お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

職場のコミュニケーション不足が起こる理由と改善策

ぱぴこ

職場でチャットツールが普及し、飲み会も少なくなった昨今。煩わしいことが減った代わりに、コミュニケーションを取る機会も少なくなりました。そもそも、会社でコミュニケーションを取ることは重要なのでしょうか? その疑問に、外資系OLコラムニストのぱぴこさんが答えてくれました。

ストレスなく、仕事が円滑に進むかは「人間関係」によります。

日頃からコミュニケーションを取っていれば「ちょっとしたお願い」や「ちょっとした確認」は呼吸をするように行えますが、そうでないと話しかけるのも一大事になります。

HR総研が実施した『社内コミュニケーションに関する調査 』では「コミュニケーションに課題があると感じる企業」は8割にも上ったという結果が出ています。

特に「部門間のコミュニケーション」は課題が多く、現代においても縦割り社会の企業がまだまだ多いようです。

本調査では、企業規模にかかわらず「コミュニケーション不足は業務の障害になる」という回答が9割を超え、企業におけるコミュニケーション不足が明確なボトルネックとなっていることが見て取れます。

現在は「飲みニケーション」は死語となり、仕事とプライベートは分けるという考え方が主流です。

それにより、煩わしさは少なくなりましたが、だからといって職場のコミュニケーションが不必要かというと、そうではありません。

「仕事をうまく進めるためのコミュニケーション」は、ある種の業務として必要だと私は考えます。

職場のコミュニケーション不足が影響して起こること

職場のコミュニケーションが不足したときの悪影響は、大きく分けて2つあります。それぞれの悪影響について具体的に見ていきましょう。

悪影響1:仕事の生産性や質が落ちる

ケアレスミスが増える

コミュニケーションが少ないと「ちょっとしたこと」を相互フォローする機能が失われます。そのため、例えば数字の桁や、取引先の名前の漢字間違いといった「ちょっとした」ミスをフォローすることができません。

たらい回しが発生する

顔見知りのAさんからの依頼と、ほぼ知らないBさんから同じ依頼がきたときに、めちゃくちゃ忙しくても「Aさんだしな」と対処するのが人情です。

コミュニケーション不足の職場ではこの感情が起きないために、「忙しいので別の人に聞いて下さい」というたらい回しが発生します。

冒頭の部署間の縦割り問題も「知っている人がいない」に起因することが多い印象です。

ノウハウが蓄積されず、引き継ぎされない

コミュニケーションがないと、ノウハウが継承されません。世の中には「聞けばすぐ分かるが、調べると分からん」ことは意外と多いです。

悪影響2:職場やチームの雰囲気が悪くなる

退職する人が増える

雑談や会話ができない雰囲気の悪い場所では「嫌だ! 辞めたい!」と思うのは当たり前です。そのため「心を病む」「離職する」といった形で表面化します。

参考記事はこちら▼

職場特有の人間関係を改善する考え方や話し方、苦手な人との関係でストレスをためないコツを紹介していきます。

あなたは大丈夫? 職場の人間関係を診断でチェック

参考記事はこちら▼

「ダメ上司」と呼ばれる人にはいくつか特徴があります。あなた自身はダメ上司になっていないかチェックしてみましょう。

参考記事はこちら▼

上司とうまくコミュニケーションがとれているか、あなたの「世渡り上手度」を心理テストでチェックしてみて。

職場のコミュニケーション不足を解決するメリット

職場のコミュニケーション不足で起こるデメリットについて見てきました。では、コミュニケーション不足を改善するとどうなるのでしょうか。

コミュニケーションに関するストレスが減る

一番はこれです。コミュニケーションが不足している・うまく取れないことによって受けているストレスを改善することができます。

社員の離職率が下がる

ストレスが減ることで、社員が働きやすい職場となります。社員同士のトラブルも少なくなるため、人間関係で心や体の調子を崩すこともなくなるでしょう。それによって離職率が下がります。

作業効率や生産性が上がる

社内での知識の共有がしやすくなるため、作業効率があがります。また、コミュニケーションが円滑になることで上司や同僚に相談しやすい環境となり、ミスを未然に防ぐこともできるでしょう。結果、業務の生産性が上がります。

 

なぜ? 職場のコミュニケーション不足の背景と理由

職場のコミュニケーション不足の原因は一体なんなのでしょうか?

