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入浴ってアトピーにいいの?

宇井千穂

「ボディソープやシャンプーは使わないほうがいい?」「お風呂に入ってアトピーが悪化しないだろうか」……など、アトピーでお悩みの人の中には、入浴にまつわる疑問や不安を抱える人も多いのでは? そこで今回は、アトピーの人が入浴する際の正しい方法や注意点について、皮膚科医・宇井千穂先生の解説を元に紹介します。

足

<目次>

アトピーの人は「入浴」すべき?

まずはじめに、アトピーの人に「入浴」は必要なのかどうかについて、探っていきましょう。

かんがえる人

アトピーに「入浴」は大切

入浴の目的は、皮膚に付着した垢や汚れを洗い流して皮膚を清潔に保つことです。これにより、正常なターンオーバー(肌の生まれ変わり)をサポートし、健康な皮膚が維持できます。アトピー性皮膚炎の人ほど、外部からの感染に弱いため、入浴によって異物や汚れ、汗を取り除くことは大切です。

入浴によるリラックス効果はアトピー改善に効果あり!

また、入浴には皮膚を清潔に保つほか、自律神経をととのえるリラックス効果もあります。アトピー性皮膚炎の中には、ストレスを感じたときに掻きむしってしまう人もいるため、入浴によって「リラックスする時間」を設けることは有効です。

アトピーにいい入浴方法&気をつけるポイント

続いて、正しい入浴方法や気をつけるポイントについて見ていきましょう。

チェック

(1)正しい入浴方法

入浴時間は「20分以内」、温度は「38度~40度」

アトピーの方が入浴する場合、アトピーの程度やその時の皮膚の状態を考慮して「入浴時間」や「温度」を変えることが必要です。

そのことを踏まえた上で、入浴時間は「20分以内」、温度は「38度~40度くらい」のぬるめがいいでしょう。このくらいの温度であれば、血管拡張によるかゆみも起こりにくいです。また、「温度」が皮膚の刺激になってピリピリするときは、水で温度を調節しましょう。

体に触れる化学物質は「刺激の低い」ものを

ボディソープやシャンプー、リンスなど、体に触れる化学物質はできるだけ添加物の少ないものを選びましょう。選ぶポイントとしては「アルコールフリー」や「無香料」と記載があるものを。

皮膚が敏感になってるときは「手」で洗う

皮膚が炎症など過敏になっているときは、ボディスポンジやボディタオルは使わず、手の平を使ってなでるように洗いましょう。このとき、よく泡立てないと皮膚に成分が残ってしまいます。スポンジやネットで泡立ててから、その泡を使って洗いましょう。

洗い残しのないよう、よくすすぐ

残存した化学成分によって、皮膚のバリア機能が壊されてしまうことがあります。ボディソープやシャンプーの成分が残らないよう、十分にすすぎましょう。

(2)気をつけるポイント

体を洗うのは1日1回

ボディソープやシャンプーなどの化学成分を使用した入浴やシャワーは、1日1回に抑えましょう。夏場など、どうしても1日1回以上シャワーを浴びたいときは、化学成分の入ったものは使用せず、皮膚に付着した垢や汚れを温水で洗い流すだけにしましょう。これだけで十分、皮膚に付着した刺激物質や垢や汚れを除去できます。

ドライヤーの長時間使用はNG

入浴後、髪を乾かすためにドライヤーを使う場合は長時間の使用を避けましょう。ドライヤーの熱で皮膚が乾燥しアトピーを悪化させてしまいます。オススメは、タオルドライした後に「自然乾燥」させて乾かすことですが、どうしてもドライヤーを使用したい場合は、温度を低めまたは冷風にして、半乾きになったところで終わりにしましょう。

入浴後は保湿剤を忘れずに

保湿剤は皮膚の温度が高く、角質層内に十分な水分がある入浴後に使用するのが、もっとも効果的です。入浴後、5~10分の間に忘れずに塗るようにしましょう。

アトピーが悪化するNGな入浴方法

最後に、アトピーが悪化してしまうNGな入浴方法について紹介します。

かゆい

過剰に入浴する

1日に何度も入浴するのは避けましょう。肌のバリア機能である皮脂が流れてしまい、アトピーを悪化させてしまいます。

タオルやボディスポンジなどで刺激する

アトピーの人の肌はとてもデリケートです。身体を洗うときは、必要以上に刺激を与えないよう、タオルやボディスポンジの利用は控え、自分の手で優しく洗いましょう。

洗いすぎる

ボディソープや石鹸などで洗いすぎるのもやめましょう。肌にある「角質細胞間脂質」や「天然保温因子(NMF)」というバリア機能を持つ保湿成分を傷つけてしまいます。また、石けんを直に身体に当てて洗うのもやめましょう。石けんについた前日の汚れや細菌などを皮膚につけてしまいます。

こんなときは入浴NG!

肌についた異物や汚れ……。入浴により落とすことは大切ですが、以下の場合は入浴を控えましょう。

パニック

肌に刺激を強く感じるとき

冒頭でもいいましたが、アトピー性皮膚炎の人は感染しやすいため、基本的に入浴が必要です。とはいえ普段よりも肌がピリピリ、またはチクチクと刺激を強く感じる時は、途中で湯船から出てしまってもかまいません。症状を悪化させないためにも入浴は大切ですが、肌に異常を感じるときや、過度な入浴は行わないようにしましょう。

まとめ

アトピーの人が入浴する際の、正しい方法や注意点について紹介してきました。いかがでしたか? アトピー性皮膚炎の人ほど、入浴によって異物や汚れ、汗を取り除くことが大切なのがわかりましたね。

今まで「アトピーが悪化しそうだから……」と、入浴を控えていたという人はぜひ、こちらで紹介した正しい入浴法や注意点を参考にしてみてくださいね。

(文:宇井千穂、構成:マイナビウーマン編集部)

※画像はイメージです

※この記事は総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックを行いました(2018.05.14)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

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