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「処女は恥ずかしい」と思っている女性たちへ

仁科友里

「処女を恥ずかしいと思ってしまう心理」や「本当に処女は恥ずかしいことなのか」について、ライター・仁科友里さんが分析・解説します。

ライターの仁科友里です、こんにちは。

私はみなさんよりだいぶ年上ですが、私が若者だった90年代も「ヤラハタ(やらずにハタチ)」といった具合に、セックスの経験と年齢を結びつける言葉は存在しました。

昔からあったのは「童貞が恥ずかしい」という風潮

女性というより、男性を対象に使う言葉で、「ヤラハタは回避したい(ハタチまでに童貞を捨てたい)」というような使われ方が多かったと思います。

なぜ女性は男性にくらべて悲壮感が少なかったのかといえば、「恋愛やセックスは男性がリードするべき」という考えが根強かったから。

リードされる側(女性)の経験が少ないほうが、男性側は安心してリードができます。ゆえに女性は「やらはた」「やらみそ」という言葉を特に気にする必要はなかったのでした。

ですが、読者のみなさんは男女平等教育を受けていますから、男女とも「男性がリードすべき? は? 何それ?」でしょうし、若者の恋愛離れといった言葉どおり、今は恋人を持たない男女が増えています。

「アラサー処女」はなんらおかしくない昨今

国立社会保障・人口問題研究所が発表した「第15回(2015年)の出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」では、未婚者のうち男性の7割近く、女性の6割近くが、交際相手がいないという結果が出ています。

セックスを恋人とするものと仮定した場合、恋愛しない人が増えるということは、処女や童貞が増えるということになります。

アラサー世代で処女であっても、なんらおかしくはありません。

「処女が恥ずかしい」と思う理由

それでは、どうして処女であることに対して、引け目を感じてしまうのでしょうか? それはセックスが暗示するもののせいではないでしょうか。

セックスが意味することをあげてみます。

(1)性欲

異性間もしくは同性間で、性欲によって相手を求めるのはごく自然なことです。

恋人といった特定の関係の人に感じることもあれば、面識もない人が対象になることもあるでしょう。

(2)スキンシップもしくは愛情表現

ちょっと不安を感じているときに、誰かに手を握ってもらうと、なんとなく安心しますよね。タッチング(人に触れてもらうこと)は、人間に情緒的な安定をもたらすといわれています。

カップルの場合、愛情表現としてセックスをすることもあるでしょう。

(3)魅力の証明

相手の意志を無視して、セックスはできません。

「セックスしよう」と誘われること、同意を得られたことを、「自分が魅力的である証明」と考える人はいます。

処女であることに肩身の狭さを感じてしまうのは、おそらく(3)の理由からでしょう。処女であることで、誰からもアプローチされない、魅力のない存在だと思われたらどうしようと考えてしまうのだと思います。

付き合う女性が「処女かどうか」を男性は気にしない

それでは、当の男性は処女について、どう思っているのか、22~39歳を対象にアンケートを取ってみました。

Q.付き合う女性が処女かどうか気になりますか?

気になる(29.5%)
気にならない(70.5%)
※有効回答数559件

このデータでもわかるとおり、処女が気にならないという人が7割ですし、気になるという理由も「元カレと比べられたくない」といった具合に、男性は自分の都合について考えていますから、「処女=魅力がない証拠」とまったく思っていないことがわかります。

処女膜の有無くらいで人生は変わらない

「処女である」ことは、特にアピールすべきことではなく、強いて言うのなら、実際に相手ができて、タイミングが近くなったら言えばいいこと、なのではないでしょうか。

もし、私の親しい若い女性が「初めてのセックスを大事にしたい」と言ったとしたら、そうだねと答えるでしょう。

「早く処女を捨てたい」と言われた場合も、そうだねと答えると思います。

おい、無責任だぞと思われるでしょうが、嫌いな人でもいいから処女を捨てたいといった自暴自棄な行為でなければ、どっちでもいいのではないかと思います。

なぜなら、処女膜の有無くらいで、あなたも人生も変わるわけではないからです。

「処女は恥ずかしい」と思っているあなたへ

セックスは魔法ではありません。
セックスをしたからといって、キレイになるわけではありません。
セックスをしたからといって、愛情が強くなる確証はありません。

にもかかわらず、人がセックスをするのは、上記(1)、(2)に加えて、セックスが快感を伴うがゆえに、破壊力の強いコミュニケーションだからでしょう。

男女のちがいがもっとも顕著に表れる分野だと私は思っています。

男女平等教育を受けてきたみなさんにとって、一番ピンと来ないのが、この「女性と男性はちがう」ことではないでしょうか。

ヤレる女子大生ランキングに見る「男女のちがい」

『週刊SPA!』(扶桑社)が「ヤレるギャラ飲み実況中継」という記事で、ヤレる可能性の高い大学をランキングで紹介し、炎上したのはみなさんの記憶に新しいことと思います。

ネットなので性別はわかりませんが、女性の抗議を不服としたのでしょう、「オンナもヤレる男子大学生ランキングを作ればいいではないか」という書き込みがありました。

これは男女の決定的なちがいのひとつでしょう。

「ヤレる女子大生ランキング」がほのめかすのは、「ヤレるオンナを手っ取り早く見極めたい」という心理でしょう。「一刻も早くヤリたい」人にとって、固有名詞のような客観的事項であればあるほど、役に立つ情報です。

女性誌には「ヤレる男子大学生」ランキングはありませんが、その代わり、モテテクを紹介する特集が組まれることがあります。しかし、モテの最終的な目標が何かは書いてありません。

彼氏を作ることかもしれないし、チヤホヤされて承認欲求を満たすことかもしれないし、セックスかもしれない。

「ヤレる」が最初に来る男性と、そこはケースバイケースな女性。前提がちがうので、話してもなぜかかみ合わない事象が発生するのだと思います。

理屈ではない「気持ち」「タイミング」を大切に

「手っ取り早くヤリたい」男性のセックスは、セックスではなく女性の体を利用した排泄です。ナンパ塾の生徒がナンパした女性に意図的に強い酒を飲ませ、強姦した事件がありましたが、ヤレた女性の動画や数をグループ内で共有して、人数が多いことを誇っていたそうです。

てっとり早くヤり、女性をよりぞんざいに扱うことで承認欲求を満たす男性も存在することを覚えておいてください。

相手が、自分とちがう心と体を持っていることを、肌で知ること。それがセックスだと私は思っています。

セックスは魅力の指標ではありませんし、ましてや男性に奉仕するものでもない。

安全で信頼できる相手であるという前提で、この人に触れたいという理屈でない気持ちやタイミングを、どうか大事にしてほしいと思います。

(仁科友里)

(※1)マイナビウーマン調べ
調査日時:2019年1月19日~1月21日
調査人数:645人(22~34歳の女性)

(※2)マイナビウーマン調べ
調査日時:2019年1月19日~1月21日
調査人数:559人(22~39歳の男性)

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