お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

人を愛せない理由とは? 誰かを愛せる自分になる5つの習慣

高見綾(心理カウンセラー)

人を愛せない理由は? トラウマや成長過程の出来事など、愛せない根本的な原因とは? 日常の中で実践できる改善策を、心理カウンセラーの高見綾さんが解説。「誰かを愛したい」と悩むあなたへ届けます。

人のことが好きになれなくて、誰にも悩みを打ち明けられずにいる人は少なくありません。「これからも好きになれなかったらどうしよう」と不安になってしまうこともあるでしょう。このように、人を愛せないのには理由があります。

今回は、どうして愛せないのか、その心理や原因を解説します。また、人を愛せる自分になるために今からできることを紹介します。

「人を愛せない」とお悩みの方に少しでも届きますように。

そもそも「人を愛せないこと」は問題なのか

わたしたちは、本来「人を愛したい」という願望を持っているものです。

ところが、成長過程の中で十分に愛してもらう経験をしてこなかったりすると、自己肯定感が育たずに自信をなくしてしまいます。自分の存在を良いものだと思えないと、愛することにも愛されることにも臆病になってしまうのです。

恋愛や対人関係などで傷ついた経験があると、人と距離を取ることもあります。また、何も問題はなくて、本当に好きになれる人にまだ出会っていないだけ、という可能性もあります。

大切なのは愛せない自分と向き合うこと

このように「人を愛せない」のは、さまざまな理由があってのことなので、「自分はおかしいのではないか」と不安に思う必要はありません。

自分の内面は外側の世界に投影されるため、自分を愛し大切にできると、他人のことも同じように愛せるようになるなど変化していくことも多いです。

もし「いつか人を愛せる自分になりたい」と思うのであれば、そんな自分を信頼してじっくりと向き合っていきましょう。

人を愛せない理由や心理とは?

成長過程の経験が大きく影響するケースもあると前述しましたが、愛せない理由にはどんなことが挙げられるのでしょうか。その心理を見ていきましょう。

(1)理想が高い

完璧主義で、相手に求めるものが多いゆえになかなか好きになれないというケースが考えられます。

このような心理になる人は無価値感(=空虚感)や劣等感が強く、「自分には魅力がない」と思っています。そのため、無意識では「こんなダメなわたしを相手にするのだから、それこそパートナーは完璧な人でないと務まらないだろう」と考えてしまうのです。

自分のダメな部分を許せない人は、他人のダメな部分も同じように許せないと感じることが多いです。そのため、より完璧な人を求め、結果的には理想に叶う相手がいないという負の連鎖に陥ってしまいます。

(2)自分が愛されるわけがないと思っている

自分が良いものであると思えていないと、自信がないがゆえに、自分を誰かが愛してくれることはないと感じます。

「わたしなんかが好きになっても相手はうれしくないだろう。どうせわたしのことなんか好きにならないだろう」と最初から諦めてしまうことも多いのです。そして、他人を愛することも同時に諦めてしまいます。

(3)自分をさらけ出すのが怖い

ありのままの自分をさらけ出すのが怖い人は、自分のテリトリーを作って、そこに他人が入り込まないようにガードします。また、自分をコントロールしている自立タイプの中には、恋愛をして感情が揺れることが怖いと感じる人もいます。

感情を抱かないように抑えながら、「この人と付き合うと、私にどんなメリットがあるのだろう?」と損得勘定で考えることも。

愛とは本来、無条件に与えるものです。自分を守ろうとしてばかりいると、人を愛することから遠ざかってしまうのです。

(4)恋愛でトラウマがある

過去の恋愛で振り回された経験や、裏切られたなどのつらい経験があると、二度と同じ思いはしたくないと思うものです。

傷つきたくないがゆえに、親密になることを無意識のうちに避けようとします。感情が揺れることが怖いので、心を閉ざし何も感じないようにセーブしてしまう、といったループです。

