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【新連載】苦しかった彼との恋は、今ではまるで夢のよう……

★おれのこと好き?

それは、たしかゴールデンウィークが開けた頃。
大輔の仕事を手伝って残業になったわたしに、
彼は箸を動かす動作をしながら
「飯おごるから、いっしょに食ってこう」
と食事にさそった。

そうして案内されたのは、
天井が煤で黒くけぶった焼き鳥屋。
カウンターに並んで座りながら、
営業所の上司や先輩たちの、
面白すぎるエピソードを話してくれた後、
大輔はくるりとわたしの方を向いて、
座り直した後で言った。

「沖田さん、おれのこと好き?」
一瞬、息が詰まって何も言えなくなった。
大輔はわたしの目をじっと見つめている。

「はい……」
「じゃあ、おれと付き合わない?
おれも沖田さんのこと、好きなんだ」

大きくうなづいた後で、
わたしたちは秘密の作戦をたてた。
まず第一、営業所のメンバーには、
絶対に気づかれないようにすること。

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