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自主性とは。主体性との違いや自主性を高める方法を解説

ぱぴこ

自主性を持って行動して……という言葉を聞きます。何となく「ある方がいいんだろうな」と思うものの、明確なメリットとは何なのでしょう。外資系企業で働くコラムニストのぱぴこさんいわく、自主性がない人は今後の社会で必要とされなくなるかもしれないとのこと。一体どういうことなのでしょうか?

自主性、求められていますか?

コロナ禍の緊急事態宣言では要請という言葉と共に「コロナ流行・感染を広げないための自主的な行動」を全国民が求められたともいえます。

仕事の場でも「自主性を持った人材が欲しい」「自主性・主体性のある人物が望ましい」などの表現が踊り、自己アピールとしても活用できる概念です。

自ら動いて問題を解決できる人は頼もしいですし、常に指示待ちで受け身な人よりも優秀そうに思えます。

今回は、自主性とは何か? 自主性を高めるためにはどうすればいいか? を解説します。

自主性とは

まずは自主性の意味について見ていきましょう。辞書を引くと下記が出てきました。

他に頼らず、自分の力で考えたり行なったりすることのできる性質。
(出典:精選版 日本国語大辞典)

自主性と主体性の違い

一方、主体性はというと、「自分の意志・判断によって、自ら責任を持って行動する態度や性質」を指します。

これだけ比べると「同じでは……?」と思ってしまいます。自主性も主体性も自分の判断で行動することを表現した言葉のため、違いは少し把握しづらいです。

違いを見るためにもう少し深堀りすると、主体性は「何をすべきかも含めて自分で考え、意思決定して実行すること」であり、自主性は「ある対象に対して、やるべきことを判断し、積極的に行動すること」です。

このため、「自分が動くべきか否か?」の根本的な判断、また「何をするべきかの対象」の定義も含めて決定する「主体性」という言葉の方が、範囲と関与する事柄が大きいといえます。

つまり問題を発見、定義して、それに対して行動が取れるという点で、主体性は自主性よりも創造性が高いということができます。

とはいえ、日常的な言葉として「自主性・主体性」は同じグルーピングで語られることが多く、それらが示すことは「自分で考えて行動に移せる人物」であることに相違はないでしょう。

参考記事はこちら▼

主体性ってそもそも何? その正体はこちらの記事で詳しく解説します。

自主性の使い方(例文付き)

前述した通り、自主性とはその人の性質を表す時に使う言葉です。基本的に「自主性がある」はポジティブな、「自主性がない」はネガティブな意味合いを持つことになります。

例文

・彼女は自主性があり、周りを巻き込んで行動できる人材だ

・自主性がないのが自分の弱みだ

・部下の自主性を育てるため好きに行動させよう

自主性の英語表現

自主性を英語で表現する際には「independence」を使うと良いでしょう。「自ら決める」といった意味合いがあります。

また、「autonomy」も「自律性」を意味する言葉なので自主性と近い表現となります。

自主性の類義語や言い換え表現

自主性の類義語は下記となります。

・自立心
・独立心

どちらも他人に依存せず、一人立ちしようとする心を指す言葉で、自分で考えて物事を成すといった意味を持つ自主性と似た意味を持ちます。

自主性の対義語

自主性の反対の意味を持つ対義語についても見ていきます。

・受動性
・協調性

受動性は他からの働きかけを受け入れる性質のことです。自分から動くのではなく、他者から影響を受けて動き始めることを指します。

また、協調性は自分とは異なる考え持つ人たちと助け合いながら一つの目標に向かっていくということ。

どちらも自分が主となって引っ張っていく自主性とは反対の性質を持つ言葉でしょう。

自主性のある人の特徴

言葉の意味が分かったところで、具体的に自主性のある人とはどういった特徴があるのかを見ていきましょう。

(1)面倒くさがらない

自主性のある人は、例えば「Aというイベントをやろうと思うが、誰か取りまとめをお願いしたい」という議題が挙がった時に、率先して「私がやります」と手を挙げることができます。

「やってもいいけど、面倒だしな」と思ってしまう人は多いですが、自主性がある人はその「面倒」という感情だけで行動することをやめるといったことはありません。

(2)責任感があり意欲的に動ける

自主性を持って動けるということは、自ら先頭に立って動けるということです。積極性があり、行動的で先陣を切って動くことができます。

(3)指示待ちで止まってしまうことがない

多くの場合、物事が止まったり進捗が悪い理由は「どうしたらいいか分からないまま放置したから」です。

自主性のある人は分からないことが発生しても「分からないから」で放置せず、必要な人に確認を取り、物事を進めることができます。

(4)柔軟な対応ができる

自主性がある=頑固ではありません。自主性がある人は確かに自分で考えて動くことができる意思の強さがありますが、他人の意見を聞けなかったり、自分が正しいと思って行動しているわけではありません。

あくまで、自ら進んで動けるということであり、独善的な態度にはならないのです。

(5)自分に自信がある

「失敗を恐れない」という強いマインドがあるのが自主性を持っている人ですが、その理由は「自分に自信がある」という点に集約されます。

失敗=自分を否定するものではない、という強い自信があるため、積極的な行動に出られるのです。

参考記事はこちら▼

どのようにしたら自信が持てるようになるのでしょうか。自信の中でも、あると強い「根拠のない自信」を持つ方法を紹介します。

(6)計画性がある

自主性があるからといって、全てに手を挙げて「全部自分が!」という態度では業務量もスケジュールも破綻しかねません。

自分ができる業務量、今の業務量、そして期日をきちんと把握して計画できた上での自主性です。自主性があると評される人は、全体の計画立てがうまいのです。

(7)会社や周りの人を巻き込んで行動できる

自主性のある人は、より成果の得られる行動を自ら考えて実行できる力があります。例えば、それが自分だけではなくチームや会社全体で行った方が良いと判断すれば、周りを巻き込んで進めていこうとするでしょう。

自主性はなぜ必要なのか? 自主性がある人とない人の違い

常に指示待ちで1から10まで全てを言わないと動けない人より、今ある課題に対してどんどんアクションしてくれる人がいいのは当然です。

自主性がある人とない人の仕事の違いには、どういった点があるのでしょうか。

(1)「言われてないので分かりません」で仕事が止まるかどうか

指示を出す側、監督する側が適切に指示を出すべき……という前提はありますが、全てにおいてスタッフの仕事を把握して適切に指示を出せるわけではありません。

例えば、荷物を梱包する作業を振られたら、自主性がある人ならば梱包後の工程である「郵送手続き」について確認し、その仕事を巻き取るなどスムーズな移行のための行動ができます。

しかし、指示待ちが前提の人はただ「梱包」という作業に追われるため、梱包が終わったらそれで完了し、なおかつ「ぼーっと」していたりします。

自主性のあるなしは、想像力と責任感の差であると映ることもあります。次も一緒に仕事をしたいと思う人が、どちらのタイプかはいうまでもありません。

(2)「私の仕事じゃないです」「私は関係ない」が発生するかどうか

自主性のある人の最大の特徴は「全てが自分事」と言い換えることができます。

仕事をしていればある程度、役割分担ができます。しかし、だからといって「これは私の仕事ではないのでやりません」と過度に範囲を提示してくる人や、「私には関係ないことだから」と全く手伝わない人ばかりいたらどうなるでしょうか。

「職務規定上はそうだけど……」という部分を超えて動くことを全否定する態度は、プラスの評価は得にくいです。

どんどん自分の仕事の範囲を広げられる人と、そうではない人では成長スピードにも差が出てしまうので、あまりにも自主性がないというのは考えものです。

(3)成長志向があるかないか

自主性がある人は「どんどん仕事をしたい」「成長したい」というマインドを持っています。そのため、自分の範囲外の仕事でも興味があることにはどんどん手を挙げる積極性があります。

もちろん、仕事は業務をやっていれば一定の評価を得られますが、様々な経験を自分の行動でつかんできた人と、そうでない人には1年後、3年後、5年後で大きな差がつくことは間違いありません。

