「しかと受け取りました」の意味とは? 例文や言い換え表現を解説
「しかと受け取りました」は、資料などを受け取ったことを伝えるフレーズです。しかし、改めて意味を説明するとなると自信がない人もいるでしょう。この記事では、「しかと受け取りました」という言葉について解説。また、使用上の注意点や言い換え表現も紹介します。
「しかと受け取りました」という言葉をビジネスシーンで耳にしたことはありませんか?
資料や納品物をしっかり受け取ったということを表現するフレーズですが、はっきりと意味や使い方が分からない人もいるかもしれません。
そこで今回は、「しかと受け取りました」という言葉について解説します。例文や言い換え表現も紹介しているためぜひ参考にしてください。
「しかと受け取りました」の意味
まずは、「しかと受け取りました」という言葉の意味について見ていきましょう。
しかと【確と/聢と】
(1)はっきりとしているさま。確実でまちがいのないさま。たしかに。「夕方のことで―は見えなかった」「―相違ありません」
(出典:『デジタル大辞泉』小学館)
「しかと」とは、「確実なこと」や「間違いのないこと」という意味を持っています。
つまり、「しかと受け取りました」は、ただ資料などの納品物が手元に届いたことを伝えるだけでなく、しっかりと受け取ったという念を押す表現といえるでしょう。
「しかと受け取りました」は敬語として使える?
「しかと受け取りました」は「受け取りました」が丁寧語なので、敬語として使えるフレーズです。ただし、上司や取引先の相手に対して用いるには敬意が不十分でしょう。
また「しっかりと受け取った」という事実を強調することは、上から目線のような印象を与えてしまう可能性もあります。
そのため、正しい敬語表現ではありますが、目上の人に用いる場合はより丁寧ない言い回しにするのが好ましいでしょう。
「しかと」と「確かに」の違い
「しかと」とよく似た言葉で「確かに」があります。例えば、「確かに受け取りました」という言い回しがありますが、この2つは「確実に」という同じ意味を持っています。
どちらを使っても問題ありませんが、「しかと」はなじみが薄いので、日常使いするのであれば「確かに」を用いた方がスムーズなコミュニケーションになるかもしれません。
「しかと受け取りました」の使い方【例文付き】
「しかと受け取りました」は、資料などの納品物を受け取ったことを伝える表現として使います。
電話や対面など直接会話する場面でも使用可能ですが、特にメールで用いることが多いでしょう。
「しかと受け取りました」と述べることで、「間違いなく資料は無事に届いた」という状況を伝えることができ、データや資料などを送った相手にも安心してもらえるはずです。
また、「受け取りました」は敬語ですが、取引先の相手や上司など目上の人に対して使うには敬意が不十分なため、さらに丁寧な言い回しにすることをおすすめします。
次のような例文を参考に、実際に「しかと受け取りました」を使っていきましょう。
例文
「資料をしかと受け取りました。このたびは早速のご対応ありがとうございます」
「先ほど資料をしかと受け取りました。拝受の連絡のみですので、ご返答は不要です」
「先日伺っていたデータのご送付ありがとうございます。私がしかと受け取りましたことをご報告いたします」
「しかと受け取りました」を使う時の注意点
ここからは、「しかと受け取りました」を使う上で、気を付けたいポイントを紹介します。
(1)目上の相手への使用は避ける
「しかと受け取りました」は、基本的に目上の人に対しては使わないように気を付けましょう。
例えば、上司から何か資料などを渡された時に「しかと受け取りました」と述べると、まるで上から目線かのような印象を与えてしまうかもしれません。
また、謙譲語や尊敬語を用いておらず敬意も不十分です。そのため、目上の人にそのまま「しかと受け取りました」を使うのは好ましくないでしょう。
(2)「しかと」はひらがな表記がベター
本来「しかと」は、漢字にすると「確と」もしくは「聢と」です。話し言葉として聞いたことがある人は多くても、漢字で見かける機会は少ないでしょう。
ビジネスメールでは不用意な漢字変換は控えて、誰でも読みやすい文章を心掛けるのがベター。
それ故、「しかと」はひらがな表記にするのが好ましいでしょう。
「しかと受け取りました」の言い換え表現
「しかと受け取りました」は、目上の人に使いづらいフレーズです。そのため、言い換え表現を覚えておくと便利でしょう。
ここでは、「しかと受け取りました」と似た意味を持つ目上の人にも使える丁寧な言い回しを紹介します。
(1)「拝受しました」
「拝受しました」は、「受け取りました」をさらに丁寧にした表現です。「拝見する」などと同じく相手を敬った謙譲語で、目上の人に使える定番のビジネスフレーズ。
データや資料など、上司や取引先の相手から渡されたものを受け取ったことの証明として用いるのが良いでしょう。
(2)「受領しました」
「受領しました」は、お金や品物などを受け取った時に使うフレーズです。「会費を受領しました」など、主に金銭のやりとりの場面で用いることが多いでしょう。
ちなみに、「受領いたしました」と言い換えても問題はなく、より丁寧な敬語表現にしたい時に活用できます。
(3)「頂戴しました」
相手から何かをもらったことを意味するへり下った表現として「頂戴しました」があります。
上司やお客さまとの会話でも使えるフレーズですので、覚えておくと役立つでしょう。
「しかと受け取りました」は受け取ったことを強調したい時に使える言葉
「しかと受け取りました」は、「はっきりと」や「確かに」を意味する「しかと」が入っています。
ただ手元に届いたことを報告するのではなく、「しかと受け取った」と強調することで、相手を安心させることができるでしょう。
しかし、ビジネスシーンで目上の人に述べると失礼にあたってしまうことも。必要に応じてへり下った言い換え表現にするなど、シーンに合わせて言葉を使い分けていきましょう。
(にほんご倶楽部)
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※この記事は2023年11月29日に公開されたものです