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「頂戴いたします」は二重敬語? 意味や正しい使い方を解説

神戸梛来

レジでの接客時や名刺交換の際によく耳にする「頂戴いたします」という言葉。しかし、上司や目上の人に使用すると失礼になってしまうかもしれません。今回は「頂戴いたします」の正しい使い方と言い換え表現について解説します。

日常生活やビジネスシーンで「頂戴いたします」という言葉を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。中には、このフレーズを普段からよく使用しているという人もいるはず。

しかし、「頂戴いたします」は文法的に正しい表現なのでしょうか? 何気なく使っていたけど、実は二重敬語だったなんて場合もあるかもしれませんよね。

そこで今回は、「頂戴いたします」の意味や正しい敬語表現について解説します。ビジネスパーソンとして、適切な言葉を使いこなせるようになりましょう。

「頂戴いたします」の意味

「頂戴いたします」は、日常会話でもビジネスシーンでもよく聞かれるフレーズで、「頂戴」と「いたします」の2つの単語からできています。

それぞれの言葉の意味は以下の通りです。

ちょうだい【頂戴】

1.もらうこと、また、もらって飲食することをへりくだっていう語。「結構な品を―いたしました」「お𠮟りを―する」「もう十分―しました」

(出典:『デジタル大辞泉(小学館)』)

いたします【致します】

「します」「やります」などをさらに丁寧に言う表現。「する」の謙譲語である「致す(いたす)」に敬体の「ます」が付いた表現。

(出典:『実用日本語表現辞典』)

つまり、「頂戴いたします」とは、何かをもらった際に自分の立場を低くして、相手への敬意を示すことができる表現といえるでしょう。

「頂戴いたします」がよく使われるシーン

では、「頂戴いたします」がよく使われるのはどんなシーンなのでしょうか。

(1)名刺を受け取る時

「頂戴」という言葉は「もらう」の謙譲語で、主に目上の人から物を受け取る時に使用されることがあります

その中でもこのフレーズをよく耳にするのが名刺交換の時ではないでしょうか。差し出された名刺を受け取る時に「頂戴いたします」という形で使われることが多いようです。

(2)相手に時間をとってもらいたい時

取引先や上司に対して、「30分ほど説明のお時間を頂戴いたしますが、ご都合はいかがでしょうか?」という言い回しで用いることもあります。

この場合の「頂戴いたします」は、相手の時間をもらうという意味になるでしょう。

(3)感謝の気持ちを伝えたい時

目上の人に感謝の気持ちを伝えたい時に、お礼の言葉と併せて使用されることもあるようです。

例えば、「たくさんのお褒めの言葉を頂戴いたしました。ありがとうございます」という言い回しが挙げられます。

「頂戴いたします」は二重敬語? 正しい表現とは

前述した通り、「頂戴いたします」は、日常会話でもビジネスシーンでもよく耳にするフレーズですが、文法的に正しい表現なのでしょうか? 詳しく見ていきましょう。

「頂戴いたします」は二重敬語

「頂戴」と「いたします」は、共に謙譲語です。同じ種類の敬語を重ねた言葉は二重敬語に当たるため、「頂戴いたします」は文法的に正しくない表現といえます。

日常生活やビジネスシーンで当たり前に使われているので、何気なく発している人も多いでしょう。しかし、相手によっては気分を害する可能性があります。

そのため、「頂戴いたします」は使用するのを避けた方がベターなフレーズといえるでしょう。

正しい敬語表現は「頂戴します」

「頂戴いたします」の正しい敬語表現は「頂戴します」です。ビジネスシーンでは、できるだけこちらを使用するのが好ましいでしょう。

「頂戴いたします」が二重敬語であることを理解した上で、必要に応じて言い換え表現を活用するのがおすすめです。

「頂戴いたします」の言い換え表現

ここからは、「頂戴いたします」の類似表現を紹介します。相手や状況によって使い分けられるよう、覚えておくと良いでしょう。

(1)いただきます

「頂く」にはもらうという意味があるため、「いただきます」も「頂戴いたします」と同じように何かを受け取る時に使うことができます。

謙譲表現なので、目上の人との会話でも使用可能です。主に上司や取引先の相手から差し入れなどをもらった際に使用すると良いでしょう。

(2)賜りました

「賜りました」は、「たまわりました」と読みます。これも「頂戴いたします」の言い換え表現の1つで、より低姿勢でへりくだった印象を与えられるフレーズです。

例えば、「部長から勉強になるお話を賜りました」「ご指導を賜りました」というような使い方をします。

ただし、このフレーズは格式ばった表現なので、頻繁に利用すると軽々しく聞こえてしまう可能性があります。そのため、使用シーンを見極めるようにしましょう。

「頂戴いたします」を使用する際は別の言葉に言い換えよう

「頂戴いたします」は人から何かを受け取る時に使われるフレーズですが、本来は正しい敬語表現ではありません。

この言葉を用いる際は、「頂戴します」や「いただきます」など別の言い回しに言い換えると、違和感なく相手に気持ちが伝わるはずです。

状況によって敬語表現を使い分けて、スマートなビジネスパーソンを目指しましょう。

(神戸 梛来)

※画像はイメージです

※この記事は2023年10月31日に公開されたものです

神戸梛来

20代は恋愛と遊びに、そして仕事に明け暮れた、自称・愛情深い系ライター。現在は推し(アイドル)への愛、仕事への愛、読者への愛と多方面に広く深く持て余すことなく愛を注いでいる。愛犬(モップ)と2人暮らしだが、やや片想い気味。

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