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「働く理由」が見つからないあなたへ。お金のためじゃダメ?

小野勝弘(キャリアコンサルタント)

マイナビウーマン編集部

働く理由を考えたことはありますか? お金のため? 自己実現のため? 社会人になり数年も経てば「私はなんのために仕事をしているの?」「仕事のために生きているみたい」「お金のためだけに働くのって虚しい」などと、仕事を続けることへ疑問を抱く機会も出てきますよね。世の中の働く女性たちは、働くことの意味や働く理由をどのように考えているのでしょう。アンケートで探ってみました。さらに、キャリアカウンセラーの小野勝弘さんにプロの目線のアドバイスももらいました。

女性が働く理由【一般女性アンケート】

まずは、働く女性たちが「働く理由をどのように捉えているのか」を調査してみました。

「働く理由がある」と感じる女性は約9割

そもそも、仕事をする意味についてちゃんと意識している女性は何割ぐらいいるのでしょう。働く理由をしっかり感じられているか、女性たちにこんな質問をしてみました。

Q.あなたには働く理由がありますか?

ある(89.9%)
ない(10.1%)
※有効回答件数388件

9割以上の女性は自分が働く意味について認識していると回答しました。なんとなく働いている、なんて女性は少数派のようですね。多くの女性はどんな理由から働いているのでしょうか。

女性たちが考える、働く理由

(1)お金のため

・「生きていくためにはお金が必要なので、そのために働く」(31歳/機械・精密機器/秘書・アシスタント職)

・「お金がないと生活できない。社会との繋がりを持たないと自己有用感がもてなくなる」(25歳/学校・教育関連/その他)

・「趣味をまっとうするため。ライブ行くのもイベント行くのも漫画買うのも何するのもお金がかかる」(27歳/アパレル・繊維/販売職・サービス系)

(2)社会貢献できているというやりがいのため

・「社会に貢献し、また、生きがいを持って働くことに意味があると思うため」(29歳/その他/事務系専門職)

・「社会の役に立っていることを実感できるから」(25歳/その他/秘書・アシスタント職)

(3)家族のため

・「シングルマザーで子どもを育てないといけないから」(27歳/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職(法務・財務・人事・総務など))

・「未婚のシングルマザーで子どもを育てるため、生きていくため」(29歳/建設・土木/秘書・アシスタント職)

(4)働くこと自体が楽しい!

・「好きなことを仕事にしたかったのでそういう会社に就職した」(22歳/小売店/販売職・サービス系)

・「仕事が楽しい。働くのが趣味だし、働けば働くほど生活の安定度も増すから」(31歳/人材派遣・人材紹介/その他)

生きるためにはお金が必要。働くのもお金のためという意見が大多数です。そのお金で趣味などのプライベートを充実させたい人もいれば、家族を養うためという人もそれぞれでした。一方で、働くのはお金のためではなく、社会貢献のためでそのことが生きがいになっている人も。また、働くこと自体が楽しい、なんて羨ましい人も中にはいました。そんな働き方が理想ですよね。

働く理由がない人の意見

さきほどのアンケートで「働く理由がない」と回答した女性に、理由がないのはなぜなのか聞いてみました。

(1)お金に困っているわけじゃない

・「彼の収入が安定しているし、友だちの旦那に比べてボーナスももらってるほうだから」(34歳/その他/その他)

・「経済的に困っていない。働く目的が見つからない」(30歳/その他/その他)

(2)世間体と義務から働いているだけ

・「なんとなく世間体と義務から働いているだけだから」(26歳/情報・IT/技術職)

(3)特にやりたいこともない

・「家庭があるわけでもないし、特にやりたいことがあるわけでもないから」(28歳/自動車関連/技術職)

働く理由=お金、という考え方の場合、経済的に余裕があるなら理由がないことになりますね。働く理由はなくてもOKなのでしょうか?

働く理由の見つけ方とは?

働く理由がある、と答えた9割近くの女性たち。理由はあるけど、その理由に納得しているかどうかはまた別の話です。できたらもっとモチベーションの上がる「働く理由」を見つけたいものですよね。また、少数派ながら1割の女性は働く理由がないと感じている模様。そこで、キャリアカウンセラーの小野勝弘に働く理由に関するアドバイスをもらいました。

働く理由がなくても別にいいの?

働く理由がないまま働いても大丈夫。むしろ、そのまま働き続けましょう。働く理由がなければ働いちゃいけないわけではありません。働く理由を見つけるために働くという人もいます。

働きながら働く理由を見つけた一例を挙げます。専業主婦でいいやという気持ちであった女性が、親の目や世間体から事務職をはじめました。職場で、新しい人が来てはやめ、来てはやめを繰り返すのを見て、せっかく入ったのだからやめなくてもいい職場づくりを考えるようになったそうです。働くことに理由などなかったにも関わらず、働く中で「職場づくりをしたい」という理由を見つけたというわけです。

このように、働いているとそれを通して常に刺激を得ることができます。それが、仕事をする中で自分のやりたいことを見つけたり、大切にしていた思いを言語化できるようになったりすることにつながるのです

