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女性が結婚相手に求める年収とは? 最低ラインと現実の実態

荒川和久

婚活女性が結婚相手に求める年収の理想ラインと最低ラインは? 300万or500万? そこには現実との乖離がひそんでいます。今回は、『結婚しない男たち』などの著者として知られる荒川和久さんが、結婚に年収を求めるとうまくいかない理由を徹底解説します。

女性の婚活の現場では、相手男性の「年収」は、相変わらず大きなウエイトを占めています。

結婚は経済生活ですから、パートナーの収入を気にすることは当然です。

噂では、結婚相談所によっては、一定額以上の年収がない男性は、そもそも入会すらできないこともあるようです。

結婚したい男にとっては厳しい話です。婚活の場にすら参加できないということですから。

今回は、婚活女性が結婚相手の条件に「最低ラインの年収」をあげても、なぜマッチングしないかについて、数々のデータを用いてお話しします。

理想と現実の乖離。婚活女性が結婚相手に求める年収とは

まずは、婚活女性が結婚相手に求める年収と現実の男性の年収についてです。

どうやら理想と現実はかなり乖離しているようです。

理想とする男性の年収は「400万円以上」

婚活女子は一体どれくらいの収入を相手に求めているのでしょうか。

マイナビウーマン編集部が22~34歳未婚女性を対象に実施した「結婚相手の希望年収」調査(※)によれば、相手の理想の年収は、500~700万未満が37%でもっとも多く、続いて、400~500万未満が21%でした。

年収400万円以上を理想とする女性をすべて合算すると81%となります。

つまり、ほとんどの女性が相手の年収400万円以上が理想となっているのです。

結婚相手の年収 理想と現実

男性の年収の現実「年収400万円以上は28%」

しかし、この理想に対して、現実はどうでしょう。

2017年の就業構造基本調査を基に、20~50代未婚の有業男性の所得分布と照合すると、一目瞭然、明らかな乖離があります。

81%の女性が理想とする「年収400万円以上の未婚男性」はわずか28%しかいません。

婚活女子が理想を追求してしまうと、さし引き5割以上の女性があぶれてしまうことになるのです。

婚活女子が求める「男性の最低年収」

続いては、「最低これくらいの年収ならばよし」という最低ラインも見てみましょう。

前述のアンケート(※)で「男性に求める最低年収」を聞いてみると、理想では81%もあった年収400万以上は43%と半減し、400万未満が57%と約6割になります。

理想と比べると随分現実に近づいてきましたが、それでも25%の女性は余ってしまう計算です。

結婚相手の年収 最低ラインと現実

数字で見る。希望の男性とマッチングしない理由

なんとなく、理想でも最低ラインでも希望する年収の男性と、婚活でマッチングするのは難しいかもしれないと、おわかりいただいたかもしれません。

さらに詳しく、データを見てみましょう。

年収400万円以上の結婚適齢期男性は15%

そもそも、未婚男性の収入分布が現実的にどうなっているか、詳しく内訳を見てみましょう。

2017年就業構造基本調査によれば、年収400万を境にした全国年齢別未婚男性(無業者除く)の構成比は、以下のとおりです。


20~50代全体で見ても、400万円以上の年収のある未婚男性は、たった28%しかいないという話はすでにしましたが、その28%のうち40代以上が半分の13%です。

結婚適齢期の20~30代に限ると、たったの15%しかいません。

婚活女性は、この狭き門に理想ベースで臨むと8割が殺到するわけです。当然熾烈な競争になりますし、結局、5割以上の婚活女性は、理想の相手をゲットすることはできないわけです。

だって、そもそもそんな男性、ほとんど存在しないんですから。

東京に限っても4割の女性はマッチングしない

もちろん、これはあくまで全国平均ですので、地域差はあります。

東京では400万以上の比率は約4割に上昇しますし、逆に、沖縄では1割にも満たない状況です。

とはいえ、東京だとしても、400万以上を希望する女性8割に対して、4割しか男性がいないのですから、どう考えても残り4割の女性はマッチングされません。

大きなお世話かもしれませんが、結婚したい女性は、男性の年収で最初から足切りしてしまうと、自分の首を絞めることになるかもしれないのです。

一方の婚活男性が抱くジレンマ

実は、これと同じジレンマは婚活男性側にも存在します。

男性側の理想は年収ではなくて容姿に変わります。

僕が主宰するラボでの調査(2018年実施。全国20-50代未婚男女1万人)によれば、年収400万円以上の層では82%が「相手女性の容姿を重視する」と回答しています。

