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「守銭奴」と言われないためには? 特徴と心理を解説

小日向るり子

明確な目的のない「貯金」をしていませんか? もしかしたら周りから「守銭奴」だと思われているかも……。今回は、「守銭奴」の特徴や心理、「守銭奴」と言われないためにできることを心理カウンセラーの小日向るり子さんが解説します。

「守銭奴」という言葉を聞いたことはありませんか? もしかしたら人から「あなたって守銭奴だね」などと言われたことがあり、これは悪い意味? と気になっている人もいるのではないでしょうか。

今回は守銭奴の言葉の意味からケチとの違い、さらにお金を貯め込む心理と改善方法までを解説していきたいと思います。

守銭奴とは?

守銭奴の意味

それではまず守銭奴の意味から見ていきましょう。

守銭奴とは、「金銭に対する欲が強く、貯めることに執着がある人」のことをいいます。

もとはフランスの劇作家・モリエールが書いた戯曲のタイトルで、その主人公がお金に異常な執着心を持つ人物だったことから、比喩的にそのような人に対して「守銭奴」という言葉を使うようになったといわれています。

一般的には悪い意味で使うことが多いので、お金に執着が強いと感じても、他人に対して安易に「守銭奴」という言葉を使うことはやめましょう。

守銭奴とケチの違い

「ケチ」という言葉はよく使うけれど、「守銭奴」は耳馴染みがないという方も多いと思います。

「お金に執着しているため自己出費が少なくなる」という状態をあらわす意味では、ケチと守銭奴は同義です。しかし、ケチは「お金を使うことが嫌い」という心理が主であるのに対して、守銭奴は「お金を貯めることが大好き」という心理が主となります

また、心が狭い人の例えとして「ペンも貸してくれないなんて、あの人はケチだ」などと使うことがあるのに対し、守銭奴はあくまでもお金に対する向き合い方に対してのみ使います。

「守銭奴」と言われる人の特徴

では、「守銭奴だ」と言われる人にはどのような特徴があるのかをご紹介します。「自分は守銭奴なのでは?」と思っている人は、次の特徴に当てはまるか確かめてみてください。

1.損得勘定が強い

例えば、会費が2000円の料理バイキングがあったとします。ケチな人は2000円でも出費があるので行くのを渋る可能性がありますが、守銭奴な人は2000円の出費で5000円の料理が必ず食べられるのであれば行きます。

すべて貨幣価値で換算して、プラスになるかどうかが重要なのです

2.無料のものが好き

ケチな人も守銭奴な人も無料が好きです。しかし、その心理は違っています。

たとえばサービスで「ご自由にお持ち帰りください」というものが店舗にあった場合、ケチな人は「家にあるものをいかに減らさないか=手持ちの量を増やし得をする」という心理であるのに対して、守銭奴は「これをもし買うとしたらいくらか=いくら儲かることになるか」という方向で考えます。

3.コト消費が苦手

学びや楽しさはお金に換算することができません。

そうした物質的な価値ではないものに対してお金を使うことを俗に「コト消費」といいますが、これがとても苦手です。

「物理的に目に見えるもの」以外の消費には、とても慎重です

4.お金に対して細かい

根底にあるのは「たかが1円、されど1円」の心理。

複数人での食事会などでは、合計金額をきっちり1円単位まで分けたがります。「ざっくりとでいいよね」などと誰かが言おうものなら、あからさまな不快感を示すこともあります。

5.貯蓄高を眺めるのが好き

好きなものってずっと見ていられますよね。守銭奴の人は趣味が貯蓄ですから心理はこれと同じ。お金が大好きなので、お金ならずっと見ていられるわけです。

具体的には頻繁な通帳記入、ネットバンクの利用明細の頻繁なチェック、保有株や債券の値動きを見続ける、などです。

「守銭奴」と言われる人の心理

そんな「守銭奴」と言われる人には、次のような心理が働いています。

1.幼少期の金銭的なトラウマ

幼少期にお金で苦労した体験があると、お金に執着するようになる傾向があります。

「もう二度とお金がないことであのようなつらい思いをしたくない」という心理です。

2.未来に対する過度な不安

守銭奴の人は、未来に対する不安感情が強いです。

そのためいくら貯金が増えても「でも将来何かがあって急にお金が必要となるかもしれない」という漠然とした不安から、貯める執着から逃れることができません

3.お金に絶対的な価値を置いている

いわゆる「金がすべて」という価値観。そのためお金を持っている人に対しては、尊敬や畏怖の念を抱く傾向があります。

一方で、お金を持っていない人に対しては見下したり、侮辱的な発言をしたりすることもあります。

4.お金のためならプライドを容易に捨てられる

例えばパートナーの浮気など「どうしても許せない!」と思ったことがあるとします。

そのとき相手に絶対謝ってほしい、裁判で決着をつける、など最初は息巻いていたとしても「○○円払うから穏便に」などと金銭を提示されると、簡単に承諾してしまうこともあります。

「守銭奴」と言われないためには?

「守銭奴」は一概に悪いとはいえないものの、周りからそう見られるのは嫌だという人もいるでしょう。

そんな方のために、「守銭奴」と言われないための方法をお伝えします。

1.絶対に使う額を決めて使い切ってみる

お給料をもらったら、「絶対に使い切る金額」を決めてその額を必ずひと月で使い切ることを数カ月続けてみましょう。

その際に、すべて自分のためだけに使うのではなく、少額でも他人のために使うということを取り入れてください。貯めることだけでは得られない楽しさや、人から感謝される喜びなど、お金に換算できない感情を体験するのです。

2.お金の話をしない

家でひとり通帳を見たり、株価の動向を見てニヤニヤしたりしているのはまったくかまいません。守銭奴タイプは趣味が「お金」ですから、趣味のものを眺めて悦に入ることは個人の自由なのです。

しかし、そうしたことを他人に話したり儲け話にばかり飛びついたりしていると、他人は不快感を覚えることも。TPOをわきまえることを意識しましょう。

3.刹那的な思考を意識する

未来のことは誰にもわからないので、不安になることは誰にでもあります。しかしそこにばかり焦点を当てていると、お金を貯める執着から解放されることはありません

お金のことを考えている自分に気づいたら、「なんとかなるさ」「明日は明日の風が吹く」など刹那的な言葉を口に出して、自分に言い聞かせてください。声に出すことによって頭に記憶されやすくなります。

そうして思考の癖を少しずつ修正していくのです。

「お金」とはあくまでも手段である

アメリカの学者であるハンセンは、人生におけるキャリアプランを考えるときには「人生の役割=4つのL」を基本にし、それをパッチワークのように組み合わせながら考えることを提唱しています。

その4つのLとは「労働・Labor」「学び・Learning」「愛情・Love」「余暇・Leisure」です。

そして、これらを充実させるためのツールに「健康」と「経済」があります。つまり、経済=お金とはあくまでもツール(手段)なのです。

目的と手段をはき違えないように意識して生活することが、充実した人生につながっていくのです。

(小日向るり子)

※画像はイメージです

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