【助産師解説】いきみ逃しとは? 行う理由と逃し方のコツ6つ

【助産師解説】いきみ逃しとは? 行う理由と逃し方のコツ6つ

いきみ逃しの方法と必要性について、助産師が詳しく解説します。いきみ逃しとは具体的にどのような行動なのか。分娩中の重要な要素といわれる理由についても知っておきましょう。


いきみ逃しとは? 必要性と主な方法

なぜいきみたくてもいきんではいけない時期があるのでしょうか?

いきみ逃しをするのはなぜ?

お産の経過にもよりますが、多くは陣痛が始まって子宮口が7~8センチほど開き、赤ちゃんの頭が下りてくる頃に便意を催すような感覚になります。その際に「いきみたい」という感覚になるのですが、子宮口が全開大(10センチ)になるまではいきむのを我慢して逃していくことが望ましいです。

その段階でいきみを続けてしまうと、産道(子宮頸管や腟)がむくんだり、傷ついてしまう可能性があります。また、赤ちゃんに余計なストレスがかかり、お産が長くなるリスクもあります。

いきみ逃しは、このようなリスクを避けるために必要となるのです。

お産はどう進む? 分娩開始~出産までの経過

分娩の流れ いきみ逃し

いきみ逃しについてお伝えする前に、まずは陣痛の始まりから出産までの経過について見ていきましょう。お産の経過をきちんと頭に入れておくと、どの段階でいきみ逃しが必要になるのかを理解しやすくなります。

分娩の所要時間には個人差がありますが、平均で初産婦では12~15時間、経産婦では5~7.5時間かかることがわかっています。この間に分娩第1期→分娩第2期→分娩第3期の経過をたどるのですが、それぞれについて詳しくお伝えします。

分娩第1期(開口期)

医学的には、陣痛が1時間に6回以上(陣痛の間隔が10分以内)になった時点から分娩開始となります。この、分娩の開始から子宮口が10センチ開くまでの間を「分娩第1期(開口期)」と言います。

分娩第1期は潜伏期と活動期に分かれます。それぞれの経過と特徴、過ごし方について見ていきましょう。

潜伏期

子宮口が3~4センチ開大するまでの時間です。痛みはありますが、陣痛の間隔が比較的長く、まだ精神的に余裕がある時期。この時は歩いたり、ごはんを食べたりしながら自由に過ごし、排泄はがまんしないようにしましょう。

活動期

活動期に入ると子宮口は急速に開大します。痛みが強くなり、陣痛の間隔も短くなって不安になりやすいので、ご主人や医師・助産師の精神的な支えが必要になります。

また、呼吸法をナビゲートしたり、水分を口に運んだり、マッサージをしたりと、サポートする人がとても重要な存在となる時期でもあります。この頃は、発作の強さに応じて深呼吸を行うことが重要。赤ちゃんの頭が深く下降してくるといきみたい感覚になりますが、まだいきんではいけません。

このときに、いきみ逃しが必要になります。

【医師監修】陣痛の始まりってどんな痛み? 痛みの時間・間隔・程度など

https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/227

赤ちゃんとのご対面を間近に控えたこの時期には、ワクワクした気持ちとともに、出産に対する緊張や不安も出てくるものです。陣痛はどのように始まる?痛みの程度は?すぐに陣痛とわかる?など、気になることも多いでしょう。少しでも楽な気持ちで出産に臨んでいただけるよう、陣痛の始まりからお産までの一般的な流れについてお伝えいたします。

分娩第2期(娩出期)

Getty logo

子宮口が全開してから赤ちゃんが生まれるまでの間を「分娩第2期(晩出期)」と言います。子宮口が全開したら、いきみを開始してもOKのサイン。

ただし、子宮口が全開しても赤ちゃんの頭が高い場合は、疲労や脱水などを避けるためにしばらくはいきみ逃しを続ける必要があることも。子宮口の開き具合やいきんでもいいタイミングは自分では判断できないので、医師や助産師からのアドバイスを聞きながらお産を進めることが大切です。

分娩第3期(後産期)

