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事実婚とは。メリットデメリットと向いている女性

パンジー薫

刈谷龍太(弁護士)

夫から「事実婚をしたい」と初めて言われたときはショックでした。事実婚する人=入籍できない事情がある、と勝手なイメージを持っていたからです。

でも、調べてみてビックリ。事実婚にはたくさんのメリットがあることを知りました。

こうして不安を払拭し、2017年の秋に私たちは「事実婚」をしました。

この記事では、事実婚を考えている人に向けて、私たちの経験を交えながら「事実婚」について詳しく紹介していきたいと思います。

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どうちがうの? 事実婚と法律婚

ではまず「事実婚」とは何か、「法律婚」とのちがいから確認していきましょう。

簡単にいうと「入籍」しているかどうか

両者のちがいは漢字を見ればわかりやすいと思います。

「法律婚」とは“法律上”夫婦として認められる、つまり「婚姻届」を出して「入籍」することです。

一方「事実婚」とは、入籍はせず、“事実上”夫婦生活を送ることです。

「2人に婚姻意思があること」と、「婚姻意思に基づいた共同生活があること」の2点が、「ただの同棲」と「事実婚」を分けています。

別れる際に相手に慰謝料を請求する、遺族年金を受け取る、といったことになったときに、「事実婚」であると認められる必要があります。上記の2点をもって、裁判所から「同棲ではなく事実婚である」と認められるのです。(※法律上は「事実婚」ではなく「内縁関係」と呼びます)

入籍したくないのが「事実婚」、入籍できないのが「内縁」

ここまで聞くと、「内縁」と同じじゃないかと思う人もいるかと思いますが、両者は選択スタンスがまったくちがいます。

入籍したくてもできない事情があるのが「内縁」選択者なのに対し、「入籍したくない理由」が明確にあってそれを積極的に選んでいるのが事実婚選択者なのです。

事実婚を選ぶ人の特徴

入籍できる状態なのにどうして事実婚を選ぶのか。そこが一番気になるところじゃないでしょうか。

事実婚した友人たちに理由を聞いてみると、

「好きだから一緒にいる。入籍する必要はない」
「戸籍or婚姻制度に反対だから」
「嫁として扱われたくない」
「法律で縛る関係に違和感。気持ちで繋がりたい」

と実にさまざまでした。

なかには「お互い自分の名字を変えたくなくてずっと入籍していなかったけど、ある日事実婚があるじゃん! と思った」という友人夫婦もいました。

理由こそバラエティに富んでいますが、事実婚している人には共通する特徴があることに気づきました。

先に上げた友人たちの多くは、自分の生き方に主義主張をはっきり持っています。もしかすると「事実婚の選択」を通して自分の生き方、人生に対する考え方を主張しているのではないでしょうか。

ちなみに私たちが事実婚を選んだ理由は、夫が「僕たちが夫婦かどうかをわざわざ国に報告するのは変だ」という考えだったため。まさに夫の「生き方、人生に対する考え方」が主張されていますよね(笑)。

手続きが楽なのは「事実婚」

定義のちがいを確認したところで、手続きのちがいについて確認していきましょう。

事実婚するにあたり、届け出は特に必要ありません。必要なのは先述の通り「2人に婚姻意思があること」と、「婚姻意思に基づいた共同生活があること」の2点だけです。

とはいえ、法的手続きをする際や社会的なサービスを受ける際に「事実婚している」という証明があると何かと便利なのも事実。

そこで住民票に登録するときは、続柄の欄に「夫(未届)」または「妻(未届)」と記載して提出すれば「事実婚の証明」ができますよ。

この手続きをしておけば、行政や各サービスへの申請時にグッと苦労が減るのでオススメです(すでに同居している場合は、「世帯変更届」で手続きができます)。

事実婚のメリット&デメリット

実は私たちは、2017年の秋に事実婚するも、2018年の1月に法律婚へと切り替えました。

わずか5カ月で事実婚を終えた理由は「子ども」でした。

なぜ妊娠・出産をきっかけに法律婚に切り替えたのか。ここからは事実婚のメリットとデメリットについて紹介します。

メリット

名字を変えなくてすむ

前出の友人がまさにこのメリットを得るがために事実婚していますね。

法律婚では夫婦同姓が原則として定められていますが、事実婚なら法律上は赤の他人。夫婦で別々の姓を名乗れるため、結婚しても名字を変えたくない人にとってはメリットとなります。

名字変更による事務手続きの必要なし!

