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「張る」と「貼る」の違いとは? 意味・使い分けのポイント・類語を解説【例文付き】

にほんご倶楽部

「張る」と「貼る」はよく似た言葉でありながらも、意味や用途が異なる表現です。しかし、どのようなシーンでどちらを使うのが正しいのか迷う部分も出てくるのではないでしょうか。

そこで今回は、「張る」と「貼る」の違いを解説。それぞれの使い分けのポイントや類語も紹介するため、ぜひ参考にしてください。

「張る」と「貼る」の違いとは?

まずは、それぞれの言葉の意味を見ていきましょう。

「張る」は「伸ばす・広げること」

辞書に記載のある「張る」の意味を以下で一部紹介します。

はる【張る】

(1)広がりのびる。「根が—・る」

(2)のばし広げる。「テントを—・る」

(3)はちきれそうにふくらむ。ふとる。「腹が—・る」「木の芽が—・る」

(4)大きく見せようとしてふくらせる。「胸を—・る」

(5)一面におおう。「池に氷が—・る」

(6)いっぱいにする。「浴槽に水を—・る」

(7)強く盛んになる。「欲が—・る」

(8)強く盛んにする。「声を—・る」「欲を—・る」

(9)糸や綱などを引き渡す。「綱を—・る」

(10)気持ちが引き締まる。「気が—・る」

(出典:『デジタル大辞泉』小学館)

「張る」は、主に布などを伸ばす様子や広げることを意味します。また、精神的な部分では「気が張る」といった緊張状態を意味する言葉として使われることもあるでしょう。

「貼る」は「平たいものを密着させること」

「貼」という言葉を辞書で調べてみると、次のような意味があります。

はりつける。「貼付・貼用」

(出典:『デジタル大辞泉』小学館)

つまり、「貼る」はシールや湿布といった特定のものを密着させることを表す単語といえるでしょう。

基本的に物に対して使う言葉ですが、特定の何かを自分の思想やこれまでの経験で判断することを意味する「レッテルを貼る」といった表現にも使用することができます。

使い分ける時のポイントは「広げるのか・密着させるのか」

「張る」と「貼る」の使い分け方は、広げる行動なのか・貼り付ける行動なのかによって判断ができます。

「張る」は、ある面がたるまないように伸ばし広げる動作を、「貼る」は平らな紙や布などを特定の何かに密着させる動作そのものを表すのが特徴です。

伝えたい表現がどちらの意味に合うかを考えながら、使い分けると良いでしょう。

精神的な表現は「張る」を使う

「張る」は基本的に伸ばし広げる動作を表しますが、時に緊張する様子を「気が張る」と表現することも。また、刑事の捜査による「張り込み」も「張る」を使いますよね。

これらは布がピンと張っている様子のように、気持ちにゆとりがなく集中している様子や、いっぱいいっぱいになっている状況を表すため、伸ばし広げる意味合いを持つ「張る」を用いるのがふさわしいといえます。

使い分けに悩む時があるかもしれませんが、精神的な表現には基本的に「張る」を使うと覚えておきましょう

「張る」の使い方【例文付き】

「張る」は、引っ張って広がるようなものであれば全般的に使用できる表現です。

さまざまなものや感情表現にも使えるため、シーンに合わせて使い分けていきましょう。

例文

・「これまでたくさん練習してきたからこそ胸を張れる

・「スキンケアのおかげで肌に張りが出てきた」

・「緊張で張り詰めた表情になっている」

「貼る」の使い方【例文付き】

「貼る」は、道具を使って何かを貼り付けることや、もともとくっつけて使う目的の物を使用する時に使う言葉です。密着している様子を表現したい時に用いると良いでしょう。

他にも、パソコンやスマホで文章をコピーしてペーストすることを、「貼り付ける」といった形で表現することもあります。

例文

・「ポスターを教室に貼る

・「テープで貼った掲示物が落ちていた」

・「貼り付いているガムをはがす」

「張る」の類語

ここからは、「張る」に関連する言い換え表現を紹介します。

(1)引き伸ばす

「張る」は、伸ばす・広げるという意味合いから「引き伸ばす」に言い換えることが可能です。

伸ばし広げる様子をシンプルに表現したい時に用いると良いでしょう。

(2)引き締める

「気が張る」などの緊張状態を表現する言い回しとして「気を引き締める」があります。

たるんだ気をピンと張り詰めた糸のようにするイメージで、気持ちを持ち直すニュアンスとして使うと良いでしょう。

Check!:「身が引き締まる思い」とは? 意味・使い方・言い換え表現を解説

 

「貼る」の類語

次に、「貼る」の類語を紹介します。

(1)貼付する

「貼る」と似た意味の言葉として、「貼付(ちょうふ)する」という言い回しがあります。これは、しっかりと固定している様子を伝えたい時に使うのがおすすめです。

Check!:【難読漢字】“てんぷ”は間違い!? 「貼付」の本当の読み方

(2)付着する

「付着する」は「貼る」とは違って、結果的に何かに貼り付いた状態を表現する言葉です。

例えば、「ほこりが付着する」「付着した菌の影響で感染する」といった言い回しができます。

「張る」と「貼る」は状態に違いがある

「張る」は何かがピンと広がったような状態を、「貼る」は何かを密着させるイメージで使います。そのため、読みは同じでも使うシーンはさまざま。

それぞれの正しい意味を理解した上で、どのような目的で使用するのが最適なのか、シーンに合わせて上手に言葉を使い分けていきましょう。

(にほんご倶楽部)

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※画像はイメージです

※この記事は2024年04月10日に公開されたものです

にほんご倶楽部 (敬語・ビジネス用語専門編集プロダクション)

いつも使っているけれど間違った認識も多い「敬語」や「ビジネス用語」。人にはなかなか聞けない常識から応用編まで、日本語に関する情報を発信。

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