「自分の意見がない人」認定されないために。原因と5つの対処法
会議中などに、意見を求められたくないとドキドキした経験はありませんか? 今回は、「自分の意見がない人」認定されないために、自分の意見を伝えるコツを心理カウンセラーの桑野量さんに教えてもらいましょう。
仕事をしていて「自分の意見はないの!?」と言われたことはありませんか。また、何か意見を言おうとしても、喉元で言葉が止まってしまうこともあるかもしれません。
自分の意見が言えないことで困っているのなら、改善する方法を見つけていきましょう!
「自分の意見がない」とは?
自分の意見がないとは、意見を求められているのに、自分の言葉で意思表示することができない状態を指します。
たとえ何か言葉を発したとしても、それが誰かの意見に合わせてしまっていると捉えられると、「自分の意見はないの?」と言われてしまうことも。
相手からすれば、「あなたが何を考えているのか?」「どう感じているのか?」分からなくなってしまうのです。
自分の意見が言えない原因
では、なぜ自分の意見が言えないのでしょうか? その原因を紹介します。
(1)正しいことを言わなければいけないと思っている
間違えたことを言ったら、どうしようと不安が大きくなっているのかもしません。
絶対に間違えたことを言わない方法は、自分の意見を言わないことです。そのために、自分の意見を言わないという行動を選択してしまいます。
(2)恥ずかしいと思っている
自分の意見を伝えることを、恥ずかしく感じているかもしれません。
子どもの頃、教室で意見を求められても恥ずかしくて押し黙ってしまった経験はないですか。そのように、大人になっても何かの意見を言うことに、恥ずかしさから抵抗してしまうことがあります。
(3)責任を取りたくない
何か意見を言うことで、その発言に対して責任を取らなければいけないと感じているかもしれません。その責任を回避するために、何も意見を言わないか、誰かの意見に合わせてしまうのです。
(4)何を求められているのか分かってない
意見が言えないのではなくて、相手が求めていることが何か分からないので、答えようがないのかもしれません。
相手との関係や状況によっては質問や聞き返すことができない場面もありますよね。「意見がないの?」と言われても、何について発言すればいいのか分かっていないのです。
(5)何も言わないことが意思表示になっている
何も意見を言わないこと自体が、一つの意思表示になっていることがあります。
喧嘩しているときに、何も言わないということがありますよね。それは「怒っている」ことを相手に伝えているのです。
「意見を言わない」ことで、怒りや悲しみ、不満を表現しているのかもしれません。
「自分の意見がない」と言われる人の心理
さまざまな原因から「自分の意見がない」と言われる状況に陥っていることが理解できたのではないでしょうか。
では次に、そんな「自分の意見がない」と言われる人の心理を紐解いていきましょう。
(1)自分に自信がない
正しいことを言わなくてはいけないというプレッシャーを感じているのなら、それは「自信のなさ」の裏返しかもしれません。自分の意見を否定されることを避けたい心理が働いています。
(2)周りに合わせてしまう
幼い頃から自分の意見を言える環境がないと、周りの人に合わせることがコミュニケーションの基本的なスタンスになってしまいます。
過干渉な環境で育った場合など、自分の意見よりも周りに合わさなければいけなかった生い立ちが影響していることもあります。
(3)依存的である
自分の発言に責任を取りたくないという気持ちが強いのは、誰かに任せておきたい依存心からかもしれません。リーダーや上司など責任のある立場も避けたいと思っていることもあります。
(4)関心がない
人は興味や関心があることには、自然に自分の意見や考えが浮かんでくるものです。つまり、意見がないということは、そのことについて「どうでもいい」と思っているかもしれません。
やりたくない仕事について、「これからどうすれば業績が上がるのか?」と意見を求められても、そもそも興味がないので意見も言えないのです。
(5)不平不満がある
意見を言わないこと自体が意思表示になっている場合、その多くは不平不満が隠れていることがあります。沈黙というメッセージで、その不平不満を相手に伝えているわけです。
自分の意見を言ったところで、相手が受け入れてくれない状況が続いているのであれば、フラストレーションもたまっていきますからね。
自分の意見を伝えるコツ
そんな「自分の意見がない」と言われる人が、自分の意思を伝えるコツがあります。
もう「意見がない」などと言わせないために、できることから始めてみましょう。
(1)一回で正しいことを伝えようとしなくていい
コミュニケーションとは、一回で相手の求めている答えを返すことではありません。キャッチボールのようにラリーを繰り返して、すり合わせていくことがコミュケーションです。
正しいことを言うよりも、コミュニケーションの回数を増やすことを意識してみてださい。何度もラリーを繰り返すことが習慣になってくると、正しいことを言わなければいけないプレッシャーも減っていきます。
(2)周りの人の力になることを意識する
嫌われないように受け身の姿勢で、周りの意見に合わせるのではなくて、相手のために何か自分が与えられるものがあるという意識を持ってみましょう。
自分の意見を言うことが、周りの人にポジティブな影響を与えていくという経験を積み重ねていくのです。それが自信にもなっていきます。
(3)相手の目を見る
恥ずかしさを感じていたり自分に自信がなかったりすると、相手の目を見ることができなくて避けてしまいます。
相手の目を避けていると、意識が自分にばかりに向いてしまい、恥ずかしさがより強化されて頭が回らなくなります。
よって、相手の目を見ることは、実は自分の気持ちを落ち着かせることでもあります。
(4)日記をつける
日記でもSNSでもいいので、自分の頭の中にあるものを文章として書く練習をしてみてください。
打席に立つ前に素振りをしておくことが大事なように、日頃から自分の意見を伝わりやすくまとめる練習をしておくことで、意見を求められたときに自分の言葉を整理して伝えられるようになります。
(5)興味を持つ
自分の意見を言うためには、その物事に関心がないと意見すら思い浮かびません。
何か意見を求められたときに、「それについて自分が興味を持つにはどうすればいいのか?」を考えてみてくださいね。自分事化することが興味を持つことの第一歩です。
伝えようとする姿勢を見せていこう
自分の意見がないと言われてしまうと、自分のことを否定されているように感じてしまうかもしれません。
しかし、相手があなたに興味がないのであれば「自分の意見がないの?」と言ってくることもありません。何も言わないで放っておけばいいですからね。
つまり、相手はあなたの意見を待っているのです。
そのことを信頼して、自分の意見を伝えてみてください。初めからうまくいかなくても、あなたが伝えようとする姿勢がそのまま相手へのメッセージとなりますよ。
相手は、伝える内容よりも伝えようとする意思を待っているのかもしれません。
(桑野量)
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