毒親持ちは結婚できない? 結婚を邪魔する毒親の特徴と対処法
毒親持ちの婚活が難航する理由とは? 結婚における毒親の特徴をコラムニストの仁科友里さんが紹介。毒親の反対や妨害を乗り越えて、幸せな婚活や結婚をする対処法を解説します。
こんにちは、ライターの仁科友里です。
最近は毒親という言葉がだいぶ一般化してきたように思いますが、毒親のもとに育つことで経験する、しなくていい苦労のひとつが、婚活だと思います。
毒親と婚活にどんな関係があるのか? と思う人もいるでしょうが、大アリです。
スムーズに結婚する2大ポイントは「適度な自信」と「クセの少ない思考回路」ですが、毒親とは子どもたちの自信を破壊し、思考をゆがませる存在だからです。
それでは、毒親持ちは結婚ができないのかというと、決してそうではありません。
たとえば、日本の毒親ブームの火付け役、漫画家・田房永子さんや、元TBSアナウンサー・小島慶子さんも毒親持ちであることを公言していますが、結婚して家庭を築かれています。
少しのコツがいることは事実ですが、毒親持ちでも結婚はもちろん可能です。今日はその方法について、考えていきましょう。
婚活における毒親とは
『毒になる親』(講談社文庫)の著者、スーザン・フォワードによると、毒親の定義のひとつとして、「子どもに恐れを植えつけて支配しようとする親」と書いています。毒親に関して興味のある人は書籍を読んでみてください。
それでは、婚活における毒親とは何かについて考えてみましょう。
婚活毒親とは、「うまくいかない前提で話す親」を指すと私は思っています。
親御さんが子どもの結婚に対して、心配したり、やきもきするのは当然のことで、口をはさむ権利は十分にあるでしょう。しかし、毒親は「心配する」ふりをして、子どもに“不安”を与えることしかしません。
たとえば、あなたに交際して1年になる彼氏がいたとします。健康的な思考回路を持つ親御さんであれば、
「彼氏とはどうなの?」
「結婚の話はしてるの?」
というような質問の仕方をするでしょう。
しかし、こういうとき、毒親は
「結婚の話は、まだ出ていないの?」
「それって遊ばれているからなんじゃないの?」
「付き合ってる意味あるの?」
といった具合に、子どもの心に不安の種を植えつけていきます。
結婚願望のある独身女性は、「私は結婚できるのかな」という漠然とした不安を抱えているもの。ホルモンバランスや友だちの結婚といった出来事に反応して、その不安が強くなったり、弱くなったりしていると思います。
毒親と一緒に暮らしている場合、体調面や友だちの関係にプラスして、日常生活で不安心を無駄に刺激されていますから、不安はどんどん強くなる一方です。
結婚できない? 毒親持ちの婚活が難航する理由
占いに行ったとします。
A「今年の運気は、とてもいいですよ」
B「今年の運気は、とてもいいですよ。でも、乗り物に注意してください」
と言われるとします。どちらの言葉が頭に残りますか? おそらくBでしょう。
占い師に言われるまでもなく、交通事故に気を付けるのはフツウのことですが、人によっては飛行機に乗らないようにしようと思ったり、乗り物に注意するとはどういうことか、さらなる回答を求めて、占い師のもとに通ってしまうかもしれません。
このように“不安”というのは頭に残りやすいものです。カルトなどの集団は、人間のこういう習性を悪用して、不安で信者を縛る手法をよく使います。
毒親に育てられた子どもも実は、同じ状態です。潜在的な不安が強いために、健康的な思考回路の人が見たらなんでもないことでも、「おかしい」「あやしい」と思ってしまうのです。
毒親持ち女性が婚活でつまずくパターン
さて、このように日常から強い不安を抱えている毒親持ち女性が、婚活でつまずくにはパターンがあります。
1.自分の不安をコントロールできない
交際相手から連絡がなくて、いい気分になる女性はいないでしょう。とはいえ、健康的な思考回路の人は「忙しいんだ」と考えて、日常生活を送ることができます。
しかし、毒親に育てられた不安が強い人は、「浮気をしているにちがいない」「嫌われたにちがいない」と決めつけて、どんどん相手を疑うようになってしまいます。こうなると、ケンカが絶えなくなって、別れの遠因となることも。
なぜこんなに不安になるかというと、「うまくいかないに決まっている」と親に刷り込まれてしまっているから。
仮に交際相手とうまくいっていても、心のどこかで「うまくいかない」と思っているので、無意識に自分から関係を壊すようなことをする場合もあります。
2.毒親の苦悩を理解してもらいたがる
交際相手には、毒親による苦悩を理解してほしいと思い、話してしまいがちです。
日本は男女の愛より、血のつながった親子関係を神聖視する傾向が強い国ですから、「親が子どもをかわいがらない」という事態が、理解できない人は多いでしょう。下手したら、「そんなことを言い出すおまえがおかしい」と言われかねません。
他人の痛みを理解することは、口で言うほど簡単ではありません。
たとえば、私の従姉妹は親の離婚を経験していて、そのときのつらさをいいオトナになった今も話すことがあります。私は離婚家庭に育っていないので、その痛みがいまいち理解できません。反対に私の従姉妹は毒親を持つ私の気持ちはわからないでしょう。
