お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

ほくろが大きくなる原因と対処法~悪性のほくろの見わけ方~

松島桃子

01

ふと鏡を見たら、気づかないうちにほくろができていたなんてこと、ありませんか? ほくろはさまざまな原因で発生しますが、中にはだんだん大きくなってしまうものもあります。ほくろができる原因と対処法について、皮膚科医の松島桃子先生に教えていただきました。また、悪性のほくろの場合には治療が必要になるため、ほくろの見分け方についても解説します。

<目次>

ほくろの性質と原因

02

そもそもほくろとはどんなもので、何が原因で発生するのでしょうか。松島先生に聞いてみました。

ほくろとは

松島:ほくろは、医療用語で「色素性母斑(しきそせいぼはん)」または「母斑細胞母斑(ぼはんさいぼうぼはん)」と呼ばれます。ほくろは、「色素細胞(メラノサイト)」というメラニン色素を作る細胞が変化した「母斑細胞」と呼ばれる細胞のかたまりです。色素細胞と同様に、母斑細胞もメラニン色素を作り出すため、肌が褐色ないし黒色に見えるのです。

一方、ほくろと間違われやすいシミは、皮膚の「基底層」という場所にあるメラノサイトが活性化し、メラニン色素を作り出すことによって現れます。通常、メラニン色素は肌のターンオーバーとともに排出されていきますが、代謝の乱れなどによってメラニン色素が排出されずに残ってしまうと、シミになるのです。

ほくろができる原因

松島:肌が紫外線を浴びると、メラノサイトがメラニンを作り出します。代謝がしっかり働いていれば、ターンオーバーとともにメラニンが排出されるため、肌は元の状態に戻ります。しかし、メラノサイトが活性化しすぎたり、何らかの刺激を受けて異常を起こすことによって、母斑細胞へと変化し、ほくろが形成されます。

ほくろができる原因の大半は紫外線ですが、ストレスや生活習慣の乱れによってもメラノサイトの働きが活発化し、少なからずほくろの形成に影響を及ぼします。

ほくろが大きくなる原因と対処法

03

ほくろは、紫外線によって作り出されるメラニンの影響で生まれることがわかりました。それでは、なぜほくろが大きくなってしまうのでしょうか。ほくろが大きくなる理由と対策について、松島先生に教えていただきました。

ほくろが大きくなる原因

松島:紫外線を浴び続けると、メラノサイト自体が増えてほくろが大きくなります。また、強くこすったりなどの刺激を与え続けたり、ストレスや疲労、生活習慣の乱れが続くと、メラノサイトが活性化してほくろが大きくなる原因となります。

ほくろを大きくしない方法

松島:ほくろを大きくしないためには、メラノサイトを活性化させないことが最も大切です。つまり、紫外線を浴びすぎないようにしてください。外に出るときは日焼け止めや帽子、日傘などを活用しましょう。また、肌のターンオーバーとともにメラニンをしっかり排出させることも大切です。そのためには、肌の乾燥を防ぐのはもちろんのこと、ストレスを溜めないことや、バランスのいい食生活、良質な睡眠も大切になってきます。

良性のほくろと悪性のほくろの見分け方

04

ほくろの中には、良性のタイプと悪性のタイプがあります。悪性の場合には、治療が必要になることもあるため注意が必要です。それぞれの特徴や見分け方について、松島先生に教えてもらいました。

良性のほくろの特徴

松島:いわゆる「ほくろ」は小型のものを指します。紫外線や外部刺激によってメラノサイトが増えて、ほくろが大きくなりますが、それでも5mm以内に留まることが一般的です。大きくなるスピードも、数年、数十年かけてゆっくりとです。

悪性のほくろの特徴

松島:メラノサイトが悪性化して、腫瘍になったものを悪性黒色腫(メラノーマ)といいます。メラノーマは、皮膚腫瘍の中で最も悪性度が高く、発生すると進行が早いので注意が必要です。どこの皮膚にも発生しますが、日本人は特に足底と指趾爪部に発生する確率が高く、皮膚以外の口腔や目の結膜に発生することもあります。罹患率に男女差はほぼなく、中年以降に発症することが多いですが、若年者に生じることもあります。

メラノーマの見分け方

松島:メラノーマとほくろは、ちゃんと見分けることが重要です。見分けるときのポイントは以下の5つです。

(1)非対称性の病変……形が左右非対称である
(2)辺縁が不整……端がギザギザしており、境界に鮮明な部分と不鮮明な部分がある
(3)色調の濃淡混在……黒褐色が多いが、色調にムラがある
(4)大型病変……直径が6mm以上ある
(5)形態が変化……大きさ、形、色調の進行性の変化

これらはメラノーマと良性のほくろを見分けるための重要な指標とはなりますが、診断はあくまでも総合的になされます。どれかひとつ当てはまったからといって、メラノーマだと決まるわけではありません。しかし、思い当たる症状がある場合は、一度病院を受診してみてください。

病院を受診したほうがいい場合

松島:半年~1年ほどの短期間で急に大きくなったほくろや、「メラノーマの見分け方」で紹介した5つのポイントに該当する場合は、早い段階で病院を受診すべきです。足底と指趾爪部はメラノーマ発生の多い部位。足の裏や爪の中、口の中など、普段はほくろができない場所にほくろができた際には、メラノーマの可能性があることを頭の片隅に入れておいてください。

まとめ

ほくろができるのを防ぎ、なるべく大きくしないためには、紫外線対策はもちろんのこと、メラニンをスムーズに排出させることも大切です。ストレスや疲労などで生活リズムが乱れると、肌のターンオーバーが正常に行われず、メラニンが蓄積してしまいます。バランスのとれた食事や良質な睡眠など、まずは日々の生活習慣を整えることから始めてみましょう。また、少しでも悪性のほくろの疑いがある場合は、早めに病院へ行くことをおすすめします。

(文:松島桃子、構成:マイナビウーマン編集部)

※画像はイメージです

※この記事は総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックを行いました(2018.05.14)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

SHARE