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傲慢な人の心理は意外とナイーブ? 特徴とうまく付き合うための対処法

熊谷佐知恵(心理カウンセラー)

傲慢な人とは自己中心的な態度をとる人のこと。あなたの身の回りにもいませんか? 横柄な態度に振り回されてクタクタ……なんてことも。今回は心理カウンセラーの熊谷佐知恵さんに、傲慢な人の特徴や心理、どう対処すればいいのかを教えてもらいました。

傲慢な態度をとる人って意外と身近にいますよね。「もう本当にカンベンしてほしい」そう思いつつ、傲慢な人に振り回されていませんか?

「傲慢」とは横柄なこと。人を見下して思い上がった態度をとることを意味する言葉です。

もし、会社の上司や同僚、恋人など、あなたの身近なところにこのような自己中心的な人がいたらストレスが溜まってしまいますよね。

では、傲慢な人にはどのように対処したらいいのでしょうか?

傲慢な人の5つの特徴

まずは傲慢な人の特徴と心理的背景について知っていきましょう。

(1)他人の意見を聞かず、自己中心的

傲慢な人というのは、自分の考えこそが一番正しいと思っている傾向があります。

これまでの経験から、自分が正しいことをしている、言っていると信じているので、他人の異なる意見に耳を傾けることができません。

それゆえに周囲の人と衝突してしまうことも少なくないのです。

頑なに自分の考えの正しさを貫こうとするので、周りの人の目には自己中心的な態度と映るのです。

(2)他人に対して感謝の表現がない

傲慢な人は、今はどうであれ、自分も人一倍、努力や我慢をしてきたと思っています。

「私だってそうしてきたのだから、それくらいのことできるでしょ?」「そんなこともわからないの?」と思っているので、感謝すべき場面に気づけないのです。

今、自分を取り巻く人達は、かつて自分に向けて我慢や犠牲を強いてきた相手ではありません。

しかし、その頃のツケを取り戻そうとして、ものごとを押し付けてしまうようなところがあるため、何かをしてもらった時に「お返しをする」という発想が生まれにくいのです。

(3)他人を見下す発言が多い

傲慢な人は、自分が見下されることがとにかく嫌なのです。

「バカにされたくない」「惨めな思いをしたくない」。そのような競争心から、自分以外の人を下に見る意識が生まれ、結果的に人をバカにしたり、惨めな思いをさせてしまうのですが、本人はそのことにはなかなか気づけません。

それくらい自分の尊厳(プライド)を守るのに必死なので、自分が相手よりも下という状況を許すことができず、虚勢を張ってしまうのです。

(4)自分の非を認めない

傲慢な人は、自分の非を認めることができません。

たとえ自分のルールを人に押し付けてうまくいかなかった時でさえ、とっさに責任転嫁してしまいます。

虚勢を張っているため強そうに見えますが、被害者意識が強いので、周りの人が自分を脅かす存在に見えて戦おうとします。

また、本気で「自分は悪くない」と思っており、自分の身を守ろうとしていることも多いので、「ごめんなさい」と謝ることができないのです。

(5)他人を利用する(支配したがる)

傲慢な人は、自分が状況をコントロールできなくなることがとにかく怖い。つまり、自分にとっての想定外が起こることが許せないのです。

あれこれ人に指図してしまうのは、そのような想定外が起こることへの恐れがあるからです。

それにより、周りの人が、利用されたり支配されているような気持ちを味わっていることに本人は気付いていないことも多いのです。

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なぜ人は傲慢になる? その心理とは

生まれた時から傲慢な人はいません。では、どんな風にして人が傲慢になってしまうのか、主な心理的要因を3つご紹介します。

(1)辛い生い立ちがある

幼少期の育った環境や家族関係で、たくさんの犠牲を払ってきた人が、その成長過程で傲慢になってしまうことがあります。

人は苦しみや惨めさを味わい尽くすと、ここではないどこかへ行きたいと強く思うものです。

究極の自己犠牲から立ち上がり、自己防衛に転じた時、傲慢なまでの自我が芽生えるということがあるのです。

過去にバカにされ深く傷ついた経験がある人は、その予備軍になりえます。傲慢な人のもとで耐えしのいで生きてきた人が、気がついたら自分も同じようになっていた⁉ ということはよくあることなのです。

