※このコラムは「バチェロレッテ・ジャパン」シーズン3エピソード1〜7のネタバレを含みます。
■過去イチ内容が濃い! 2on1デート参加者を決める会議
デートの参加者を立候補制で決めるという、異例の2on1デート。参加者を決めるために行われた話し合いが、もはや会議というより議論と言うべき内容の濃さ。
「デートの機会があってモノにしていないのと、そもそも機会がないのは大違い。デートに行っていない人が行くべき」「機会は均等なのに、チャンスが作れなかったのは亜樹さんへのアピール不足」と、それぞれが主張を通すために「男女雇用機会均等法ばりのデート機会均等法制定希望」「デートチャンスをつかめていないのは自己責任論」「トラウマ矯正デート合宿参加希望」など、論点をどんどんと変えながら意見をぶつけていきます。とにかくロジカルで建設的。
昭和の小学生男児ばりに、ほぼタンクトップ×ショートパンツしか着てない、ヒューマンビートボクサー・山本一成さんの「この場所はアピールしなきゃいけない場所だから、出せねぇんだったら終わりなんよ」は、全シーズン通してローズ会議に参加する者と、グループディスカッション参加前の全ての就活生に向けたメッセージとして、壁に拡大印刷して貼っておきたい名言でした。
■AS SOON ASステラおばさんで勝利した北森さん
「2on1デートが発表されるや否や、ステラおばさんも腰抜かすスピードでクッキーを焼いて手紙と荷物をまとめた、AS SOON ASステラオバな聖士すげぇ」
「哲郎は前に出られる性格じゃないからこそ、こんなに2on1デートに喰らいつくのはらしくない分、気持ちが伝わる!」
と、それぞれの主張と状況を勘案し、まとまった結論は、牛串師・北森聖士さんと牛飼い・小川哲郎さんの牛対決。
亜樹さんとの2on1デートはそれぞれ一言でポエムをしたためるというもの。以前、他の方への印象は事細かく語っていたにも関わらず、小川さんへの印象のみ「力士だなぁ……」の一言で済ませていた亜樹さん。
小川さんへのポエムも「力士」や「土俵際」などの一言で終了する懸念がありましたが、そこは「瞳に心」で安心しました。あの小川さんの小動物のような愛くるしい目のきらめきはなんなんですかね。小川さんの瞳になれるカラコンが発売されたら即買いたい。求心力が高すぎる。
結果、牛対決は北森さんの勝利。小川さんは以前、「延命直訴嘆願書」となる亜樹さんの立場に寄り添った心にグッと刺さる手紙によって、本来落ちるタイミングで命拾いをした印象だったので、この結果は順当だと思います。
■坂口さんのジェットコースター爆上がり
「北森さんは田植えがうまい」という情報を得た以外、何一つ進展のなかった田植えデートから、ツーショットデートに誘われたのは、エレベーターで理性を失う内科医・坂口隆志さん。田植えの成果でデートに呼ばれることを期待していた、どこまでも真面目な北森さんをよそ目に、田んぼにも入らず田植えをしようとしていた省エネ田植えの坂口さんが向かったのはフラワーバスデート。
その他大勢がドラム缶風呂で体の泥を洗い流させられている中、田んぼに無理やり仮設した感満載の、風呂と背景の景色が合成レベルでマッチしていないフラワーバスで距離を縮める2人。
坂口さんのどこか抜けてるけど憎めないところは、今は亡きお母様譲り。亡くなった母の姿が自分の中に生きているし、彼自身もそれを大切にしている、という話は一度急降下した坂口さんのジェットコースターを急上昇させ、坂口さんの挙動全てが愛おしくなってしまうエピソードでした。
