怒っている人を上手になだめる3つの方法
怒りに任せてモノ申してくる人って腹が立ちますよね。そんな人をうまくなだめる方法を、精神科医のゆうきゆう先生に教えてもらいます。スマートに対応しましょう。
あなたの職場に「怒りっぽい」人はいませんか? 怒っても仕方がないことにすぐカッとなって怒鳴る人、イライラして周囲を緊張させてしまう人、店員や恋人などにびっくりするほどの剣幕で怒りを爆発させる人……。
このような怒りっぽい人がいることで、周りの人も「また怒られるかも」と毎日怯えながら過ごす始末。
怒っている人がいると、たとえ怒りが自分に向けられたものではないとしても、気分が悪いものです。
なぜ人は怒るのか?
人間は常に、本能的な部分を「理性の殻」で包んでいます。その「理性の殻」のおかげで、人は本能に直結したような行動を取らずに済むものなのです。もし、普段の生活で「イラッ」としたことがあっても、たいていの人は怒りを外に表さないものですよね。
しかし、たまにこの「理性の殻」が弱い人もいます。例えば、発達障害を抱えている人などには多く見られます。
また、心理学用語で「置き換え」というものもあります。
例えば、有名なアニメ『ドラえもん』の登場人物にジャイアン、スネ夫、のび太がいますよね。乱暴者のジャイアンは、従者のようなスネ夫をことあるごとに怒鳴りつけます。そして、ジャイアンに歯向かえないスネ夫は、ジャイアンに怒鳴られたうっぷんを晴らそうと、自分より弱い立場ののび太をいじめるのです。
これと同じように、上司などから怒られて言い返せずにストレスを抱えている人が、全く無関係であるコンビニの店員の取るに足らないミスに激怒する……などが「置き換え」の分かりやすい例です。
ストレスをため込んだ人は、その感情をぶつけられる対象を無意識に探しています。そしてたまたま見つけると、ここぞとばかりに怒りを爆発させるのです。
火に油を注いでいる!? 怒っている人へのNG対応
今まさに怒っている状態の人をなだめたいときに一番やってはいけないことは、怒っている相手に「すぐに言い返すこと」です。
怒りで論理的に考えられなくなっている人に対して、たとえ正論を述べていたとしても相手の怒りをヒートアップさせるだけです。あなたの言いぶんに耳を貸すことはないでしょう。
相手の言い分を聞かないような態度はすべてNG。相手は「受け入れてほしい」という思いがあるから怒っているのです。その思いを無視することは、怒りの火に油を注ぐようなものです。
あなたやあの人の「怒りっぽい人度」を診断で詳しくチェックしてみましょう。
怒っている人を上手になだめる方法
怒っている人をなだめたいときに、最も大事なのが「まずは相手の言うことを聞くこと」です。
いろいろ言い返したい気持ちが出てきても、冷静なあなたがまずはぐっと我慢。相手が落ち着くまで反論は厳禁です。相手が落ち着いてきたら、以下の方法を、状況を考えつつ試してみましょう。
(1)話し方を変える
相手の言い分がほぼ出揃った段階で、「わかりました。すみません」と一旦受け入れ、相手に対して謝罪します(あなたが謝る必要はないのかもしれませんが、ここは穏便に)。
それからあなたの言いたいことを「ゆっくり」としたペースで話してください。
怒っている人は、たいてい早口でまくしたてるものです。相手の早口に合わせてあなたも早口で話すと、相手の怒りは増すばかりでなかなか収まりません。あなたがゆっくりと話すことで相手の話すペースも落ちていき、それにともなって徐々に落ち着きを取り戻すことでしょう。
(2)雰囲気を変える
怒っている最中の人にはなかなか難しいかもしれません。が、チャンスがあればコーヒーなどの飲み物やお菓子などをすすめてみると、相手も何となくほっとした気分になるかもしれません。
気分はその場の雰囲気につられがちなものなので、雰囲気を変えてみることはおすすめの方法です。
(3)相手との心の距離を考える
心理学的に男性は心の距離が近いほど相手に怒りが湧き、女性は心の距離が離れているほど相手に怒りが湧くといいます。怒っている相手が男性なら少し距離をとり、女性であれば少し近づいてみると、相手もより冷静になりやすいかもしれません。
怒っている人をなだめるにはまず「相手の話を聞き受け入れる」ことが大前提です。それを行ったうえで、上記の3つを意識してみてはいかがでしょうか。
怒りの理由にも目を向けてみましょう
今まで「いかになだめるか」、つまり怒られる側のとるべき行動に焦点を当ててきました。
しかし、相手を今後も怒らせないためには、相手の身になって怒りの原因を深く推察することが最も効果的なのです。
上司が怒っていると、「早く収まってくれないかな……」と神にも祈る気持ちで時間が過ぎるのを待っているあなた。相手の怒りをとにかく鎮めたい気持ちはよくわかります。
しかし、あなたの上司はなぜこんなにも怒っているのでしょうか。「部下である自分がミスをしたから」「上司の思うような成果を出せなかったから」もしくは「虫の居所が悪いから」など……。
表面的には確かにそうかもしれませんが、実は怒りの底には別の感情が隠されているのです。
「誰もわかってくれない」「どうして自分ばっかり」「寂しい」。
上司の内に秘めた孤独な思いが見えてくれば、怒りへの対処法もおのずと見えてくるのではないでしょうか。
「怒っているこの人は、今何を感じているのだろう?」
怒りの裏にある思いを推し量る余裕が持てたら、相手の怒りも長引くことはないかもしれません。
(ゆうきゆう)
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