お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

自分に厳しくなりたい! 自分に厳しい人の特徴と注意点

熊谷佐知恵(心理カウンセラー)

Kaoru Sawa

「私は自分に甘いのでは……?」と自己嫌悪に陥ってしまうことはないでしょうか。自分でやろうと決めたことをやり遂げられなかったときなどには、どうしても落ち込んでしまいます。「もっと自分に厳しくしないと」と焦る気持ちもある一方で、自分に厳しくしすぎて辛くなってしまうこともあるかもしれません。心理カウンセラーの熊谷佐知恵さんが「自分に厳しくなりたい」と考える女性の悩みに答えてくれます。

自分に厳しくなりたい! 自分に厳しい人の特徴

まずは、自分に厳しい人とはどんな人なのか詳しく解説してもらいました。

「自分に厳しい人」とは「自分に厳しく見える人」

自分に厳しく見える人の特徴として、大きな理想や目標に向けて自己管理ができていることが挙げられるでしょう。理想や明確な目標がある人は、自分なりの評価基準を持っています。自分との約束を守るため、しっかりと自己管理をしながら高みを目指して努力していくのです。真面目に自己管理していく様子が傍目には自分に厳しい人のように映ることもありますが、本人は自分を律していくプロセスそのものを楽しんでいることも多いのが実情。
そのような人たちが心がけていることは、けっして自分を厳しく管理することではありません。夢や目標に向けての行動や態度、自分のふるまいにも理想があり、責任を持ってそれを実現しようとしています。

「自分に厳しくしたい人」は「厳しくすることが目標になっている人」

一方、「自分に厳しくしたい」という人は、自分に厳しくすること自体が目標になっています。もし自分に厳しくしようとして辛くなっている人がいたとしたら、自分が「厳しい」と感じる体験を見事実現しているという見方もできます。ある意味自分で望んだことが叶っている状態と言えます。

しかし、実際には「自分の思い通りにいっていない」と勘違いしているために自分を責め、自分に厳しくなりたいという相談に来る人も多いです。まずはこの早合点、誤解に気づくことが大事です。
そもそも、人は夢や目標といった目指すべきものがなければ、自分を律するのが難しい生き物。だからこそ、自己管理や責任を持った行動が必要になるような夢や目標を持つことが必要なのです。そうすると「自分に厳しい人」と思われるような人になれるでしょう。

自分に厳しいのはいいことばかりではない?

自分に厳しい人とはどんな人なのかわかったところで、「自分に厳しい」というのはどういうことなのか詳しく教えてもらいました。

自分に厳しいことが必ずしも正解じゃない

自分に厳しくすることで生まれる悪循環

「自分に厳しくなりたい」と相談に来る人は「私は自分に甘くて、何をやっても長続きしないんです」と言う場合がほとんど。「自分は怠け者で飽きっぽく、何をやってもやり遂げることができない」と感じることが多いため、「もっともっと自分に厳しくしなければ!」と思っているのでしょう。しかし、そのことで自分を厳しく責めていることが多いので、それが辛くて続けられないのです。
欲求不満が重なり、不平不満がある状態だと自分のニーズばかりを満たそうとしがち。その結果、ついまた自分を甘やかしてしまうということを繰り返してしまうのです。「自分に厳しくなりたい」とばかり思っていると、このような悪循環に陥る危険があります。

自分に厳しくすることが目的ではない

また、先に述べた通り、自己管理がきちんとしている人など、一見自分に厳しいように見える人は「自分に厳しくなりたい」と思ってそのように行動しているわけではありません。彼らは夢や目標に向かって走っているのであって、「自分に厳しくなりたい」ということが目的ではないでしょう。繰り返しになりますが、その点を誤解しないことが大切です。

自分に厳しくて辛くなる時の対処法

痛みや辛さを感じるときは、何か思い違いをしていないか客観的に振り返ってみることも大切です。まずは自分の中にある罪悪感という感情がどういうものなのか考えてみましょう。罪悪感とは自己批判から始まり「自分が悪い」という思いを強める感情のことです。「自分が悪い」と思っていますから、「罰せられて当然だ」というスタンスになりがち。この感情に囚われているときは、成功や達成などの「よいもの」も受け入れることができなくなってしまうのです。
もし「自分は不十分である」という自己批判を土台に「もっと厳しくする必要がある」とするなら、それは「自己いじめ」と言えます。だから辛いのかもしれません。このような罪悪感による悪循環があるときは、人との分離を生み引きこもりがちになることも。
一方、私たちは罪悪感を「前に進むことへの怖れ」から身を守るために都合よく利用することもあります。罪悪感という感情をこのように使うのは間違ったことかもしれませんが、間違いに気づくことができたなら修正することができるのです。
もし自分に厳しくて辛くなってしまったら、そのときは今一度自分を客観的に見つめ直してみるとよいでしょう。

自分に厳しい人との上手な付き合い方

「自分に厳しい人」を目の前にすると、自分の甘さが浮き彫りになる感じがして、苦手……、こう感じる人も少なくないのではないでしょうか。続いては、「自分に厳しくい人」との上手な付き合い方について教えてもらいました。

自分に厳しい人と付き合うのは大変?

ビジネスの場合

心理学では「人は自分を扱うように人を扱う」と言われています。よって、自分に厳しい人はまわりの人にも同じように自己管理や結果を出すことを要求するかもしれません。もし会社の上司がこのようなタイプですと、部下に対しても細かく管理したり指導したりするような場面もあるでしょう。中でもその人が完璧主義であったりすると、自分と同じようにできない部下に対してはイライラや怒りをつのらせるかもしれませんし、厳しいがゆえの強いプレッシャーで仕事が辛くなるというようなことも考えられます。

恋愛の場合

恋愛の場合には、相手が仕事を優先的に考えていると、約束を取り付けるのに苦労したり、寂しい思いをしたりすることもあるかもしれませんね。また、2人の時間にも仕事のときと同じような管理意識が持ち込まれてしまうと、待ち合わせの時間を厳守するよう要求されたり、日頃の生活習慣に関しても口うるさく指摘を受けたりするようなことが出てくる可能性も。このようにオンオフで意識がうまく切り替えられないと、ロマンチックなムードにはなりにくかったり、親密感や愛着などの情緒的な喜びを感じにくかったりするかもしれません。

自分に厳しい人とうまく付き合う方法

しっかり自己管理できる人とお付き合いをするつもりなら、愛と尊敬を感じるその人のよいところを少しずつ見習いながら、自分にも取り入れてみるとよいかもしれません。パートナーのよい習慣と自分の新しい習慣が近づくと波長やリズムが合ってくるでしょう。そうすると、すれ違いや行き違いなど、タイミングのずれも起きにくくなってくるはずです。

自分に厳しくするのは何のため? 一度立ち止まって考えよう

「もっと自分に厳しくしなければ」と思い辛い気持ちになっている女性もいるかもしれません。しかし、何のために自分に厳しくしたいのか、一度立ち止まって考えてみてください。「自分に厳しいこと=よいこと」の図式にとらわれ、自分に厳しくすること自体が目標になってはいないでしょうか。ときには自分の考えや感情を客観的にふり返り、そこに間違いやごまかしがないかチェックすることも大切。夢にしろ目標にしろ、何かしら本当に成し遂げたいことを持てれば、それに責任を持って取り組んでいくことでいつの間にか自分を律することのできる人になれるかもしれません。

(文:熊谷佐知恵、構成:Kaoru Sawa)

※画像はイメージです

SHARE