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【新連載】苦しかった彼との恋は、今ではまるで夢のよう……

そんな楽しすぎる2年近くがあっけなく過ぎ、
付き合って3年目目前の2月末日、
彼の家に行くと、大輔は言った。

「北営業所に転勤だって」
ここから電車で3時間はかかる遠い場所だ。
大輔はひどくがっかりしていて、
こんな時こそわたしが明るくしなきゃと思い
「大丈夫だよ」と言ったけれど、
声が震えてダメだった。

「3月中に引っ越しすることになりそう」
わたしの肩を抱き寄せながら大輔が言うと、
いけないと思いながらも、泣けた。
彼の手はいつまでも髪をなでてくれて、
本当は自分が慰めなきゃいけないのに、
涙が止まらないのは、あまりに申し訳なかった。

その後、新年度を待たずに大輔は転勤した。
わたしにとって大輔のいない営業所は、
あまりに魅力のない場所だった。
ただ大輔からのメールと電話だけが楽しみで、
他のことは、どうでもよくなった。

仕事ではミスが増え、上司や先輩には、
連日小言を言われるようになってしまった。
すると余計に、大輔からの連絡が恋しくなる。
今ならそれが悪循環だとわかるけれど、
当時のわたしは、ただただ寂しかった。

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