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【弁護士が解説】離婚の原因ランキング⇒1位は「○○の不一致」

刈谷龍太(弁護士)

ファナティック

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夫婦生活が長くなると、相手の嫌な部分が見えてきて、ケンカをしてしまうこともありますよね。それが離婚にまで発展してしまう原因には、どんなことが多いのでしょうか。夫婦の離婚原因をランキング形式でご紹介します。また、離婚しやすい夫婦の特徴や、離婚しないために必要なことなどについて、グラディアトル法律事務所の刈谷龍太弁護士に解説していただきました。

一般女性の離婚原因ランキング

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まずは、実際に離婚を経験した女性のみなさんに、離婚原因について聞いてみました。(※1)

Q.離婚した原因は何ですか?

離婚した原因

1位「性格の不一致」……53.2%
2位「浮気・異性関係」……15.1%
3位「家族・親族と折り合いが悪い」……6.9%
4位「浪費・借金」……5.4%
5位「性格不調和」……3.0%
6位「家庭を顧みない」……2.5%
7位「異常性格」……2.0%
8位「子育ての方針が合わない」……1.2%
9位「子どもができない」……1.0%
9位「同居に応じない」……1.0%
※11位以下省略

半数以上の女性が、「性格の不一致」が原因だと回答しました。それでは、なぜ離婚することになってしまったのか、4位までの理由について詳しく見ていきましょう。

1位 「性格の不一致」

・「性格が合わず、普段の会話もなくなっていた!」(32歳/建設・土木/技術職)

・「一緒に住んでから性格の違いが不愉快になった」(28歳/その他/その他)

・「結婚したら考え方がまったく違って、ケンカが絶えなくなり離婚した」(36歳/自動車関連/技術職)

結婚前にはあまり気にならなかった性格が、結婚後にだんだん嫌になってしまい、最終的には耐えられなくなって離婚に発展してしまったようです。

2位 「浮気・異性関係」

・「一年以上も浮気していることに気づかずに、知人から知らされて離婚することになった」(31歳/医療・福祉/専門職)

・「妻には浮気してほしくないくせに、自分の浮気が発覚してケンカになった」(26歳/その他/その他)

離婚の原因として浮気が取り上げられることは多いですよね。一度浮気をしてしまうと、信頼関係が崩れて夫婦生活を続けられなくなってしまうようです。

3位 「家族・親族と折り合いが悪い」

・「姑との性格の不一致のために進んでしまった」(30歳/印刷・紙パルプ/事務系専門職)

・「合わなかった」(37歳/自動車関連/販売職・サービス系)

結婚したものの、相手の家族や親族と折り合いがつかずに、離婚するケースもあるようです。特に嫁・姑問題に悩む女性は多そうですよね。

4位 「浪費・借金」

・「ギャンブルが好きな人だったから」(36歳/運輸・倉庫/技術職)

・「多額の借金を抱えた」(33歳/情報・IT/事務系専門職)

夫婦にとってお金の問題は避けては通れないもの。借金や浪費に苦しんだ結果、離婚を選択せざるを得ない状況もあるでしょう。

司法統計による離婚の原因ランキング

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一般女性の離婚理由では「性格の不一致」がもっとも多い回答となりました。それでは、最高裁判所の司法統計(2015)による離婚の原因ランキング(※2)では、どのような結果になっているのでしょうか。グラディアトル法律事務所の刈谷龍太弁護士に解説していただきましょう。

男女別離婚申し立ての動機割合(2015)

妻の離婚理由

妻の離婚理由1位「性格が合わない」……40.5%
2位「生活費を渡さない」……28.3%
3位「精神的に虐待する」……25.6%
4位「暴力を振るう」……22.7%
5位「異性関係」……18.0%
6位「その他」……12.4%
7位「浪費する」……11.3%
8位「家庭を捨てて顧みない」……9.0%
9位「性的不調和」……7.6%
9位「家族親族と折り合いがつかない」……7.6%
※11位以下省略
※複数回答可

夫の離婚理由

夫の離婚理由
1位「性格が合わない」……61.3%
2位「その他」……21.2%
3位「精神的に虐待する」……18.7%
4位「家族親族と折り合いがつかない」……14.9%
5位「異性関係」……14.8%
6位「性的不調和」……13.1%
7位「浪費する」……12.4%
8位「同居に応じない」……9.9%
9位「暴力を振るう」……8.5%
10位「不詳」……8.1%
※11位以下省略
※複数回答可

最高裁判所の司法統計結果でも、男女ともに「性格が合わない」という理由が1位となりました。やはり、お互いの性格が合わないことによって離婚に発展してしまうケースが多いようです。それでは、なぜここまで「性格の不一致」が多いのか、グラディアトル法律事務所の刈谷龍太弁護士に聞いてみました。

離婚原因に「性格の不一致」が多い理由

離婚調停の申立書などには「申立の動機」を記載する欄があります。ここには、「異性関係」や「暴力」のほかに「性格が合わない」という項目があります。丸が複数の項目につけられることも影響しているのでしょうが、経験上は、他に主な原因がある場合であっても、多くのケースで「性格が合わない」という項目に丸がつけられていることが多いように感じます。

これは、異性関係や暴力などを主な原因として離婚するケースでも、そういう夫婦は「性格の不一致」を感じているからなのでしょう。また、決定的な理由がない場合も「性格の不一致」が選択されます。離婚調停になる前の話合いで離婚の話がまとまらず、口論を繰り返していくうちに、相手に対して「性格が合わない」と感じる人も多いようです。離婚理由で「性格の不一致」が多くなるのは、このような事情が関係しているのだと思われます。

「離婚する夫婦」と「離婚しない夫婦」の違い

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性格の不一致を含め、離婚理由は夫婦によってさまざまですが、そもそも「離婚する夫婦」と「離婚しない夫婦」にはどんな違いがあるのでしょうか。グラディアトル法律事務所の刈谷龍太弁護士に聞いてみました。

離婚する夫婦の特徴

夫婦のどちらかが浮気や暴力を繰り返す場合はもちろんですが、以下のような場合も、離婚しやすいようです。

コミュニケーション不足

夫婦に問題があっても見て見ぬふりをして、話し合いをしない夫婦は、問題が大きくなったときに手遅れになってしまう場合があります。

相手への思いやりの欠如

結婚とは、もともと生まれ育った環境が違う者同士が家族になるという契約です。つまり、価値観は違って当然なのです。しかし、結婚生活を続けていくうちに、だんだん相手への思いやりがなくなっていき、結果的に浮気や暴力、モラハラなどにつながる場合があります。

相手の家族との折り合いが悪い

夫婦には大きな問題がなかったとしても、夫婦どちらかが相手の家族と折り合いが悪い場合、離婚にまで至ってしまうケースがあります。思わぬところで親の悪口を聞かされて、急に相手に対して冷めてしまうということもあるようです。また、あまりよい例ではありませんが、親が相手の悪口を言い続けることで、その考えがすり込まれた状態のようになってしまい、夫婦間には問題がないのにいつの間にか相手が嫌いになっていくということもあるようです。

離婚しない夫婦の特徴

常にコミュニケーションを取っている夫婦は、ささいな問題でも話し合う癖がついています。すると、離婚につながりそうなことが起きても、事前に話し合いをすることで回避できるのです。また、何か大きな問題が起きてしまっても、お互いの意見を尊重しながら冷静に話し合える夫婦は、離婚しにくいと言えるでしょう。しょっちゅう喧嘩をしているところを見るけど仲のいい夫婦というのは、しっかりコミュニケーションがとれているということなのかもしれませんね。

離婚しないために意識すべきこと

離婚しないようにするためには、まず以下の3つを意識してみてください。

(1)コミュニケーションをとる
(2)相手を思いやる
(3)夫婦で大きな買いものをしてみる

常に夫婦でコミュニケーションをとり、相手を思いやる気持ちを持っていれば、何か起きたときでも離婚という大問題に発展する前に、解決することができます。また、住宅などの大きな買いものをしてローンを組むと、夫婦の意識が同じ方向を向き、運命共同体のような感覚が生まれて、離婚しにくくなります。

離婚したほうがいい場合

夫婦の一方が離婚を回避しようと頑張っても、もう一方に結婚生活を続ける意思がまったくないような場合は、無理に夫婦関係を続けることでストレスになってしまうため、思い切って離婚するという方法もあります。また、暴力やモラハラ、生活費を渡さないなど、夫婦生活を続けることが身体的、精神的に困難であるような場合も、離婚を検討したほうがよいでしょう。このような場合は一人で悩まずに、誰かに相談しながら、新しい人生のスタートのために動くことも必要です。

「離婚の原因ランキング」まとめ

夫婦の離婚原因は「性格の不一致」がもっとも多いという結果になりました。しかし、本当の離婚理由が「性格の不一致」ではないときにも、この理由を選択する場合があることから、必ずしも離婚原因の1位だとは言いきれないでしょう。何か問題が起きたときに離婚しないようにするためには、普段から夫婦でコミュニケーションをとり、お互いに思いやりの気持ちを持って過ごすことが大切です。

(監修:刈谷龍太、文:ファナティック)

※画像はイメージです

(※1)クリエイティブサーベイ株式会社調べ
調査人数:426人(離婚を経験した女性)

(※2)最高裁判所 司法統計
「性別離婚申し立ての動機別割合の推移(1975-2015)」

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