名字を変更せずにすむということは、名字変更に伴う変更作業も発生しないということ。

本来なら面倒な免許証、パスポート、保険証……の変更作業をする必要がありません。こういった作業が面倒な人にとってもメリットですね。

精神的に自由でいられる

「婚姻制度は政府の国民管理の制度にすぎない」
「戸籍・入籍制度に反対」
「家族のカタチはさまざまあっていい」

など、自分の思う生き方や自己主張が一貫して実行できます。

デメリット

私たちのように、妊娠・出産をキッカケに法律婚へと踏み切る事実婚カップルは少なくありません。

夫婦「2人」であればメリットの多い事実婚ですが、子どもができると以下のようなデメリットがあるからです。

子どもが「婚外子」に

戸籍上、夫婦と認められていない2人の間に生まれた子どもは婚外子(非嫡出子)となってしまいます。

子どもは母親の戸籍に入ります。「認知」されない限り父親の欄は空欄に。

父親からの扶養や相続を受ける権利もありません。

遺産相続権がない

法律婚の場合、パートナーが亡くなれば自動的に残された相手に遺産が相続されますが、事実婚はちがいます。

財産をパートナーに遺すには、「生前贈与」または「遺言書」を残す必要があります。

これをしないと、どんなに長く連れ添おうとも財産をパートナーに遺すことができないのです(子どもがいる場合、子どもが認知されていればその子どもには相続権があります)。

また、遺言書を用意した場合でも、相続税における配偶者の軽減措置※が法律婚とはちがい受けられません。

※法律婚における配偶者は、被相続人の財産形成への貢献や、被相続人の死亡後の配偶者の生活への配慮などから、法定相続分または課税価格1億6000万円までの財産を相続しても相続税が課税されない。

得られない権利や受けられないサービスがある

法律上、赤の他人である事実婚には「配偶者控除」や「扶養控除」が認められていません。

夫婦2人で稼いでいる場合は問題ないですが、どちらかが家庭に入りたい夫婦の場合、税的な控除が受けられないのはとても大きなデメリットです。

また、結婚している事実が把握しづらいという点で、生命保険の受取人として断られたり、住宅ローンを組む際にスムーズにいかないことも。

対策として、事実婚に関する公正証書を作るという手があります。

公正証書があれば、(病院の方針次第ですが)家族として入院や手術の同意書にサインが可能になることも。また、代理手続きをする際などに、スムーズに夫婦を証明できます。必要だと思うカップルは作っておくといいかもしれません。

事実婚に向いてるカップルとは

「事実婚しようと思っていたけどデメリットのほうが多かった……」という人もいるでしょう。

そこで最後に、事実婚とはどんな人に向いているのか紹介します。

2人とも経済力がある

「配偶者控除」や「扶養控除」の受けられない事実婚では、夫婦2人に経済力があり、税金面で損をしにくいカップルが理想です。

芸能人でいうと最近事実婚した、はあちゅうさん(ブロガー)&しみけんさん(AV男優)は2人とも稼いでいますよね。

子どもを作る予定がない

先述の通り、事実婚で子どもが生まれると、妻の戸籍に入ります。姓も自動的に妻と同じものとなります。父親とちがう名字になるのです。

父親から「認知」されれば、法律婚の子どもと同じように事実婚の子どもも相続や扶養の権利を得ますが、親権はどちらか一方にしか与えられません。法律婚では父母の共同親権です。

このように事実婚カップルが子どもを持つと、ややこしいことが増えますし、子どもが成長してどう思うか、という視点も加わります。

私個人としては、子どもがほしいなら事実婚はオススメしないです。

個人の生き方を尊重・重視したい

事実婚することによるデメリットに負けないくらい「入籍したくない確固たる理由」がある場合は、事実婚するといいでしょう。

自由な生き方を選んでいる分、伴う苦労は増えるかもしれませんが、自分の意思を曲げずにすみます。

事実婚は自由ですばらしい

たった5カ月ではありますが、事実婚していた経験を通していえるのは、「事実婚は確かに自由ですばらしかったな」ということです。

法律で守られていない不安がないと言えばウソになりますが、それ以上に「2人の意思のみで一緒にいるんだ」という覚悟が、毎日の結婚生活に心地よい緊張感を与えてくれていたように思います。

子どもができたタイミングで法律婚に切り替えた私たち。ライフプランの変更に伴い、いつでも法律婚できるのも事実婚のメリットです。

2人にとってベストな結婚のカタチを、ぜひ見つけてくださいね。

(文:パンジー薫、監修:刈谷龍太/グラディアトル法律事務所)

※画像はイメージです

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