もし、働く理由がないことに悩んでいる場合、誰かと比較していて焦っているのではないでしょうか。〇〇さんはいつも楽しそうでイキイキしてるのに私は……とか、上司には自己目標を立てろって毎回言われるけど目標が思いつかなくて、同僚との意識の差を感じてしまうとか。働く理由はそれぞれなので、まわりに振り回されないようにしてください。

キャリアカウンセラーが教える。働く理由の見つけ方

理由の見つけ方をお伝えする前に、働く理由というものの前提について触れておこうと思います。働く理由は大きく分けて2つあります。ひとつは、外部からもらえる物的なもの。もうひとつは自分の思いを実現する精神的なものです。

今回のアンケートに準ずるなら、お金というのは外部からもらえる物的なものの代表といえるでしょう。やりがいや貢献というのは精神的なものに含まれます。注意したいのは、どちらがいいという話ではないということです。物的なものも精神的なものも、どちらも大切な働く理由です。そのうえで、働く理由の見つけ方について考えてみましょう。

ステップ1. 働く理由はなくても大丈夫。という認識を持つ。

探せば探すほど、働く理由からは遠ざかるもの。まずは、今持てていない自分を認めてあげましょう。アンケートにある理由が千差万別であることからもわかる通り、働く理由は人それぞれです。また、今、働く理由を持っている人が将来持ち続けることができるかといえばそうではありません。たとえば、お金が現在あるから働く理由が見つからないという人が、将来お金に困ったらどうでしょう。この場合、お金を稼ぎ生活を維持することが働く理由となるのではないでしょうか。

ただ、キャリアコンサルタントとしては、働く理由は精神的なものも持っておいてほしいと考えています。私の人生の目標は〇〇だから、この仕事を命がけでやっているんだ! といったような大げさなものでなくても大丈夫。こういうのが好きだからやってるんだとか、この仕事を通してこんな感じで充実した生活を送っているんだ、とか、そのような精神的な理由が見つかるといいですね。

ステップ2. 仕事中の自分の感情に注目してみる

精神的な理由という話をしましたが、次のステップは自分の感情に注目してみることです。普段生活をしている中では、「何をしたか」に、注目しがちです。たとえば、今日も変わらず接客をしたという場合、たしかに接客をしたことは事実であるし仕事内容としては一日中変わらなかったでしょう。しかし、その接客をする中で感じた気持ちは、そのときそのときでちがうのではないでしょうか。あのお客様は笑顔で帰ってくれてよかったなとか、お客様対応しているときに上司が話しかけてきてイラっとしたな、とか。働く理由を見つける際には、仕事をしながら感じた自分の気持ちに着目することで、「お客様の笑顔をうれしいと思う自分」や、「客対応中は上司にイライラしがちな自分」に出会えることになります。

感情は、自分のスイッチだったりします。「何をしたか」に加えて、「どういう気持ちだったか」を考え、働いているときの自分に気軽に向き合ってみてください。

ステップ3. 自分の思いをていねいに検証する

検証するというと難しそうに思えますが、難しいことはありません。自分の内面に気づく作業のことです。先ほどの例を引用するなら、「お客様の笑顔を見ながらお見送りすることがうれしい」や、「客対応しているとき上司に話しかけられてイラっとした自分」は、どうしてそうなのかを考えてみるということです。

注意してほしいのは、ネガティブな感情を切り捨てないということです。どうしてネガティブに思うのかを考えることで、自分が何を大切にして仕事をしているのかに気づくことができるからです。「お客様に精一杯接したいのに、上司の対応をしなくてはいけなくてイラっとする」とか、「自分の担当の仕事を私の判断でまっとうしたいのに、上司が指摘してくるからイラっとする」といったケースが先ほどの事例からは考えられます。この場合、「お客様に精一杯接したい自分」や、「責任をしっかり果たし、自分の裁量で仕事をしたいと考える自分」に出会うことになります。つまり、働く理由は「お客様を笑顔にすること」「自分の裁量で仕事できるぐらい出世する」ということが考えられるのです。

このように、自分の気持ちをベースに働く精神的な理由にアプローチしてみることで、見えていなかった自分に気づくことができます。

女性であれば結婚や出産といったライフイベントによって、キャリアの中断が発生する可能性が今もなお男性に比べて高いです。キャリア中断後、再び働きはじめたときに「働く理由」に悩んでしまうことは多いものです。目を向けるのは身近なところからで大丈夫。仕事も人生の一部です。日々生活していく中で感じる気持ちを大切にしながら探していってくださいね。

働く理由はなくてもいい。でも持てたらもっといい

働く理由=お金、という考えの人がとても多いことがわかった今回のアンケートでした。それはけして悪いことではありません。さらにいえば働く理由がわからず働いている女性も一部いましたが、それだって悪いことではないようです。ただ、小野さんによれば、「働く理由は精神的なものも持っておいてほしい」とのこと。働く中で生じた自分の感情の動きに着目することがカギになるようです。お金といった物的な理由以外の理由、ゆっくり探してみるのもいいですね。

(小野勝弘、マイナビウーマン編集部)

※画像はイメージです

※マイナビウーマン調べ
調査日時:2018年6月7日~6月8日
調査人数:393人(22~34歳の未婚女性)

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