人から頼まれたことしかやらない、自分からは動かないという態度を続けていると成長の機会を失います。受け身は一概に悪いことではありませんが、チャンスを失う行為であることは間違いありません。

自主性を高める方法

どう考えてもあった方がいい自主性ですが、「自主性がある方がいいから身につけよう」と思って身についたら誰も苦労はしません。では、何から取り組めばいいのかを考えます。

(1)「手を挙げる」ことをゴールにする

自主性のある人とない人の一番大きな違いは「私がやります」の一言が言えるか言えないかの違いです。言ってしまえば瞬発力の違い。

もちろんそこには自信の有無や、能力の有無もありますが、一番大きいのは結局「やります」の一言が言えるかどうかです。

そのため、「手を挙げて失敗したら」「クオリティが悪かったら」などを考えず、まずは「手を挙げる」ことをゴールにして実行するように努めましょう。

大体のことはやって覚えることばかりです。挑戦しないことによる機会損失の方が大きいと心得ましょう。

(2)人は自分を気にしていない、と思う

自主性を持つために行動する過程で、過剰に失敗を恐れたり、「目立とうとしていると思われないだろうか」と心配したりする人は多いです。

一言で言えば自意識過剰なのですが、この自意識過剰をどうにか抑え込まないと、自発的に行動するというアクションにはなかなかつながりません。

「自信を持て」「失敗を恐れるな」という言葉は確かにその通りですが、これらを怖がってしまい心理的なストッパーが働く人に、「考えるな、感じろ!」と言っても無駄です。

そのため、マインドセットを変えるために、「そもそも人間は大して他人に興味がない」と過剰に他人を意識してしまう点を書き換えるのです。

多少訓練は必要ですが、「自信をつける」などの道のりは長いため、試してみる価値はあります。

(3)小さな成功体験を積む

自信をつけるには長い道のりが必要なものの、根本的に自主性は一定の自信によってしか構築されません。そのため、自分の「できるじゃん」という自己肯定感を上げることはやはり必要です。

ではどうするか? 小さなゴールをたくさん作り、それを達成して、自分に「できた」と思わせる機会を増やすことです。

例えば5分早く起きるとか、通勤時間に必ず勉強アプリを開くとか、「絶対に達成できるものを目標にして続ける」を繰り返します。

一つできたら、もう少し大きな目標を立てて実行すると、少しずつ「できる」自分に変わります。

部下の自主性を育てるには?

最後に、もしあなたが上司という立場だった場合。部下の自主性を育てるためには、どうすればいいでしょうか?

まずは自分の考えを押しつけるのではなく、部下の意見を尊重することから始めましょう。「どうすればいいと思う?」など、相手の考えをヒアリングして、意見をうまく引き出すのです。

「自分の意見を聞き入れてくれる」という環境を作り出すことで、部下が自信を持ち、自分の考えのもと動いてくれるようになるでしょう。

ただし、注意したいのは意見を聞いた後に何のアドバイスもせずにそのまま部下に任せてしまうことです。

部下の中には、自分の意見を出したものの、どう動けばいいのか分からなくなり、そのまま行動ができなくなる人もいるでしょう。そんな時は、様子を見つつ、フォローをするようにしましょう。

選ばれる人間になるために自主性は必須

自主性が重んじられない時代はもう来ないかもしれません。日本が今後、劇的な成長を見せる期待は少なく、より生産性が高い人が求められる傾向は変わらないでしょう。

労働人口が減ることで相対的に若者の価値が上がる可能性はありますが、グローバル化が進む中で、より安価な労働力を海外から得ることで代替される可能性は高いです。

その中で「選ばれる」人間になる必要があり、自主性という要素は一層重視されることが予想されます。

自主性とは言い換えると「私がいます!」「私に任せてください!」というメッセージになるからです。目に留まらない者を評価はできません。

ただし、単に「私がいることアピール」をするだけでは目立ちたがり屋です。

自主性とは、自分が動くことによって周囲に良い変化をもたらすことができる人間です。

自分自身のためだけではなく、周囲にとってもプラスになるような自主性を身につけてください。今回は以上です。

(ぱぴこ)

※画像はイメージです

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