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ロールモデルとは。「女性にロールモデルがいない問題」を真剣に考える

トイアンナ

ロールモデルとは何なのでしょうか。本当に必要性があるのでしょうか? ロールモデルがいない女性は多いといわれています。その理由と実際の見つけ方について、トイアンナさんにアドバイスをもらいました。

こんにちは、トイアンナです。外資に就職したとき口を酸っぱくして言われたのが「人生を成功に導きたいなら、ロールモデルを見つけよう」というアドバイスでした。

ロールモデルとは、人生でどう行動するかのお手本となる人のこと。

キャリアで参考にするロールモデルがいれば、緊急時も「あの人ならどうするだろう」と考えて行動でき、先人の成功から学べるから……だそうです。

急速に失われたロールモデルの意味

けれど、私はロールモデルを見つけられませんでした

私はゆとり世代。ちょうど「仕事より家庭が大事だよね」とみんなが言いはじめた時代に育っています。理想の環境は1日8時間しっかり働いて、あとは家族や趣味を大事にする暮らし。

しかしわずか数年上の先輩は、ゴリゴリのキャリア女性ばかりでした。

先輩の経験談は「破水まで働いて、産後1週間で職場復帰」「毎晩ストレスで吐きながらもプロジェクトを成功に導く」「産休・育休中に育児の傍ら公認会計士資格を取得、キャリアアップして転職」などなど……。

超人っぷりは確かにすごいのですが、個人的なロールモデルにしたいかというと、ちょっと違います。私はもっと、仕事はがんばりつつも休日は家族とダラダラNintendo Switchでマリカーやる暮らしがいい。

そんな私が出世コースを歩むはずもなく、数年で命をかけたキャリア競争から離れていきます。

先輩方からは、とにかくお叱りを受けました。「会社員としても成功して、家庭も築いて、起業家としてリタイアする。そのほうが幸せに決まってるのになんで踏ん張らないんだ。根性が足りないんだろう」と。

けれど彼女らはビジネスを優先しすぎて脳髄液が漏れてぶっ倒れたり、自分の子どもに顔を忘れられたりしているのです。

ロールモデルにはとてもできない、だってそれって私のなりたい姿じゃない。そんな思いは、30代を前に強くなっていく一方でした。

女性特有のロールモデル不在問題

ここまで極端ではありませんが、他社に勤める友人からも似た相談はありました。

社内で管理職になった女性の先輩は、全員独身。それも男性の何倍も努力してようやく勝ち取るポジション。

働き方改革で女性管理職は増えているけれど、今度はお飾りポジションに据えられるから、成長できない。「普通に結婚して、普通に管理職を目指すロールモデル」がいないし、探し方もわからない……と。

女性の「普通に働く」は世代でまったく違う

この10年だけでも、女性の「普通」はめまぐるしく変わりました。

アラフォーの普通はアラサーの普通ではない。こんなに腑抜けた私の働き方も、20代からは「狂ったように働いている」ように見えるそうです。

そりゃあ、20代は私の世代をロールモデルにできないし、必要性も感じないでしょう。

男性はロールモデルゆえに価値観のアップデートが難しい

対して男性は、育休制度導入など新しい風は吹きはじめたものの、いまだに「男が一家の大黒柱、女性は共働きでも家事育児を優先する」という価値観に支えられています。

男性自身がそう願っていなくても、日本の雇用がそう設計されているので、男性はまだまだ逃れにくいのです。

男性のキャリア形成に起きている変化は女性ほどではないゆえに、ちょっと上の先輩が良くも悪くもロールモデルとなりえます。

そして、先輩から「こういう部下は褒めて伸ばすんだよ。褒めるときは全体メールでな。表現はちょっと大げさなくらいにしておけよ」など出世につながるふるまいを教わりやすいでしょう。

そこそこのキャリアを目指したい男性も、社内には同性のロールモデルがたくさんいます。このギャップは現状、どうしようもありません。

女性流ロールモデルの見つけ方

では、女性はロールモデルを探すことすら、あきらめたほうがいいのでしょうか。私の答えは「いいえ」です。

ロールモデルがいたほうが「部下をどう指導すべきか」「社内調整で重要な人とのお付き合い」など要所で効果があるのは間違いありません。

そこで、キャリアに悩める女性へ私がおすすめしているのが「いろいろな人のいいところを合わせてロールモデルにしてしまおう作戦」です。

女性が単一のロールモデルを見つけるのは、上述のとおり難易度が高くなります。

道なき道を切り開いたアラフォー女性と、その先輩から直接指導を受けてきたもののワークライフバランスを取りたい30代、そして家庭が第一な20代ではベースの感覚が違うのですから。

しかし、「みんなのちょっといいところ」を合体させれば、ロールモデルは作れます。

たとえば、こんな考え方をしてみましょう。

―――あの上司は、部下の誕生日を全部覚えててメールしてくれる。ささいなことだけれど、部下は大事にされてるって思うよね。そうだ、私も後輩の誕生日はメモしておこう。

―――新卒で入ったあの子は、奥さんがインフルだからって会社を休んだ。うちで家族の病気を理由に休むのは、勇気ある行動だよね。私も同じように家族の病気があれば休んで、在宅勤務を申請してみよう。

―――課長は週末も1日2時間は必ず英語を勉強してるんだって。ご家族もいるのにすごいなあ。取引先に海外も増えてきたし、社内でも役に立ちそう。私は土日を使おうとは思わないけれど、ノー残業デーの水曜にやってみようかな。

こうして、各社員のいいところをメモするだけでも、ロールモデルが見つかります。

ロールモデルとは、単一の人物である必要はありません。様々な人から学ぶ方法なら、探し方も簡単ではないでしょうか。

30代で生きてくる! ロールモデルの活用方法

特にロールモデルを持つ効果を実感できるのは30代になってからです。

30代になると、会社員は「出世より家庭派、現場のスペシャリスト派、管理職を目指したい派」とキャリアが分岐していきます。

このタイミングで上手に同じ選択肢を選んだビジネスの先輩たちをロールモデルとして取り入れれば、初めての経験でも「あの先輩の尊敬する面を取り入れるなら、どう行動するだろうか」と考えられます

この世に正しい人生はありません。しかし、自分の選ぶ道には必ず先に歩いた先輩がいます。上手に”いいとこどり”をして、自分なりの歩き方を考えてみましょう。

(トイアンナ)

※画像はイメージです

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