょうか。簡単にできるものを紹介します。

(1)体を動かして気分転換する

上述の通り、体を動かすことで心にスイッチが入ります。近所を歩いてみたり、掃除などの家事をしたりして、なるべく体を使うことを意識しましょう。

運動が好きな人は、ハードな筋トレをするのも効果的です。最初は面倒でも、体を動かしていくと次第にやる気が出てきますよ。

(2)大きな声で自分を励ます

誰かが自分を励ましてくれているような感じで、「〇〇(自分の名前)、頑張れ! あとこれだけだよ」「〇〇(自分の名前)ならできる!」と大きな声で言ってみましょう。声を出すことで脳に刺激がいきますし、客観的に自分を捉えることができるので気持ちがスッキリするはずです。

友達から応援されているような感じがするのも、前向きに取り組めるようになるポイントです。

(3)背筋を伸ばして立つ

姿勢を良くして立つだけでも、自分の意思が強くなったように感じて、心のやる気スイッチが入りやすくなります。

2~3秒程全身にぐっと力を入れ、その後、大きく息を吐きながらリラックスする動作を繰り返してみると、なお効果的です。

(4)TO DOリストを作る

朝のうちに、今日やることを箇条書きにしてみましょう。優先順位が高いものにはチェックを入れます。

スマホのメモ帳も便利ですが、できたらポストイットなどに手書きするのがおすすめです。「これだけやればいいんだな」と視覚的にも分かりやすくなり、気持ちが整理されます。1つクリアできたら花丸を書いてみたりすると、達成感も味わえます。

(5)なりたい自分像をイメージする

5年後くらいにどのような自分になっていたいのかをイメージして、「理想の自分ならどんなふうに物事に取り組んでいるだろう?」と想像してみてください。

身だしなみなども含めて理想の自分になりきったつもりになってみましょう。未来に向けて進んでいる気持ちとなり、不思議と意欲が湧いてきますよ。

体を動かして心にスイッチを入れよう!

その日のコンディションによっては、どうしてもやる気が湧かないことはあるものです。些細なことでも、やる気は低下してしまうものなので、「やる気が出ない自分はダメ」と思い過ぎなくてもOKです。

やらされていると思うとモチベーションが下がってしまうので、自らやりたいと思えるようになるのが理想ですが、現実はそう簡単にはいかないもの。

どうしてもすぐにやる気を出す必要がある時は、体からアプローチするのが簡単です。まずは体を動かしてみて心にスイッチを入れましょう!

(高見綾)

※画像はイメージです

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