仕事も子育ても“素早く、丁寧に”向き合う「ハイブリッドキャリ」。森永乳業マーケ・大森茜子さんの働き方
「バリキャリ」「ゆるキャリ」……女性の働き方って、本当にこの2つだけなの? 100人いれば100通りの働き方がある。一般企業で働く女性にインタビューし、会社の内側や彼女の働き方を通して、読者に新しい働き方「○○キャリ」の選択肢を贈る連載です。
取材・文:ameri
撮影:大嶋千尋
編集:松岡紘子/マイナビウーマン編集部
キャリアも、結婚・出産も諦めたくない。でも、上手に両立することはできるのだろうか、と悩む女性は少なくないはず。
そのどちらも諦めず、結婚と出産を経験し、マーケとしてのキャリアを順調に歩んでいるのが、森永乳業のマーケティング統括部ヨーグルト・デザート事業マーケティング部でパルテノブランドを担当する大森茜子さん。
ただ、彼女も新卒で森永乳業に入社した当初とは、働き方も仕事との向き合い方も変わったといいます。どちらも大切にしているからこそ、どちらも疎かにはしない。こだわりの働き方を伺ってきました。
最初のキャリアは営業から。マーケへ異動し「ギリシャヨーグルト パルテノ」ブランドを担当
キャリアの最初は営業だったんですね。そこから本社に?
そうですね。2011年に本社の商品開発を行うマーケティング部署に異動してきました。そこからは、2015年と2019年に二度出産をしているので、出たり入ったりの期間はあったものの、ずっとチーズの事業部でマーケティングに携わり、2023年6月から新たにヨーグルト・デザート事業でパルテノブランドを担当することになりました。
元々マーケティングに携わりたいという気持ちがあったんですか?
そこまで「絶対に商品開発をやりたい!」と思っていたわけではなかったのですが、メーカーに入ったのでぼんやりと「いつかはやれたらいいな」とは思っていました。
そこに関しては、マーケを経験することできてよかったなと思っています! 自分が携わった商品やプロモーションが世に出て、多くの人の生活の一部になっていくのは純粋にすごいことだと思いますし、そこにやりがいも感じています。
赤ちゃんからお年寄りまで愛される商品をたくさん持っている会社だなと。自然と会社の商品に触れて生きてきたなということは何となく入社前から思っていて。
特定の人だけではなく、幅広い方に手に取ってもらい、食べてもらい、幸せになってもらえる商品がたくさんあるところが魅力で、そこに自分も携わりたいと思ったからですね。
そして、実家が日本料理屋をやっていて、ずっと食べ物に関わる生活をしていたこともあり、食分野に進みたいという気持ちがあり……。さらに祖父が畜産系の獣医で、幼少期から牛舎に連れて行ってもらっていたので、いくつか選考が進む中で、食の分野・商品が好き・祖父のルーツというところがマッチしていた森永乳業に決めました。
配属後に猛勉強。現在は自宅の冷蔵庫にヨーグルトを複数種常備して勉強も
今は、私ともう一人の先輩とのチームで、パルテノという商品を担当しています。新しい商品を作る際にまず「どういう商品を作ろうか」というところから考え、研究所や生産関連や工場、調達の部門など、さまざまな方と関わりながら商品を作っています。
そもそも、大学でもマーケティングの勉強をしていたのですか?
それだけ長くいたら、愛着が湧きますよね。
仕事なので、感情を入れずにやっていたつもりだったのですが、いざ異動と分かった時には、勤務中に号泣してしまいました(笑)。染み付いているものはあったのかなと思います。
ただ、チーズのマーケティングを担当していた時には、自宅の冷蔵庫の一角にいろいろなメーカーのチーズを15種類くらい入れていたのですが、今はそれがヨーグルトに変わりました(笑)。他社のものも含めて今は6種類くらい入っていたと思います。
仕事のモットーは「素早く丁寧に」
「素早く丁寧に」ということを大切にしています。
それは入社してからずっとですか?
いえ、大きな転機は出産したことですね。
営業時代は、今振り返れば良くないのですが、毎日遅い時間まで長く働いていたんです。だからといって元々ダラダラと仕事をしていたわけでもなかったのですが、出産によってどうしても物理的な制約ができ、9時から17時までにできることをやらなければいけなくなった時に、もっとギュッと凝縮しなければいけないと思ったんですよね。
やるべきことを全部見える化して、タスクを目に見えて分かるように管理しているのと、なるべく先取りするように意識しています。もちろん自転車操業のようになってしまうこともあるのですが……。
大切にしているのは“柔軟さ”
今はワークライフバランスとしてはどのくらいだと感じていますか?
1日のうち占めている時間は仕事の方が多いと思いますが、心理的にはバランスが取れているように感じています。
平日の仕事以外の時間や土日も、子どものことで終わってしまうので、自分の時間はあまりないですが……。出産前は韓国オタクだったので、よく友達や妹と新大久保へ繰り出していましたが、今はその情熱を捧げる相手が子どもに移った感じですかね。
仕事やプライベートを大切にする中で、大事にしている軸があれば教えてください!
「柔軟にやりたいな」と常に思っています。予期せぬ出来事が日々起こるので、そこにフレキシブルに対応できるように、あまりガチガチにならないようにしようかなと。
私、そもそもすごく完璧主義なんですよ。なので、全部きっちりしたいという思いがいまだにあるのですが、仕事も子育てもイレギュラーが起きるので、そこを和らげなくてはキツいなと思いまして。
手順もあらかじめ決めたいタイプなのですが、それが崩された時にも一気に崩れてしまわないように、「じゃあこれは次の日に組み替えよう」と対応できるようにしています。
ご自身のキャリアを「○○キャリ」と当てはめるとしたら、何だと思いますか?
今の自分にとっては仕事も育児もどちらも大切な動力なので、異種の組み合わせということで「ハイブリッドキャリ」かな。
最後に、今後はどういう働き方をしていきたいかを教えてください。
子どもを産んだ時には2つのパターンに分かれると思います。ひとつが「早く復帰したい」と思うパターン、そしてもうひとつが「子どもと一緒にいることが楽しくて復帰したくない」というパターン。私はどちらかというと前者で、実際に復帰してよかったと思っているので、このままずっと仕事は何かしらの形で続けていきたいなと思っています。
そして段々と自分の領域を増やしていき、ゆくゆくはマーケティング以外の仕事にもチャレンジできたらいいですね。
興味がある分野はあるのですか?
弊社が海外事業にも力を入れているので、そこに興味を持っています。これまで営業やマーケで培ってきた経験や、大学時代に学んでいた英語をより本格的に使って仕事ができたらいいな、という気持ちはずっとぼんやりとあったので、今すぐとは思っていませんが、もし次にチャレンジできるなら、と考えています!
※この記事は2023年09月08日に公開されたものです