(5)愛された経験が乏しい

幼少期に十分な愛情を注がれなかった場合など、愛されるという経験に乏しいと、自己肯定感が育たず、愛することよりも愛されることばかりを求めてしまうようになるパターンも。

わたしたちは、「誰かに愛してもらったように人を愛する」傾向もあるため、愛された経験が少ないと、愛するとはどういうことかわからなくなってしまう場合もあります。

また、愛着障害といって、精神的な病気の可能性も考えられます。愛着障害とは幼少期に親との間に愛着が形成されないことで起こる障害で、情緒不安定など特徴的な症状が出るといわれています。

人を愛するためにできることとは?

人を愛せる自分に変わりたい、そう決心したときに出来ることはあるのでしょうか。

わたしたちが日常の中で実践可能な「愛し方のコツ」をいくつか紹介していきます。

(1)現状を否定しない

わたしたちは、「〇〇したい、でもできない」という葛藤があるからこそ悩みます。

もし人を愛せないことで悩んでいるとしたら、心の底では「本当は人を愛したい」という願望を持っており、本来は人が好きなはずです。

「今は人を愛せていない。でもいつか愛せるようになったらいいな」と、現状をそのまま受け入れることが変化の第一歩になります。

(2)人からの褒め言葉を受け取ってみる

自分を愛することができれば、ほかの人も同じように愛することができます。

自分に対して「こんなわたしでもOKかな」と思えるようになるため、自身の価値を少しずつでもいいので受け取っていけると効果的です。

まわりから「〇〇さんって、笑顔が素敵だよね!」「〇〇さんが傍にいてくれると安心感がある」など、褒めてもらえたら「ありがとう」と素直に受け取ってみましょう。

最初は「そうかな? わたしはそんなふうには思えないんだけど……」と違和感があるかもしれませんが、「この人からはそう見えているんだな」と思ってみてください。そうやって受け取っていくと、次第に違和感が減ってきて、自信につながります。

(3)人に興味を持つ

自分をさらけ出すことを恐れていると、人との間に距離を取り、相手をよく知る前に心の扉を閉めてしまうものです。

まずは相手を知らないことには始まりません。

目の前の人に対して「この人はどんな人なのかな? 何が好き? どんなふうに生きてきたんだろう?」と純粋な興味を向けてみましょう。

人となりを知っていけば、案外「面白い人だった!」など、印象が変わることも多いものです。食わず嫌いをせずに、まずは知ってみようという気持ちを持つことであなたの心の扉は開いていきます。

(4)自分のダメな部分を許していく

人に優しい人は、自分に対しても優しい人です。広い心で愛していくためには、自分の嫌な部分をどれだけ許し、受け入れられたかがポイントとなります。

自分のことが嫌いだと、ほかの人に同じような欠点が見えたときに、自分を見ているような気がして嫌悪感が募っていきます。また、自分にダメ出しをしていると、人のこともダメ出しするようになってしまいます。

自分に欠点があったとしても、「わたしってそういうところがあるよね」と受け入れていくようにしましょう。

(5)自分の味方でいる

自分を信頼し、大切にしていくことが、人を愛することに繋がります。時には人から「変わっているね」と言われて落ち込んだり、うまくいかないことがあって自信を失ったりしてしまうこともあると思います。

そんなときでも、自分は自分の味方でいるようにしましょう。

不安になったり落ち込んだりしたときこそ、自分の頑張りをねぎらい、優しい言葉をかけてあげましょう。そうした自分に対する姿勢が、他者に投影されていきます。

まずは自分を大切にすることから始めよう

人を愛せないことで葛藤を抱えているのなら、本来は、相当人が好きなはずです。

愛せないのにはさまざまな理由がありますが、自分を愛していけると、他人も愛していけることに繋がるケースが多いです。

まずは自分をありのままに受け止め、大切にすることから始めてみましょう。いつか「心から愛せる人と出会える」という未来を信頼してみてくださいね。

(高見綾)

※画像はイメージです

SHARE