赤ちゃんが生まれてから胎盤が出るまでを「分娩第3期(後産期)」と言います。通常、胎盤は赤ちゃんが生まれた後5~10分ほどで出てきますが、場合によっては30分ほど続くこともあります。胎盤は自然に娩出されるので、このときはいきむ必要はありません。

上手にいきみ逃しするための、主な6つの方法

Getty logo

では、いきみを上手に逃すにはどうすればいいのでしょうか? いきみ逃しの主な6つの方法をご紹介します。

1. 肛門を押す

Getty logo

人の温かい手で肛門を押してもらうと、より楽に感じる場合もあります。サポートをしてくれる方にお願いしましょう。

2. 肛門にテニスボールを当てて座る

Getty logo

テニスボールが硬くて痛い場合は、丸めたハンドタオルなどでも代用が可能です。

3. アクティブチェアに座る

陣痛の緩和やお産のスムーズな進行をサポートする椅子です。産院に用意されているので、必要なときは申し出ましょう。

4. 腹圧をかけない姿勢を意識する

Getty logo

腹圧がかかるといきみをうまく逃せないことがあります。腹腔(腹部の内臓が収まっているところ)が縮まると圧がかかるので、腹這いや横向きで寝そべる姿勢など、できるだけ腹圧がかかりにくい楽な姿勢をとるようにしましょう。

5. 呼吸法を意識する

Getty logo

いきみたくなったら、ゆっくり深呼吸することも重要です。特に、吐く息を長くゆっくり出すよう意識しましょう。長い深呼吸をするといきんでしまう場合は、力強く短く吐く呼吸に変えるといきみを逃せることもあります。

6. 腰や尾てい骨の周辺をマッサージしたり、指圧する

Getty logo

いきみ逃しだけでなく、陣痛の痛みの緩和にもつながります。ご主人やサポートしてくれる方にお願いしましょう。

いきみ逃しはいつまで続ける?

子宮口が全開になり、赤ちゃんもしっかり下がった時点でいきみを開始します。

ただ、先にも述べたように、いきんでもいいタイミングかどうか自分で判断することはできません。効果的なタイミングでいきめるように、医師や助産師の「いきんで!」という合図を待ちましょう。

まとめ

Getty logo

子宮口が開いてきて赤ちゃんが下がってくると、陣痛時に便意を催すような感覚になっていきみたくなる場合があります。でも、産道を傷つけずにスムーズに出産するためには、子宮口が全開になるまでいきむのをがまんするのが望ましいです。

いきみ逃しにはさまざまな方法があるので、ご主人などにもサポートしてもらいながら、できるだけ楽になれる自分に合った方法を探しましょう。医師や助産師に「いきんで!」と言われたら、赤ちゃんに会える瞬間はもう間近。

それまではリラックスを心がけながら、上手に陣痛の痛みといきみたい気持ちを逃がしてあげましょう。

この記事を解説してくれた先生
坂田 陽子先生
看護師、助産師、国際認定ラクテーションコンサルタント。 葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院のNICU・産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。その後、都内の産婦人科病院で師長を経験。現在は東京ですみれ出張助産院を開業している。
HP:https://sumire-josanin.com/

(文・構成:マイナビウーマン編集部、監修・解説:坂田陽子先生)

※画像はイメージです

参考文
献武谷 雄二 他「プリンシプル産科婦人科学2」(メジカルビュー社)

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、助産師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。
※新型コロナウイルス感染症についての最新情報は、[内閣官房][厚生労働省]妊婦に関する情報[日本小児科学会]幼児に関する情報など公的機関等で発表されている情報をご確認ください。

関連する投稿


【助産師監修】ニップルシールド(乳頭保護器)って何? 授乳の乳首痛で使えるの?

【助産師監修】ニップルシールド(乳頭保護器)って何? 授乳の乳首痛で使えるの?

「ニップルシールド(乳頭保護器)」は、母乳育児がうまくいかないときのお助けアイテムのひとつ。市販されていて誰でも購入できますが、使用にはいくつか注意点があります。特に痛みがあるときの使用については、よく確認した方がよさそうです。ニップルシールドの利点とリスク、使うときの注意点を紹介します。


【助産師監修】初乳はいつまで出る?その後出る母乳(成乳)との違いって?

