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「後の祭り」の意味とは? 語源や使い方について

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

日常生活で、「後の祭り」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。今回はそんな「後の祭り」の意味や語源、使い方などについて、ライティングコーチの前田めぐるさんに解説してもらいました。

日常生活でもしばしば耳にする慣用句、「後の祭り」。

手遅れというニュアンスであるだろうと思いつつも、「なぜ祭り?」と感じるのではありませんか?

実は、この成り立ちには、通常のにぎやかな祭りだけでなく、もう一つ、弔いの祭りが関連しているのです。

「後の祭り」とはどういう意味?

「後の祭り」を辞書で引くと、次のような意味が見つかります。

あとのまつり【後の祭り】
(1)祭りのすんだ翌日、神饌を下して宴会をする。
(2)(祭りのすんだ後の山車の意から)時機におくれてどうにも仕様のないこと。手おくれ。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)

このことから、「後の祭り」には、もはや手遅れでどうしようもない、という意味があることが分かります。

「後の祭り」の語源とは

前述した(1)は文字通り、「後の祭り」。「前の祭り」と比べて華やぎに欠けることから、見に行っても手遅れであるというようになりました。

(2)は、祭りが終わった後に、山車(だし)や神輿(みこし)などの祭事用具を持ってきても役に立たないということから、「後になって悔やんでも手遅れである」ことを意味するようになりました。

また、一説に、死後いくら手厚く故人を祭り、供養しても役に立たないことからきている、という話もあります。

こうした由来を持つ「後の祭り」という言葉。

普段の暮らしでも、ビジネスでも使われるということは、裏を返せば、それほど時機を逃すことが良くないことだとされてきたのでしょう。

「後の祭り」は、どんな時使えるのか?(例文付き)

さて、意味が分かったところで、実際に「後の祭り」はどんな時に使えるでしょうか。

シーン別の例文も併せて紹介していきます。

今から努力しても間に合わない時

例文

・資格試験はもう終わったのだから、今さら勉強しても後の祭りだ。

今さら後悔しても手遅れである時

例文

・あの事業は、もう事業者が決まった様子。入札すれば良かったといくら悔やんでも、後の祭りというものです。

終わってから行動しても間に合わない時

例文

・そのコンペは昨日終わりました。今日になって書類を提出しても後の祭りです。

「後の祭り」の言い換え表現

ここでは、「後の祭り」の言い換え表現として、似た意味を持つことわざや言葉を紹介していきます。

ことわざ

「後の祭り」はポピュラーな言葉ですが、他にも同じように「手遅れ」であることを意味する表現はいくつかあります。

「後の祭り」と似通った意味合いを持つことわざを以下に挙げます。

「泥棒を捕らえて縄をなう」

泥棒を捕まえてから縄を作り始めても遅いことから、事が起きてから慌てて対策をしても手遅れであるという意味。泥縄、とも略されます。

「バイトテロが起きてから警告しても、泥棒を捕らえて縄をなうようなものだ」というように使います。

「六日の菖蒲(あやめ)十日の菊」

5月5日の端午の節句は6日では間に合わず、9月9日の重陽の節句も10日では間に合わない。1日遅れたとしても、時機を失して役に立たないという意味です。

「今から開店祝いを贈っても、六日の菖蒲十日の菊だ」というような使い方をします。

「証文の出し遅れ」

終わった後に証拠の文書を出しても効き目がないことから、時機を逸しては何の役にも立たないという意味です。

「彼はもう企画書を仕上げてしまったので、今さらあなたが助言しても証文の出し遅れでしょう」というような言い回しをします。

その他の表現

ここでは、「後の祭り」の言い換え表現として、「手遅れになる」という意味を持つ言葉を紹介します。

「遅きに失する」

時機に遅れて役に立たない、遅すぎて間に合わないという意味です。

例えば、「今からチケットを手配するのでは、遅きに失するでしょう」というような使い方をします。

「後手に回る」

相手に先を越され、受け身の立場に立たされるという意味です。

「この対策はスピードが命です。後手に回らないように、どんどん手を打っていきましょう」というふうな使い方ができます。

ビジネスはタイミング。時機を捉えて確実に

いかがでしたか?

「後の祭り」には、もはや手遅れでどうしようもない、という意味があることを紹介しました。

古来、農耕民族だった日本人にとって、供物を捧げ、収穫を祈る祭りは欠かせないもの。

そこには、さまざまな整えるべき道具がありました。祭りの用意をおろそかにしておいて、収穫に良い影響があるはずもないと考えられたのでしょうね。

ビジネスにおいても、それは同じ。出会い、縁、商談、会話……。種まきをしたら、水と栄養をやり、霜から守り、丁寧に育むこと。「これだ!」と思うタイミングを逃さないこと。

「後の祭り」とならないように、しっかり時機を捉えたいですね。

(前田めぐる)

※画像はイメージです

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