愛している人にこそ、わかってほしいという気持ちはわかりますが、人間の理解力には限界があります。同じ経験をした人にだけ、痛みや苦しみを話すことをオススメします。
3.毒親にチャンスを与えてしまう
毒親育ちは不安が強いので、誰かの承認を求める傾向があります。「この人でいいよ」というお墨付きがないと安心できないのです。
つい親に「彼はこんな人」と個人情報を与えてしまうと、毒親の「うまくいくわけがない」不安あおりセンサーが作動します。
これは私の読者さんのケースです(許可をいただいて、書いています)。
彼女に彼氏ができたばかりのころ、つい勤務先などのプロフィールを話してしまったために、毒親の「うまくいくわけがない」センサーが作動。彼女の母親は彼氏の職場に電話をして、「どういうつもりで付き合っているのか」「結婚は考えているのか」と問い詰めました。
数回デートしたばかりの男性に、いきなり結婚を考えろというのは無理な話であり、結局彼女はフラれてしまいました。
どう考えても母親の行動が常軌を逸しているわけですが、母親は「ほら、私の言ったとおり、うまくいかなかった」と胸を張り、娘は「やっぱりお母さんの言うことは当たる」「私はダメなんだ」と不健康な癒着が強まってしまったのです。
こういった毒親のエキセントリックな行動は、「それだけ子どもを愛しているから」と解釈されることが多いです。しかし、これは毒親自身が不安を抱えきれないため、シロクロつけるために、なりふり構わぬ行動に出ているのではないかと私は考えています。
反対してくる? 毒親にとっての「娘の結婚」とは
不安の強い人がほしがるのが、ほめ言葉です。
冷静に考えれば、仮に「よくやった」「すごい」とほめられたとしても、それは本心とは限りません。しかし、不安を落ちつけたい毒親にそういった客観性はありません。ほめられればなんでもいいのです。
ほめられたい毒親にとって、娘には絶対に結婚してもらわなければなりません。なぜなら、娘が結婚しないと、自分の育て方が悪いと言われている気がするからです。
かつ、娘の結婚相手には高い社会的地位を求めるか、自分たちの言いなりになる相手を求める傾向があります。
毒親持ちが結婚するには
毒親持ちの女性が結婚するにはどうしたらいいのでしょうか。
毒親持ちの人は、毒親を嫌悪しながらも、毒親から離れられないという不思議な関係を築いています。その理由は、毒親と子どもが不安で結ばれているから。その不安を断ち切るためにも、精神的な距離をとることがまずは肝心です。
1.親の言っていることを疑う
「親の言っていることが、本当に正しいのか」を採点してみることからはじめてください。
たとえば、結婚を願いながら、男女交際を嫌がる毒親はいます。彼らの言い分は「男性経験の豊富な女性を、結婚相手にしたい人はいない」ですが、こういうときに考えてみましょう。あなたの周囲で、交際経験の豊富な人は独身ですか? おそらく、結婚している人もいれば、いない人もいることに気づくでしょう。つまり、交際人数と結婚は関係がないのです。
こういった具合に、毒親の意見の正答率を調べていくと、限りなく0に近いことに気づくと思います。毒親の言うことは当たらないし、根拠がないのです。
2.別々に暮らす
その上で、できれば別々に暮らしてほしいと思います。
毒親と暮らすことは、「うまくいくわけがない」というラジオを延々と聞かされている状態なわけで、ここから離れることで精神的にも大分明るくなることができるでしょう。
3.同じ悩みを持つ人とつながる
そして、今はSNSがありますから、ツイッターで毒親への愚痴を書いてみましょう。そうすることで、実際の人に愚痴らない習慣がつきます。
また毒母ミーティングといった会合やオフ会に出てみるのもいいですね。
同じ悩みを持つ人とつながってみてください。
結婚式や結婚後も注意して
結婚が無事決まったとしても、引き続き毒親への警戒は必要です。次のようなことを注意してみましょう。
1.情報は必要以上に与えない
毒親は不安の種を常に探すのが趣味みたいな人たちですから、情報を入れることで、おかしな気の回し方をします。
両家の打ち合わせや食事といったことはスケジュール的なことは連絡しても、それ以外のことは極力教えないほうがいいでしょう。
2.「夫の家の意見だ」と言う
不安感の強い毒親が一番恐れるのは、破談や離婚です。?世間体イノチ”の毒親にとって、破談や離婚は失敗以外の何物でもないからです。
この場合、彼らの不安を逆手にとって、「そんなことをすると、向こうの家に怒られる」「彼の両親の意見だよ」と言っておけば、「怒らせて破談になったら困る」「離婚になったら恥ずかしい」と我慢してくれるはずです。
親の呪縛を乗り越えて幸せになろう
どんなに愛情深い、素晴らしい親であろうと、毒親であろうと、自然の摂理からいうのなら、親は先にいなくなります。子どもと親は、どのみち離れる運命なのです。
毒親だと気づくことができたなら、それは自立のときが来たということなのだと思ってください。
昔とちがってSNSで同じ痛みを持つ仲間を見つけることはできますし、いい専門書もたくさん出ています。
毒親の呪縛を解く方法はいくらでも見つかるはずですし、あなたの味方はたくさんいます。私でよければ、話し相手にもなります。
新しい人生を、どうか、あなたの手でつくりあげてください。
(仁科友里)
※画像はイメージです