(2)誰にも知られたくないコンプレックスを抱えている

深層心理で、どうしても隠しておきたい否定的な要素が自分にあると思う時、人は傲慢に振る舞ってしまうことがあります。

「自信がない自分」を自分自身からも隠しておきたい。そう考えた時、意識は自分ではなく、外側の世界と戦い始めるのです。

過去の成功体験をいつまでも自慢げに話すというのも、今の自分に対して自信が持てないことからくる補償行為であることも少なくありません。

たとえ薄々そのことに自覚があったとしても、今現在、抱えている痛みや外に対する攻撃心が強い段階では、自分を客観的に見つめることが難しくなってしまうのです。

(3)「対等さ」という信頼関係を経験したことがない

人間関係で痛みを抱えたままの人が、役職や肩書などの権威を持ってしまうと、その権威を間違ったイメージのまま誤用してしまうことがあります。

いつも威張っていたお父さん、偉そうに自分を叱りつけた先生や上司など、成熟したカタチで権威を使えるお手本になるような人に出会ったことがないのかもしれません。

自分が尊重される、人として大切に扱われる、対等な関係や仲間意識を持って何かを一緒に成し遂げたことがある人なら、傲慢に振る舞う必要すら感じないものです。

傲慢な人とうまく付き合う対処法&魔法の言葉

「なんだか嫌だな」と苦手意識を感じてしまう傲慢な人との付き合い方は、どうしたらよいのでしょうか。

ここでは、うまく付き合うための対処法と魔法の言葉を示しましたので、参考にしてみてください。

(1)何もしない

傲慢な人と無理して一緒にいると、ストレスをためてしまう原因になります。

職場の上司であれば、プライベートでかかわる必要はありません。割り切って必要最低限のかかわりに留めておきましょう。

その際、無視をするのではなく、基本的な挨拶や業務連絡はしっかりと行っておくことで波風を立てないようにしてくださいね。

魔法の言葉: 「お疲れさまです」

(2)コントロールされない

傲慢な人の言い方や、態度に傷ついてしまう人もいるかと思いますが、傲慢な人の発する言葉の一つ一つを重く受け止めないようにしてみてください。

明らかに自分に非がある場合は素直に謝り、同じミスを繰り返すことのないよう取り組めば、その後、嫌味を言われたとしても「また言ってる……」とスルーしても問題ありません。

相手は過去、自分が攻撃された時のパターンを投影というカタチで表しているに過ぎないのですから、あなた自身が必要以上にダメージを受けないことが大切なのです。

魔法の言葉: 「次は気をつけます」

(3)適度な相槌で相手が心を開くのを待つ

傲慢な人は、承認欲求が強いので、自分のすごさをアピールしている時には、「すごいですね!」など、相槌の「さしすせそ」を適度に伝えてみましょう。

もちろん、どうしても言いたくない時には無理して活用せず、ほかの方法を試してみてくださいね。

魔法の言葉: 「さすが」「知らなかった」「すごい(素敵)」「センスいい」「そうなんですね」

(4)権力争いに巻き込まれない

傲慢な人はプライドが高いので、反論されることを嫌います。

変に対抗してしまうと、もともと攻撃的な相手の射程圏内に入ってしまいますので、相手がマウントを取りたがっているなら、あえて上を譲ってしまいましょう。

自分はそのリングに登らない、張り合わない、教えを乞うスタンスを貫くことが大事です。

魔法の言葉:「お願いしてもいいですか」「教えてください」「助けてほしいのですが」

(5)自分のペースで愛を送る

具体的に相手が抱いているイメージや状況を共有できるように丁寧に話を聞くということも効果的です。

これは受容力や根気がかなり必要となりますが、根気強く相手をわかろうと質問するその姿勢が、相手の敵対心をほぐしていく場合もあります。

相手の世界観(土台)をわかろうとすることでズレが少なくなり、「わかってくれるんだ」という安心感が相手の心を開きます。

自分の知らない未知の世界のルールを知るかのごとく、興味を持って傾聴することで、相手を攻略することができるようになるかもしれません。

魔法の言葉:「こんな感じですか」「もっと聞きたいです」

適度な距離感を持って、うまく付き合っていこう

人は誰でも、自分の尊厳が脅かされそうになるとつい反論してしまいたくなるものです。

でも実は、広い視点で見ると、傲慢な人と傲慢な人に振り回されてしまう人には連鎖性があるのです。

「振り回されているのは自分のせい?」と抱え込まずに、時には「何もしない」「コントロールされない」などを試しつつ、適度な距離感を持ちながらうまく付き合ってみてくださいね。

(熊谷佐知恵)

※画像はイメージです

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