人の気持ちを考える8つの方法。相手の立場に立つには
「人の気持ちを考える」って、結局どういうことなのでしょうか。相手のためを思ってしたことが裏目に出ると、何が正解か分からなくなってしまいますよね。今回は、人の気持ちを考えるということの本当の意味やそんな力を養う方法を、心理カウンセラーの高見綾さんに教えてもらいます。
良かれと思ってやったことが裏目に出て相手の地雷を踏んでしまうなど、人の気持ちをくみ取るのは案外難しいものです。
そこで今回は、相手の気持ちを考える力を養う方法を紹介します。相手の立場に立って物事を考えられるようになると、仕事や恋愛など、人間関係全般がスムーズになりますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
「人の気持ちを考える」とは?
「人の気持ちを考えよう」などと言葉では簡単に言うものの、私たちは実際のところ「人の気持ち」をちゃんと考えられているのでしょうか?
そもそも「人の気持ちを考える」とはどのような意味なのか、考えてみましょう。
「人の気持ちを考える」の意味
人の気持ちを考えるとは、「相手の気持ちをくみ取って物事を考えられる」ということ。親や兄弟など、近い関係の人たちであっても、性格や価値観、物事の捉え方などは異なります。
当たり前ですが、全ての人が自分とは別人格なので、本当の意味で相手の気持ちを理解することは難しいものですが、それでも想像することはできます。
「自分」に置き換えて考えるだけでは不十分?
「自分がされて嫌なことは、相手にもしない」「自分がされてうれしかったことは、積極的に相手にもしてあげよう」とよく言いますが、これは半分正解で、半分不正解です。
「もし自分が相手の立場だったら」と想像するだけでは、不十分であるケースもあるからです。
例えば、悩んでいる時はそっとしておいてほしいと思っている人が、相手にも同じことをしたとします。けれど、その相手は気にかけてほしいと思っている人だったとします。すると「放っておかれて寂しかった」「私には興味がないのね」と思わせてしまうこともあります。
相手の気持ちを想像する時は、その人が育ってきた環境や過去の経験、性格などを含めて考えることがポイントです。「どんなことをしたら喜んでくれるかな?」と考えたり、「こういうことを言うと嫌がるだろうな」と傷つかないように配慮したりする必要があるでしょう。
自分基準の考えで行動していると、良かれと思ってしたことが裏目に出てしまうことが少なくありません。自分は正しいことを言ったつもりなのに相手がムッとしてしまった、なんて経験をしたことがある人もいるかもしれません。
人の気持ちに配慮できればトラブルも減りますし、相手から良い印象を持たれるようになり、信頼度もアップすることでしょう。
人の気持ちを考えられていない人の特徴
では、人の気持ちを考えられていない人にはどんな特徴があるのでしょうか。詳しく紹介します。
(1)自分が正しいと思っている
「私は間違っていない」「あの人がおかしいのよ」というように、自分の意見の正当性を主張したいがために、相手を否定しがちです。
相手の気持ちを理解するよりも、自分が正しいことを分かってもらいたいという気持ちの方が強いのが特徴です。
(2)常に正論を言う
例えば、恋愛に悩んでいる人がいた時に、「悩んでるだけじゃ何も解決しないよ」「同じことでずっと悩んでるよね」という言い方をします。本人としては悪気がないことが多いですが、正論は相手を追い詰めてしまうことも。
「そんなこと分かってるけど、できないから悩んでるんだよ」などと、相手に思われかねません。
(3)損得勘定が多い
どうやったら自分の得になるか(損をしないか)ばかりを考えている人は、人間関係においても自分を中心に物事を考えます。
自分に有利になるよう相手に動いてほしいと思うので、純粋に相手を思いやるという発想を持ちづらくなります。
(4)心に余裕がない
不安などから心に余裕がない状態だと、その悩み事で頭の中がいっぱいになります。誰かと話していても、目の前の相手に集中することができず、頭の中は別のことを考えていたり……。