【助産師監修】初乳はいつまで出る?その後出る母乳(成乳)との違いって?

「産後すぐに出る“初乳”は大事らしい」という知識を持っている人は少なくないようですが、なぜ大事なのか、いつまで出るものなのか、それ以降の母乳とはどう違うのか、となると「??」となってしまうものですよね。今回はそんな初乳にまつわるクエスチョンについて解説します。


【助産師監修】新生児が母乳をうまく飲めてない!?4つのケースと対策

【助産師監修】新生児が母乳をうまく飲めてない!?4つのケースと対策

新生児の赤ちゃんはまだ母乳をうまく飲めない子もいますが、その理由はさまざまです。今回は「赤ちゃん、母乳をうまく飲めてない?」と思われるケース別に対処法を考えます。


【助産師監修】母乳/ミルク/混合 タイプ別お悩み相談22件

【助産師監修】母乳/ミルク/混合 タイプ別お悩み相談22件

赤ちゃんは生まれてからしばらくの間、母乳や育児用ミルク(以下、ミルク)から栄養や水分を得て暮らしていきます。栄養方法を何にするかはママや赤ちゃんの状況によって変わってきますが、それぞれに悩みや疑問を持つものです。今回は、母乳メインのママ、ミルクメインのママ、混合(以下、混合)のママそれぞれのお悩みに答えます!


【助産師監修】「貧乳だと母乳が出ない?」の疑問に答えます

【助産師監修】「貧乳だと母乳が出ない?」の疑問に答えます

初めての出産を控え、さまざまなことが不安になるものです。今回は「貧乳でも母乳は出るか」という疑問を、国際認定ラクテーションコンサルタントで助産師の坂田陽子先生にお答えいただきます。


最新の投稿


離乳食のいんげん(さやいんげん)はいつから?離乳食レシピ3つ【管理栄養士監修】

離乳食のいんげん(さやいんげん)はいつから?離乳食レシピ3つ【管理栄養士監修】

鮮やかな緑色のいんげんは、離乳食に彩りを添えてくれます。今回は赤ちゃん喜ぶ3つのいんげん離乳食レシピのほか、「冷凍いんげんはそのまま使っていい?」「うんちにそのまま出てきたけど大丈夫?」などの疑問について解説します。


離乳食のなすはいつから?中期・後期・完了期レシピ【管理栄養士監修】

離乳食のなすはいつから?中期・後期・完了期レシピ【管理栄養士監修】

離乳中期以降にオススメの食材「なす」について、赤ちゃんが喜ぶレシピを3つご紹介します。その他、リニュ食を作る際に知っておきたい下処理のコツ、加熱のコツ、焼くレシピでもアク抜きは必要かなどを解説します。


離乳食の3回食はいつから?始め方や進め方など【管理栄養士監修】

離乳食の3回食はいつから?始め方や進め方など【管理栄養士監修】

2回食が順調に進み、落ち着いたら次は3回食に増やしてみましょう。「いつから3回食を始める?」「1回の量も増やしていくの?」などのママの疑問を解説します。


離乳食で2回食の進め方は?献立表や量、よくある悩み【管理栄養士監修】

離乳食で2回食の進め方は?献立表や量、よくある悩み【管理栄養士監修】

1日1回の離乳食をスムーズに食べてくれるようになったら、次のステップは1日2回食。「どんなタイミングで2回に増やす?」「量はどれくらいになる?」というママの疑問を1日の生活スケジュールを提案しながら解決していきます。


スシロー「大切りの夏!100円の夏!」開催 新感覚デザートも登場

スシロー「大切りの夏!100円の夏!」開催 新感覚デザートも登場

あきんどスシローは8月5日より、全国のスシローにおいて人気メニューを取り揃えた「大切りの夏!100円の夏!」フェアを開催します。さらに、さっぱりした新感覚のデザートスープを期間限定発売します。