妊娠中期はどんな時期?
妊娠中期、ママや赤ちゃんの身体はどうなるのでしょう? あらためて確認しておきましょう。
妊娠中期とは
妊娠中期とは、妊娠週数でいうと14週~27週の間、つまり、妊娠4ヶ月の後半~妊娠7ヶ月末までです[*1]。
おなかのふくらみが目立ってきたり、乳房が張ってきたりすることから、妊娠の実感が湧きやすくなってくる時期といえます。また、個人差はありますが、中期の半ばを過ぎると胎動を感じる人も増えてきます。
つわりに悩まされていた人も、このころにはだんだん落ち着いてくることが多いでしょう。
マイナートラブルが起こることも
このように、妊娠初期に多いつわりはだんだん落ち着いてくる妊娠中期。しかし、その一方で、大きくなる子宮に胃や肺が圧迫されて動悸(どうき)、息切れが生じたり、腹痛、腰痛、頻尿、便秘、静脈瘤が起こったりするなど、新たな体調不良やマイナートラブルが生じることもあります。
数あるマイナートラブルの中でも腹痛は、場所が場所だけに心配になることもあるでしょう。そこで、妊娠中期に起こりやすい腹痛の種類や受診の目安を原因別に紹介します。
妊娠中期の腹痛、主な原因と受診の目安
妊娠中期に起こりやすいとされる腹痛には、妊娠初期の腹痛とは異なり、以下のようなものがあります。
子宮の収縮
特に異常がなくても妊娠中、子宮は収縮したり弛緩したりを繰り返しています。中にはこの子宮の収縮=おなかの張りを痛みとして感じる人もいます。
子宮の収縮によるお腹の痛みには、様子を見ても良いものと、早産につながるような異常なものとがあります。子宮の収縮を引き起こす要因には、疲労、胎動、便秘、排尿をがまんすること、ストレス、脱水や性行為などが考えられます。
問題ない子宮の収縮と、異常を知らせる収縮とを見分けるのはなかなか難しいのですが、1時間に2~3回程度だけ起こる、安静にすると治まる、胎動が感じられるなどの場合は、問題ない収縮であることが多いようです。
受診の目安
早産につながりそうな子宮の収縮には、出血を伴う、痛みが強い、休んでもおさまらない、長時間続くなどの特徴があるとされます。
上記のような症状を感じた場合は、、必ずかかりつけの医師に相談するようにしましょう。妊婦さんが感じる症状のほかにも、収縮の強さや張りの位置、胎児の様子や子宮口の開き具合などから、治療が必要かどうかについて総合的に判断されます。
大きくなる子宮による圧迫
子宮は、妊娠していない平常時には鶏卵くらいの大きさですが、妊娠の経過とともにどんどん大きくなり、妊娠中期の終わりには子宮の上端がへその上くらいに来るまで大きくなります。
そのように大きくなった子宮が、骨盤を支える靭帯やお腹を圧迫するなどして負荷がかかった結果、腹痛が起こることがあります。
受診の目安
横になったり、ガードルを着用して腹部の負荷を軽減したり、体勢を変えることで痛みが和らぐようであれば、そのまま様子を見ておいて問題のないケースが多いです。
どうやっても痛みが軽減されなかったり、ひどくなったりする場合は医療機関を受診したほうがよいでしょう。
子宮に靭帯などが引っ張られている
妊娠中期になると子宮を支えている靱帯(円靭帯:えんじんたい)や筋肉が伸ばされ、わき腹や下腹部、子宮の前の方、脚の付け根などが痛むことがあります。
しばしば切迫流産・切迫早産の痛みと混同されることもありますが、出血などの兆候が見られなければ、妊娠経過に伴って起こる正常な身体の変化のひとつと考えられます。
受診の目安
横になる、イスに腰掛けるなど楽な姿勢をとると痛みが治まるようであれば、心配はいらないでしょう。出血を伴ったり痛みが持続したりする場合は、かかりつけの産科を受診しましょう。
便秘
妊娠中は黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響による腸の蠕動(ぜんどう)運動の低下、つわりによる食欲不振、大きくなる子宮が腸を圧迫することなどによって便通が悪くなり、便秘になりやすい状態といえます。中には便秘が重症化した結果、腹痛を訴える人もいます。
受診の目安
自分でできる便秘対策(規則正しい食生活、睡眠時間の確保、十分な水分の摂取、食物繊維の摂取など)を行い、改善が見られるようであれば受診の必要はないでしょう。
対策をしても便秘が続く場合には、産科で薬を処方してもらってもよいでしょう。
まとめ
今回挙げた原因のほかに腸や膀胱などの病気によって腹痛が生じることもあります。病気による腹痛は我慢できないくらいの痛みになることが多いため、異常に気付きやすいですが、そうでない場合でも「いつもと違うな」という印象を感じたら、ためらわずに病院を受診しましょう。
妊娠中の状態には個人差があり、一般的な基準が当てはまらないこともあります。あなたにとっての「いつも」と違うかどうかが、受診するかどうかの判断基準といえるでしょう。
記事を監修してくれた<太田寛先生>プロフィール
(文:山本尚恵/監修:太田寛先生)
※画像はイメージです
[*1]メディックメディア「病気がみえる vol.10 産科 第4版」p.7-9
※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます