【Ep.9-10】期限つきの婚活が教えてくれた、結婚に必要なもの
真実の愛を探し求める女性たちが、結婚相手を見つけるため美しい場所をめぐる旅へ。この旅のルールは2つ。男性は期限が来たら帰らなければならず、プロポーズできるのは女性だけ。2024年1月23日に配信スタートしたNetflix新婚活リアリティショー「ラブ デッドライン」を、ライター・ミクニシオリさんが考察します!
※このコラムはNetflixで配信中の「ラブ デッドライン」エピソード1~10までのネタバレを含んでいます。
とうとう最終回を迎えてしまった。毎週配信日が楽しみで仕方がない、この気持ちをまた味わわせてくれたラブデッドラインに、まずは大きな声でお礼を言いたい。ありがと〜!!
各々の思いが渦巻く中、旅を終わらせたラブデッドラインメンバーたち。最後まで残ったメンバーの婚活を振り返りながら、驚きの連続だった最終配信、9~10話を語っていく。
ノナが見せてくれた「婚活最良ルート」
「すぐに家族を作りたい」と言って旅に参加したノナの婚活道は、まさにあっぱれだった。自分の感情に飲まれないよう、冷静に男性たちと交流し、時に相手を不安にさせたとしても「それで離れるなら、それまでのこと」と言わんばかりの意思の強さで、結局2人の男性の心を射止め続けた。
ノナの婚活を振り返ってみると、彼女は男性を育てるのがすごく上手だったと思う。序盤、ピュアさに天然が相まって、不安そうな表情を見せることも多かったオカピーは、ノナに焚きつけられるうちに、みるみる男らしい態度を見せるようになっていった。ノナがプロポーズに向かった時の、あの潔さ。「ノナなら絶対大丈夫」と友情のハグを交わすシーンはまるで、少女マンガの1ページのようだった。
去り際にみんなとハグを交わすオカピーを見ていると、フクちゃんを失ったメンバーの中で、いつの間にかお兄ちゃん的な存在になっていたようにも感じた。最初はみんなが振り向かなかった男すらも、ここまで成長させてしまったのだ。
ケイちゃんは、初期メンバーの中でももともと結婚願望が強めには見えた。しかし、変わらずノナに愛情を向け続けられたのは、ひとえにノナのミステリアスさあってのことだっただろう。序盤からかなりモテてきたケイちゃんが、他の女性に脇目を振ることなくノナを推し続けることができたのは、きっとノナがつかず離れず、上手に振る舞っていたからだ。
好意という一時的な情熱に踊らされることなく、結婚という重たい選択に向き合ったノナ。真剣交際から3カ月でスピード同棲、半年で婚約……見極めの慎重さやコミュニケーション、スピード感は、世の中の婚活女子はもちろん、これから婚活を考えたい女子まで、全員が参考にすべき素晴らしい例となってくれた。
「好きになってもらうだけではダメ」、アンナが教えてくれたこと
旅の最後に「小さな後悔が残った」と語った、アンナ。後半でいい雰囲気になったフミくんは、仕事の都合で即帰宅。ずっと自分のことを好きになってくれる人を探しているようにも見えていた彼女だったけれど、終盤は一皮むけて「断る理由がないだけでは結婚できない」と語り、最後まで男性陣と向き合い続けた。
第一印象ではナシ……というより、負け戦を避けるような形で交流をしていなかったようにも見えたユウシに対しても、後悔が残ったようだった。例えばノナと比べると、アンナの婚活は少々受動的すぎたのかもしれない。脈があるかどうかに限らず、もっと自分らしさを表現してメンバーと交流していれば、違った未来があった可能性もある。
しかし最終回、ユウシがソラに再アタックすることができたのは、アンナからの一言のおかげでもあったはずだ。「傷つく覚悟を持って得たものの方が、大切にできるはず」と語ったアンナの目には、はっきりと強い意思を感じたし、きっとそれはアンナ自身、旅の中で学んだことなのだと思う。自分の意見を主張するばかりでもダメだし、好きになってくれる人を自分が好きになれるか、判断するだけでも足りない。婚活では、自ら積極的にすり合わせに行ける人が、より早く理想のゴールにたどり着くことができるのだろう。
結婚に理想追い求めたユウシと、強い意思に惹かれた女性たち
男性陣の中でも、結局最後はユウシに心をつかまれたという視聴者は多いのではないだろうか。ユウシはとにかくスポーツマンシップに則ったコミュニケーションで、女性を信用させるのが上手い人なのだ。言いたいことをはっきりと伝えるスタンスが明確で、女性から見ても「何を考えているか分からない」ということがなく、安心感につながりやすかったのではないだろうか。
だからこそ、最後は残った女性メンバー全員が彼に惹かれた。だけど最終的に誰も彼にプロポーズしに行けなかったのは、ユウシが結婚に対して強い理想を持っていたからだろう。格闘家として理想に向かって努力を重ねてきたはずのユウシにとって、何事も目標を持つことは当たり前のことなのかもしれない。しかし、結婚生活はパートナーと2人で作るものだ。どちらかに強い理想があるなら、同じ理想を持つ人同士でなければ、きっと苦しくなる。
彼が持つ理想は、女性陣にとって、特にソラにとって重かったのではないだろうか。母親への深い愛を語ったソラは自己肯定感が高く、ユウシと同じく理想に向かって努力を重ねてきたからこそ、若いうちから起業という偉業を成し遂げられたのだ。2人にはストイックさや意志の強さなど似ている部分があったようにも感じるが、だからこそお互いが持つ目標をすり合わせることも難しかっただろう。
ソラは最後のマッチングデートで「自分の理想はただの逃げだったかもしれない」と話していたので、ユウシにプロポーズしなかったのは、理想がぶつかってしまっているからではないのだと思う。ユウシが求める結婚像・家族像は、少々亭主関白気味に見えたのかもしれないし、そこを「すり合わせていきたい」と思うほどのアツい気持ちが、ソラの中に生まれなかったのかもしれない。
結婚は、どちらかが自分の理想を追い求めるだけではダメなのだ。愛するパートナーの価値観を認め合い、お互いに譲り合う。そういった姿勢が少しでも見えていれば、アンナもソラもユウシのところへプロポーズに向かったのではないだろうか。
婚活を通して見る、大人の成長ドラマ
最後までどうなるかの予測が全くつかなかったし、思ったより成婚率の低い旅になってしまったラブデッドライン。旅のテーマは「決断」だったが、結婚という覚悟を決めることの難しさについては、思い知らされるものがあった。しかしその重圧に向き合ったからこそ、メンバーたちはみなそれぞれに成長することができたのだろう。
シーズンを通して、良い婚活は、人を成長させるのだと感じた。自分と向き合い、そして異性とも向き合うことで、自分らしさとは何なのか、自分はどんな未来を描きたいのかがはっきりする。理想が明確になった状態で、お互いに理解し合えるパートナーが見つかった時、その相手はきっと一生の味方になってくれるだろう。
期限つきの婚活旅は、私たちにヒリヒリするほどの人間ドラマを見せてくれた。ぜひシーズン2を期待したい。
「ラブ デッドライン」番組概要
Netflixリアリティシリーズ「ラブ デッドライン」はNetflixで独占配信中
(ミクニシオリ)
※この記事は2024年02月23日に公開されたものです