しかし、せっかくのデートは、B’zの往年の名曲、callingのPVと双璧を成すほどの大雨で中止に。亜樹さんって坂口さんに対してのみ、ちょっと強めでいじるんですよね。「やだー」とか「文句言うなら自分でやって!」と軽口を叩くんですが、「坂口さんの系統が昔交際してきた人と似ている」と言っていたように、交際中の素の亜樹さんはこんな感じの振る舞いなんでしょうね。坂口さんの憎めないキャラが亜樹さんの素を引き出させている、とも言えます。
■梅谷さんのラストは変わらなかった説
一途の辞書を書き換えた男・梅谷悠太郎さんとのツーショット花火デートも問題の一つ。バチェシリーズの花火といえば、本命候補との気持ちを盛り上げるデートとしてお馴染みですが、恋人どころか友達としても会話が弾まず、せっかくの花火の無駄遣いとなった感。
梅谷さんも友達として亜樹さんと接したと言っていましたが、亜樹さんももらった会話のボールを一言で返し、会話を広げるそぶりが見えず、「何か話したいことある? 面白いトピック」とハードル激高な無茶振りをしていました。「面白いトピック」で怯まず、一言でも打ち返した梅谷さんは偉い。
MC陣のスタジオトークではその後のツーショットの場面で「友達からじゃなく、恋人としてリスタートしたい」ということを梅谷さんは後から言いたかったのでは? と話題になっていましたが、梅谷さんにとって「いいムードをモノにできるキザな恋人」はキャラではなく、「自然体の友人のような恋人関係」が自分のありのままの姿であるようなことを言っていたので、あの友達デートこそ梅谷さんの本来の姿であり、あれがハマらなかった時点で遅かれ早かれ梅谷さんのご縁は終わっており、ラストの結果は変わらなかったように感じました。
■農家の婿としてポテンシャル合格!? 牛とクッキー焼いたら残ってた北森の苦悩と辞退
大本命だと思われていた梅谷さんが落ち、繰り上げ当選しまくりで順位の混戦に困惑し始めた男性陣たち。そして、本命の1人と思われた、ヴィオラ戦士・飯野和英さんが落ち、ノーデートでここまで勝ち上がってきた北森さんが残るというどんでん返しまで起こる始末。
これは、亜樹さんは「飯野さんのことを十分知った上で、好きになる可能性が少ない」と判断し、「まだ知らないからこそ、恋をしていく可能性がある」と北森さんを残し、未来に賭けるポテンシャルローズを渡したのでしょう。しかし、北森さんにすればツーショットデートもなく、何を理由に残ったのか明確な手応えもなく、亜樹さんへの気持ちを育てる機会も少ないまま、ただ牛串とクッキーを焼いてここまで残った形となります。
はたまた、田植えデートで、農家の娘婿としてキラリと光る田植えの才能を見出された米農家ポテンシャル合格か。
最終的にラストローズを前に辞退することになりましたが、北森さんの気持ちを思うと、関係を築くチャンスもなく、「好き」と自信を持って言えない状況でラストの場に立つのは難しいという気持ちも大いに理解できます。一度でもツーショットがあったなら、何か変わっていたのでしょうか。視聴者としてもタラレバに思いを馳せる、少し悔しさも残る結果となりました。だって途方もなくイケメンなんだもの。ぜひ次回バチェラーとしてよろしくお願いします!
