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「広げる」と「拡げる」の違いとは? 意味と使い分け方を解説

さわだまい

「広げる」と「拡げる」の言葉の違いをご存じでしょうか? それぞれの意味をきちんと理解し、使い分けることで、自分の気持ちを正確に伝えやすくなります。今回は、「広げる」と「拡げる」の違いを詳しく見ていきましょう。

同じ読みである「広げる」と「拡げる」。みなさんはこの2つの言葉の違いをご存じですか?

ビジネスシーンや公の場で文章を書く機会があるのならば、ぜひ正しい使い方をマスターしておきたいもの。

そこで今回は、「広げる」と「拡げる」の意味の違いを解説していきます。

使い方のポイントや例文、類語なども紹介するので、この記事を読めば自信を持って「ひろげる」という言葉を使い分けられるようになるはず。ぜひ参考にしてください。

「広げる」と「拡げる」の違いとは

まずは、それぞれの言葉の意味を見ていきましょう。

「広げる」は「空間や範囲を大きくすること」

「広げる」を辞書で調べてみると、次のような意味があります。

ひろげる【広げる/拡げる】

(1)空間・面積・幅を大きくする。
(2)範囲・規模を大きくする。
(3)(「展げる」とも書く)包んだり畳んだりしてある物や閉じてある物などを開く。また、開いて中身をあらわにする。
(4)たくさんのものを辺りいっぱいに並べ置く。
(5)外へ張り出す。
(6)広い範囲にゆきわたらせる。ひろめる。

(出典:『デジタル大辞泉』小学館)

「広げる」には、「敷地を広げる」「視野を広げる」など、面積や規模を大きくすることを指すイメージがありますが、「毛布を広げる」「足を広げる」など「のばし開く」「展開」という意味での使用も可能です。

基本的に、「ひろげる」と発音する動作や状態のほとんどに使用することができるでしょう。

「拡げる」は「積極的に拡大すること」

一方、「拡げる」はというと、「広げる」に一括されているため、取り立てて別の意味合いは用意されていません。

ただし、「拡げる」は「広げる」よりも動詞的な意味合いが強く、積極性がより強調されるという特徴があります。

例えば、「歩道をひろげる」という文章では、「拡げる」を用いた方が「労力を伴って広くする」「新たに作り出す」というニュアンスをより強く与えることができるでしょう。

使い分ける時のポイント

「広げる」と「拡げる」は、辞書的に意味の違いはありませんが、使い方には若干の違いがあります。

使い分けのポイント1:公的な場面であるかどうか

使い分けのポイントでまず注意したいのは、公的な場面であるかどうかです。

「広」も「拡」も常用漢字ではありますが、「拡げる」「拡がる」などの訓読みは常用漢字には含まれていません。そのため、法令や公用文書、学校教育などでは「拡げる」ではなく「広げる」を使用します。

ただし、「拡げる」を用いるのが誤りというわけではありません。ビジネスシーンや個々人の表記の範囲では、「広げる」も「拡げる」もどちらも使用可能です。

使い分けのポイント2:動作を強調したいかどうか

使い分けのポイントの2つ目は、動作を強調したいかどうかです。

「拡げる」には、「積極的に拡大する」というニュアンスが含まれるため、手間や労力の意を加えたい場合は、「拡げる」を使用すると状況が伝わりやすくなるでしょう。

一方で、「新聞紙を広げる」「足を広げる」など、閉じてあるものを開く、伸ばすという積極性が弱い場面では「広げる」を使うのが一般的です。

どちらを使用すべきか迷う場面では、基本的に「広げる」を使っておけば間違いないでしょう。

「広げる」の使い方【例文付き】

「広げる」は、「ひろげる」と発音する動作・状況のあらゆる場面で使うことができます。

そのため、漢字表記に悩んだ時はこちらを使用すれば基本的に問題ないでしょう。

例文

「道路を広げる工事をする」

「あちこちで弁当を広げて、子どもたちはうれしそうな顔をした」

「拡げる」の使い方【例文付き】

一方、「拡げる」は「広げる」よりも積極的なニュアンスを与えたい場合に使用すると効果的です。

例えば、「販路を拡げる」「指示を拡げる」といった形で用いると、力を入れている意味合いを加えることができます。

一方で、「本を広げる」「足を広げる」など、労力としての積極性が含まれない場面で使用するにはそぐわず、受け手に違和感を与える可能性が高くなるので注意しましょう。

例文

「宅地として開拓し、敷地を拡げる

「こまごました作業をするために画面を拡げる

「彼は前回得た資金を基に、事業を手一杯拡げた

「広げる」の類語

ここからは、「広げる」の類語を紹介します。前後の文章や、伝えたい内容によって使い分けてみましょう。

(1)大きくする

「広げる」には、空間・面積・範囲を大きくする意味合いがあります。

そのため、「勢力を広げる」「敷地面積を広げる」など、単純に規模を増やすという場面では「大きくする」と言い換えることが可能です。

(2)開く・展開する

「広げる」は、「より大きくする」または「等身大に閉じてあるものを展開する」「伸ばす」という意味でも使用されます。

そのため、「包みを広げる」「足を広げる」といった動作は、「開く」「展開する」と言い換えることができるでしょう。

「拡げる」の類語

次に、「拡げる」の類語を2つ紹介します。主語や強調したいことによって、上手に使い分けてみてください。

(1)拡大する

「拡げる」は「拡大する」に言い換えが可能です。

「拡大」という言葉には、元のものをそのまま何倍かに大きくするというニュアンスがあるため、「写真を拡大する」「内需を拡大する」など、大きさの比較を強調することができるでしょう。

(2)拡張する

「拡げる」の言い換え表現には、規模や範囲を大きくすることを意味する「拡張」もあります。

「拡大」と比較して、「道路を拡張する」「軍備を拡張する」など、元からあるものに付け加えて大きくするという意味で使用するのが好ましいでしょう。

使い分けに悩む時は「広げる」を用いるのが無難

「広げる」と「拡げる」は、辞書的には同じ意味とされていますが、使い方には若干の違いがあります。

「広げる」は常用漢字であり、「ひろげる」と発音するあらゆるシーンで使用が可能です。

一方、「拡げる」は常用に含まれない読み方なので、公文書には使用しないなど多少注意が必要な表記といえます。しかし、「広げる」よりも積極的なニュアンスがあるため、動作の意味や労力を強調したい際に使用すると良いでしょう。

ぜひ本記事を参考に、「広げる」と「拡げる」を効果的に使い分けてみてくださいね。

(さわだまい)

※画像はイメージです

※この記事は2024年01月18日に公開されたものです

さわだまい

ライター。「資格好きの主婦」として、コラム執筆、ブログやSNSでも情報発信中。自身の婚活経験から、婚活・恋愛についても執筆しています。

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