すると、相手の反応や雰囲気、声のトーンなどのささいな変化に気付きにくくなり、相手に配慮が足りない行動を取ってしまうことになります。
(5)自分の感情を抑圧している
自分の感情をないがしろにしていると、相手の気持ちにも気付きにくくなります。
「くよくよしないで強くあらねば」というように、弱い自分を見ずに「~すべき」「こうあるべき」といった思考優位の状態になると、論理的に正しい発言はできても、人の気持ちを逆なでしてしまうことがあります。
相手の気持ちを考える力を養う方法
では最後に、「相手の気持ちを考える力」を養う方法をお伝えします。
(1)アドバイスは相手から求められた時だけにする
例えば、「最近、元気が出ないんだよね」と悩みを打ち明けられた時に、解決しなくちゃと思って「~したらいいよ!」とアドバイスしてしまうことってありますよね。
でも、本当に解決策を求めている人は、「どうしたらいいと思う?」と聞いてくるものです。そういった発言がない時は、アドバイスよりも「相手の話をじっくり聞くこと」をおすすめします。
(2)「どうすれば喜んでくれるか」を想像する
見返りを求めることなく、純粋に相手に喜んでほしいという気持ちで考えましょう。
すると、相手が好きなものをリサーチしたり、最近の言動にヒントがなかったか注意深く観察したりするなど、自然と相手に興味を持つことになります。
(3)相手の反応をチェックする
例えば、職場の人が旅行に行くと聞き、その旅行先に関する情報をあれこれシェアしたとします。しかし、思ったほど喜ばれていないという場合は、もしかするとありがた迷惑だったのかもしれません。
相手の反応をよく観察して、感覚のズレを修正しておきましょう。
(4)相手に聞く
自分だけで考え込んでも分からないような時は、相手に聞いてしまうのが手っ取り早い方法です。
恋愛でも、彼氏の気持ちが分からない時は、一人で抱え込むのではなく本人に聞いた方がいいですよね。「どうしてほしい?」「どう思う?」など、直接聞くことで理解を深めましょう。
(5)自分の感情を大切にする
日頃から自分の感情を抑圧して過ごしていると、人の気持ちにも気付けなくなります。
相手の気持ちを理解しようと思ったら、自分も感情豊かでいる必要があるのです。ネガティブな感情も、人の気持ちを理解するのに役立ちますので、「こうすべき」といった理屈で抑え込むのではなく、「寂しいな」「悲しいな」など、ありのままの感情の揺れ動きを受け止めましょう。
(6)相手の地雷を見つける
どんな人にも、触れてほしくない話題やこうされると嫌という地雷ポイントがあるものです。特に、相手のプライドは傷つけないことが大切です。
相手をよく観察して、どんな話題の時に不快な反応を示すのかを見ておきましょう。
(7)一人の人としっかり向き合う
嫌だなと思えば関係を断ち、ぶつかることがあれば自分が我慢するというように、誰に対しても浅い付き合いをしていると、人に対する理解は深まりません。
家族や友達、恋人など、たった一人でいいので、しっかりと向き合う相手を持つといいですね。その人と深く付き合うことを通じて、人に対する理解が深まっていきます。
(8)相手の言動に「なぜだろう?」と興味を持つ
心理学では、自分には理解できなくとも、「相手の言動には、その人なりの理由が何かある」と考えます。
「あり得ない」と思って突っぱねてしまうとそれまでですが、「なぜこの人はこんな言動を取るんだろう?」と興味を持つと、相手の心理が見えてくるようになります。
相手に興味を持ち想像する
自分と他人は、育ってきた環境も、性格も考え方も異なります。それゆえ、自分の感覚だけを基準にしていると、相手の気持ちとズレてしまうことがあります。
人の気持ちを完全に理解するのは難しいですが、相手に興味を持つことで想像することはできます。相手の気持ちに寄り添って、良い関係性を作っていきたいですね。
(高見綾)
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