■飯野さんの「もっとできるよ!」の限界を知りたい
にしても、亜樹さんへの想いが一番強いと思われた飯野さんでさえ「好きになりかけてる」と、「好き」とは言い切りませんでしたし、「好きになってきてる」など、好きを明言したら死ぬ呪いでもかけられてるのかな? というくらい、絶対に好きと言わない男性陣。事実、「好きです」をはっきりと伝えた小川さんは天に召されましたし。
飯野さんは何を褒めても「もっとできるよ!」とどんな要求の天井もぶち破ってくる男だったので「あの村を1つ焼き払ってきて!」とか、「航空券代節約のためにバリから遠泳で日本に帰国して欲しい」と言うどんな無茶振りも「分かった。僕ならできるよ!」と請け負ってくれそうな懐の広さがありました。好きになりかけでここまで愛情表現ができるなら、本当の愛が芽生えたらどこまで行ってしまうのか。まさに宇宙のような底知れぬ深い愛を感じさせる男性でした。
■大学生デビューでイキリはじめた1男風のチャラ口
内科医・坂口さんは「話さなきゃいけないことがある。全部出すね」と言い出したと思ったら「合コンや飲み会も多くてチャラい時期もあった。ちょっとタバコも吸うし」と大学生デビューしてイキリはじめた“1男”みたいなことを突如言い出しました。
あえてそれを二度も念押しするのは、後からSNSで有象無象が「坂口と合コンした!」と沸いてくるのを見込んでのことなのか、それとも亜樹さんに最後の1人に選ばれるほど気持ちが育っておらず、若干尻込みし始めたからなのか……。
自称チャラ口さんのお父様とのリモート面談では、「隆志と亜樹さんの気持ちを尊重するから、大阪で無理に跡を継がなくてもOK」とお父様に言ってもらい、喜びのあまり語彙力を失い「へっへっへっへっ!」と興奮する犬状態になっていました。あの大興奮歓喜っぷり、これ亜樹さん関係なく坂口さんの悩みの種だった問題が一つ消えたやつだろ。
■セロトニンリレーのネタあかし
物理化学者・櫛田創さんは家族訪問によって、セロトニンのネタ元が母、そのネタ元がテレビ番組、というセロトニンリレーが起こっていたことが発覚しました。「ためしてガッテン」や「きょうの健康」あたりをルーツに、我々視聴者に数多のセロトニンで感動を巻き起こしてくれたのだとすると、我々はバチェロレッテ制作のAmazonと吉本の他にNHKにも感謝をしなくてはなりません。
にしても結婚観や価値観がリンクすることの多い櫛田さんと亜樹さん。亜樹さんにとっても、「今まで付き合ってきたのは坂口さんタイプ」だけれど、櫛田さんの気持ちさえ向けば、「結婚相手として飛び込みたいのは櫛田さん」というふうに見えます。
ただ、櫛田さんも「最後の1人に呼ばれたら、いきなり恋人じゃなくてこういう感じで亜樹さんを見ていけたら嬉しい」とラストローズを「お友達からよろしくローズ」にして欲しいというガチすぎる感情を吐露します。ナイナイのお見合い大作戦の「よろしくお願いします!」くらいのフランクさ。これはいくら気になっていても、亜樹さんも飛び込みにくいものがあります。でもこれぞリアリティショー。
■定石と違う今回のラスト
最終回は「自分を選んで欲しい!」とバチェラー・バチェロレッテを追いかける「好きになれたら幸せなのに……」タイプと、バチェラー・バチェロレッテを追わせるタイプの2人が残るのが定石ですが、今回は両方とも「亜樹さんが好きになれそうだけど、男性陣の気持ちがはっきりと見えない」という不確実性の高い選択肢が2つ……。
亜樹さんも、ラストローズの時点で関係を築き切れるとは思っていないと言っていましたが、にしても「ローズを最後の1人に渡せるような自信が最後の日までに欲しい」と自信を失っている状況。バチェロレッテにこんなことを言わせてしまうなんて……。ちょっと全員1回田んぼ埋まってリセットしてこい!
亜樹さんも全方位にモテようと自分を無理に取り繕ったりせず、ありのままの自然体を受け入れてくれる生涯のパートナーを見つけに来ている印象なので、飾らないそのままの姿で出した答えが亜樹さんにとっての正解なのだと思います。果たしてラストローズは誰の手に……?
(やまとなでし子)
『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン3概要
『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン3
配信開始日:2024年6月27日(木)20時より独占配信中
話数:全9話
6月27日(木)20時 第1話-第4話
7月4日(木)20時 第5話-第7話
7月11日(木)20時 第8話-第9話
作品ページ:https://www.amazon.co.jp/dp/B0D3TTMLKX
製作:Amazon
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