年収400万円未満では76%ですので、容姿重視は年収の多寡にそれほど関係なく、未婚男性全体の総意かもしれませんが、それでも年収が高い男性のほうが容姿を重視する人の割合が高くなります。

「カネを稼いだ男が美人の女性と付き合いたがる」というトロフィーワイフの心理なのかもしれません。

しかし、当然ですが、男性の8割近くが容姿重視だとしても、全員が希望通りにはいきません。

容姿のよさ=モテる比率(主観による「自分はモテる方だ」と回答した率)と仮定すると、女性全体で3割しかいません。

つまり、結婚相手に美人を希望した8割の男性のうち、5割の男性はあぶれてしまいます。

婚活で理想を追い求めるとなぜマッチングしないのか

婚活において、女性は高収入男性を望み、男性は容姿のよい女性を望む。

しかし、現実は、高収入男性を希望する女性の5割が余り、容姿のよい女性を希望する男性の5割が夢破れます。

男女ともちょうど5割が希望通りにならないのです。まさに、ここにこそマッチングできない問題があるのではないでしょうか。

さらに、身も蓋もない話をしてしまうと、そもそも高年収男性や高容姿女性は、婚活市場に流れてくる前に売れてしまっている可能性が高いです。

経済学においてマッチング理論というものがあります。お互いが自己の最適化を図ろうとすると、かえって全体のマッチング数は少なくなってしまうというものです。

婚活において、自分の理想や希望を追求すればするほど未婚率が上がるというのは、まさにこの状況ではないでしょうか。

結婚において年収はそこまで重要か

最後に、結婚するにあたって年収をどこまで重視したらいいのか、考えてみましょう。

結婚相手に求めるべきこととはなんなのでしょう。

年収300万円~400万円の男性と結婚しても生活していける

理想年収を追及していると婚活でマッチングできない=結婚できないと前述しました。

とはいえ、出産や育児で自分が仕事を辞めた際、年収300万の男性との生活でやっていけるのか不安だという声もあるでしょう。

では、実際既婚者はどうなんでしょうか。

平均初婚年齢周辺の30代既婚男性の年収は、全国レベルでは300万円台がボリューム層です(2017年就業構造基本調査子のない夫婦の夫の年収より)。

つまり、400万円以上なくても、大多数の男性が結婚しているし、共働きも含め、そうやってやりくりしているのが、今の日本の夫婦の大多数です。

結婚とはお互いの価値を見つけ出すもの

ぜひ婚活している女性のみなさんに知ってもらいたい『炭焼長者』という昔話があります。

このお話には、たくさんの派生物語が存在しますが、今回取り上げるのは、鹿児島県に伝わるお話です。

簡単なあらすじをわかりやすく現代語調でご紹介します。

『炭焼長者』

裕福な家の親同士が決めた結婚で、娘は嫁に行きました。夫は当然金持ちです。

夫婦はしばらく何事もなく暮らしていましたが、ある日妻の作った御膳を、夫が「こんな物食えるか!」という暴言とともに足蹴にしました。現代でいえば、DV夫だったということでしょうか。

この一件で、妻は「食べ物を粗末にするあんたなんかとやっていられない! 離婚よ」と夫に言い放ち、膳と碗と飛び散ったご飯を拾って家から出ていきます。

とはいえ、実家に戻るわけにもいかず、山を放浪することに。何日も歩き、暗がりの中ようやく一軒の家の灯りを見つけました。それが、細々と炭焼で生計を立てていた貧乏人の五郎の家でした。

突然来訪した女に五郎は驚きますが、家に入れお茶を出してあげます。女は、親切にしてくれた五郎に自らプロポーズをします。五郎は身分がちがうといって最初は断りますが、女の熱意に負けて結局2人は夫婦になりました。

女は無一文で飛び出していますから、五郎と夫婦になっても貧乏のままです。しかし、あるとき、小屋のまわりに砂金がたくさん落ちていることに気づきます。

五郎に伝えても関心を示しません。五郎にとっては、砂金はただのありふれた小石程度の認識でしかなかったからです。ところが、女によってその価値を知ることができました。

五郎と女はその後、裕福になって幸せに暮らしましたとさ。

めでたしめでたし。

これは、女と結婚することによって、炭焼五郎は自分の中に潜在していた能力を発見することができ、それによって仕事で大成したという解釈もできます。

結婚とは、このように2人して2人の砂金を見つけ出す作業なのかもしれません。

男性の年収の現実を直視し、収入以外でその男性を判断する婚活も考えるのが、結婚への近道かもしれませんよ。

(荒川和久)

(※)マイナビウーマン調べ
調査日時:2019年5月22日~5月24日
調査人数:403人(22~34歳の働く未婚女性)

※写真はイメージです

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