テレワークやフリーアドレス化による人との接点の減少

コミュニケーションが不足する大きな原因としてテレワークやフリーアドレス化による、人との接点の消失が大きいでしょう。

このコロナ禍で仕事のやり方が大きく変わり、テレワークやフリーアドレス化を推進する企業が増えました。

それにより、今まで対面で話すことで伝わっていた細かいニュアンスを文面ではうまく伝えることができず、ストレスを抱えるようになった人もいるでしょう。

また、雑談や簡単な相談も気軽に行うことができなくなり、上司や同僚といった同じチームの人と足並みを揃えることが難しくなりました。

本来であれば、この問題はテクノロジーの進化にうまくコミュニケーションがハマれば解決できることです。

以下は、なぜテクノロジーの進化にコミュニケーションがハマらないのか、その理由についてピックアップして考えていきましょう。

(1)機能しない社内ネットワーク

今回のコロナ対策でも、せっかくの救済制度があるにも関わらず、広報が徹底されていないことによって制度自体に気付きにくいといった問題がありました。

「ここに書いてあるから見ておいてね」的な情報掲載は「見ている人しか知らない」という決定的な欠陥を持ちます。

せっかくコミュニケーションを取るための社内ネットワークがあっても、知らなければ使うことができません。

でも、この「出しているから見ておいてね」で逃げている広報、社内ではよく見ます。

(2)とりあえずのグループメール

抜け漏れがないようにと使われるグループメールですが、全体にばんばん送られてくる=自分事ではない、とチェックしない人が増える制度でもあります。

結局、対象者or発信側と繋がりのある人だけのコミュニティツール化してしまい、自分事ではないと思った人は見ないというコミュニケーション不足につながります。

(3)メール文化に対応しない言語力とケア不足

チャットやメールというコミュニケーション手段が増えた昨今、対面でのコミュニケーションは減少しています。そんな中、問われるのは「日本語力」。

相手が読んだだけで分かるメールを心掛けるはもちろんですが、気遣いなどが見えるかどうか、冷たい印象がないかなどは受け手の印象を左右し、相手とコミュニケーションがうまく取れるかにも関わってきます。

ここがうまくできないと、本人がそんなつもりはなくとも「冷たい」と感じるメールで受け取った側を委縮させてしまうこともあります。

職場のコミュニケーション不足を解消する改善策

百害あって一利なしのコミュニケーション不足ですが、どうすれば解消できるのでしょうか。

(1)自然に褒める、日常会話を挟む

コミュニケーションは結局のところ「日常会話の積み重ね」でしかありません。

最初はあいさつから、慣れてきたら天気の話や持ち物を褒める……など少しずつプライベートに踏み込む領域を増やすしかありません。

(2)上司やリーダーが部下への声掛け文化を作る

「今日からコミュニケーションを取りましょう!」と言ったところで、どうすればいいの……? との迷いを産むだけです。

ここは、チームリーダーが声を掛ける、人と人をつなぐというコミュニケーションハブを担うべきです。もしくは、それを提案しましょう。

(3)メールのみではなく、チャットや電話を補助的に利用する

メールで送った件について、チャットや電話でフォローすることで仕事の認識齟齬を避けることができます。

何度か繰り返すと「連絡をくれる人」「気軽に連絡できる人」と相手に認識され、スムーズにコミュニケーションが取れるようになるでしょう。

(4)業務時間の「ランチ懇親会」を活用する

コミュニケーションを活性化させるには、たまに対面で話すのもおすすめです。ただし、飲み会は時間を取ります。でも「ランチ」なら? ハードルはぐっと下がりますよね。

お酒を飲まなくてもコミュニケーションは取れますし、1~1.5時間程度の短い時間で話すことで「長い時間、頑張る」という足かせも外れます。

参考記事はこちら▼

キャリアカウンセラーに、ビジネスコミュニケーションにおけるスキル向上方法を教えてもらいました。

いい職場環境のためにコミュニケーションを取ろう

コミュニケーション不足は、ただの「居心地」の問題だけではなく、業績や効率性の低下につながる問題です。

すぐに解決することは難しいですが「コミュニケーション改善のためには」を日々考え、良くしていこうという意識なしに成し遂げられるものではありません。

「居心地のいい場所」は与えられるものだけでなく、自分で作り上げるものでもあります。

いまいち職場でコミュニケーションが取れていないなぁと感じた場合は、どうしたら改善できるかを提案&実践しながら、自ら快適な空間へと変える行動を取りましょう。

(ぱぴこ)

※画像はイメージです。

SHARE