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謙虚とは正反対。自己卑下してしまう癖を直す方法

小日向るり子

謙虚と自己卑下を混同していませんか? この2つは似て非なるもの。今回は心理カウンセラーの小日向るり子さんに、謙虚と自己卑下の違いや自己卑下してしまう心理、その癖を直す方法を伝授してもらいます。

人から褒められても喜べないことはありませんか? 本当は素直に感情を出したいのに、おごった人、謙虚さがない人と思われてしまうのではないかと恐れ、褒められたときに葛藤してしまう方も多いのではないでしょうか。

今回は「謙虚」との違いも解説しながら、「自己卑下する心」への対処法を探ってみたいと思います。

自己卑下とは? 謙虚との違い

自己卑下と謙虚の違いとは

それではまず、自己卑下と謙虚の言葉の意味をそれぞれ確認してみましょう。

自己卑下とは「自分はたいしたことのない劣った者だといやしめること」で、謙虚とは「おごりたかぶらず素直なさま」という意味です(出典:『明鏡国語辞典』)。

ただ、謙虚には「控えめである」という意味もあります。そのため、この「控えめ」の意味をうれしい感情も含めて気持ちを素直に出さないことだと理解してしまい、自己卑下と混同してしまう方も多いようです。

自己卑下と謙虚の違いを例文でチェック

もっとわかりやすくするために、例文を使って、自己卑下と謙虚の違いを見てみましょう。

「○○さんっていつもお洒落な格好をしていて憧れます!」と言われた場合。

自己卑下な回答

「私よりお洒落な人なんてたくさんいますし、ファッションについて専門的な勉強をしたわけではないのでそんなこと言われても恥ずかしいです」

謙虚な回答

「ありがとうございます! ただ自分が好きだと思う服を着ているだけなのですが、それを褒めていただけるなんてうれしいです!」

褒められたら誰でもうれしいことは同じはずです。

しかし自己卑下する人は、うれしいという感情の前に「他人との比較」「社会的な規範(資格や専門知識)」という理性が先立って、自分を貶めている状態です。

一方の謙虚な人は、相手の言葉をそのまま受け止めて、そのときに生まれた感情をありのままに表現していますよね。つまりフラットで気負いのない状態です。

参考記事はこちら▼

それは自己卑下or謙虚さ? あなたの「謙虚な人度」を診断でチェックしてみましょう。

自己卑下してしまう人の心理

では、なぜ自己卑下してしまうのでしょうか? その心理にせまります。

(1)自己肯定感が低い

自己肯定感が低いとは、自分のことが好きではない、認めてあげられないということ。

そのため、他人から褒められたり感謝されたりといった好意の感情をもらっても、素直に受け取ることができません。「そんな耳障りのいい言葉なんて嘘だ」「自分にそんな言葉を受け取る資格はない」などと考えて自分に冷たくしてしまいます。

(2)完璧主義

他人は90%できていることを褒めてくれたのに、自分はできていない10%を見てしまう状態です。

常に完璧を求める心が、褒められたときに最初に湧き上がる「うれしい」という感情を邪魔してしまうのです。

(3)あまのじゃく

「あまのじゃく」とは、なんでも人に逆らったり反対の行動を取ったりする性格のこと。

そのため単純に、褒められたときに反対意見を言いたいという気持ちが湧き、自分を卑下する言葉を発してしまいます。

(4)かまって欲しい

「○○さんの△△なところって素敵だよね」→「そんなことないです、全然ダメです」→「いえいえ、お世辞じゃなくて本当に素敵です!」このように褒められたときに否定で返すと相手の褒め言葉は加速していくものです。

無意識でやっている場合も多いのですが、根底にはもっと自分にかかわってほしいという心理が働いています。

自己卑下が周りに与える印象

このような自己卑下してしまう人は、周りの人に次のような印象を与えてしまいますので注意が必要です。

(1)嫌味な人に見える

自己卑下の言葉を返すことは「慎ましさ」という美徳として捉えることもできます。

しかし、そうした慎ましさも度を超えると嫌味と感じ取られてしまいます。

(2)卑屈な人に見える

「だって」「でも」「しかし」のような否定言葉を多く使う人は卑屈に見えます

自己卑下をする人は、「褒めてくれたって」「どうせ私なんて」のような否定的な表現を多用するため、卑屈な人に見えてしまうのです。

(3)近寄り難い

自己卑下の感情が強くなり過ぎると、他者とのコミュニケーションが苦痛になり自分の殻に閉じこもってしまう傾向があります。

そのため自己卑下ばかりする人は、「近寄り難い人」という印象を与えてしまうのです。

自己卑下の癖を直す方法

ネガティブなイメージを与えがちな自己卑下。その癖を直す方法は4つあります。

(1)言葉の裏を読まない

自己卑下をしてしまう人の中には、言葉の裏を読む癖がある人が多いです。つまり「褒めるなんて何か裏があるのではないか」「別の目的のために自分を良い気にさせているのではないか」といった猜疑心です。

自分は人の言葉の裏を読む癖がないかを点検し、心当たりがある場合は言葉のままの意味で捉えるよう意識してみてください

(2)気負わない

気負わないとは、格好をつけようとか見えを張ろうとしないということです

人からどう思われるかを気にしなくなれば、褒められたら喜ぶという当たり前の反応が返せるようになります。

(3)自分に優しく

すぐに自己卑下の言葉が出てきてしまう人は、他人に対するときだけでなく、自分に対しても厳しい見方をする傾向があります。

自分が大切な人と接するときのように、自分に対しても優しい言葉をかけることを心がけてください

(4)まず「ありがとう」を伝える

自分を卑下してしまう癖は、すぐに修正できるものではありません。難しいと感じる方は、褒められたらひと言目に「ありがとう」とまず感謝を伝えることからはじめてみましょう

その後に卑下する言葉が出てしまっても、「ありがとう」と最初に伝えると相手に与える印象はかなり良いものになります。

それができるようになったら次は「ありがとうの後に余計な言葉を言わない」、さらに「ありがとうの後にうれしい気持ちを伝える」といったように、少しずつ気持ちを素直に表現するということを身につけていけばいいのです。

少しずつ自己卑下する癖を直していこう!

自己卑下の感情そのものは必ずしも悪いことではありません。自分を叱咤したり鼓舞したりするためのパワーワードとして使うことがあってもいいでしょう。

しかし、自己卑下は自分の心を自分で傷つけることと同じですので、重症になるまでやり続けたら自分も辛いし周りも痛々しく感じてしまいます。

気負わずに、自分の心に素直になることを意識して自己卑下の癖を解放していきましょう。

(小日向るり子)

※画像はイメージです

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