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目指すのは“コミュニケーションの専門店”として人に寄り添える事務所。喫茶れんたるを運営するよもぎちゃんの素顔

#リーダーの素顔

瑞姫

経営者やいわゆる「リーダー」って、どうしても私たちとは違う世界の人……と思ってしまいがち。でも、リーダーたちも毎日寝て、起きて、ご飯を食べて……そして仕事をしている普通の人。そんなリーダーの素顔を探るべく、「子どもの頃はどんな子だった?」「毎日どれくらい働いている?」「やっぱりタワマン住みですか?」など、素朴な疑問をぶつけます。

取材・文:瑞姫
撮影:稲垣佑季
編集:錦織絵梨奈/マイナビウーマン編集部

経営者やいわゆる「リーダー」って、どうしても私たちとは違う世界の人……と思ってしまいがち。でもリーダーたちも毎日寝て、起きて、ご飯を食べて、そして仕事をしていて……私たちと同じように生活を送る、ビジネスウーマンの一人でもあります。

そんなリーダーたちの素顔や、これまでを探る本企画。今回の「リーダー」は、レンタル事務所「喫茶れんたる」を運営しながらも、日本一高い“レンタル彼女”として活躍するよもぎちゃん

今では漫画やドラマなどの作品で耳にすることも増えてきた「レンタル彼女」「レンタル彼氏」ですが、そもそも「レンタル彼女(or彼氏)」とは依頼主から指名を受けたキャストが恋人役となってデートをするサービス業。サービスそのものについては知っていても、「実際に利用したことはない」「キャストをやっていると公表している人を見たことがない」など、まだまだヴェールに包まれた存在なのではないでしょうか。

そんな「レンタル彼女」を大学時代に始め、その魅力にとらわれたよもぎちゃんが、その仕事を通して見つけた課題を解決するために立ち上げた事務所「喫茶れんたる」は、レンタル彼女・彼氏・友達としての枠組みに囚われない、“コミュニケーションの専門店”として人に寄り添うサービスを提供することを目指しているそう。

インタビューをしてみると、レンタル彼女として人気であることも頷ける、誰に対しても分け隔てなく、真っ直ぐに向き合ってきた優しさを知ることができました。

よもぎちゃん

大学時代にレンタル彼女を始めてからその魅力にハマり、会社員から一念発起して『喫茶れんたる』を立ち上げる。現在はキャストとして活動しながら、事務所運営に携わっている。

自己肯定感が低く、常に劣等感があった幼少期

Q.1 幼少期はどんな性格でしたか?

幼少期は今よりもだいぶ卑屈な性格でしたね。ずっと進学校に通っていて周りがエリートぞろいだったんですけど、その中で飛びぬけて勉強ができなかったので、自己肯定感がすごく低かったんです。勉強ができない自分はお先真っ暗なんだってずっと思っていました。

Q.2 どのようなご家庭で育ちましたか?

とても良い家庭だと思います。比較的裕福な家庭で、父も母も大事に育ててくれましたし、「学歴があった方が役立つだろう」という両親の考えのもと、小学校から進学校に通わせてもらっていたので、恵まれた環境ではありました。

ただ、そんな中で勉強が苦手であることが“両親に何も返せていない”という劣等感を抱くことに繋がってしまいました。学校の授業についていくために塾にも通わせてもらっていたので、すごく申し訳ないなって思っていたんです。

Q.3 思春期は学校でどんな存在でしたか?

可もなく不可もなく……という感じでした。すごくかわいいとか、すごく勉強ができるとか、逆にすごく勉強ができないとか、そういった自分を形容するものが何も無かった。学校ってグループがあると思うんですけど、私はどこへでも入っていけるけど、どこにも属してない感じで、地に足がついていない存在だったなって今となっては思います。

大学時代の合コンとレンタル彼女のバイトが転機に

Q.4 学生時代にアルバイトはしていましたか?

最初は自分が通っていた塾の受付をしていました。そこからカフェと居酒屋と、レンタル彼女。

レンタル彼女を始めたのは、私が失恋した時に「男性でできた傷は男性で埋めるしかない!」と思って、レンタル彼氏を利用しようと検索したのがきっかけです。当時は自分のタイプの男性がいなかったので利用するには至らなかったんですが、「レンタル彼女」という仕事があることをそこで知りました。

知らない人からすれば少し怪しい仕事だったので、「バックに怖い人がいるのかな」「実は裏オプションがいっぱいあるんじゃないか」とか、色々興味が湧いてきたので、「自分で確かめるしかない!」と思って始めました。

Q.5 どのような大学時代を過ごしていましたか?

小中高とエスカレーター式で同じ学校に通っていたんですが、それが私にとっては殻だったんです。大学生になってそこから出られたことは、自分の中で大きな変化でした。

友人から合コンに誘ってもらって、勉強はもちろん大切だけど、「勉強だけが全てじゃないんだ」と思えて、そこから自分はコミュニケーションを磨いていこうと思って、さまざまな人と関わるうちに、低かった自己肯定感もどんどん上がっていきました。大学時代にレンタル彼女をはじめたことも大きかったです。

大学時代に学校で学んだことよりも、合コンやレンタル彼女のお仕事で学んだことの方が今に活きているかもしれません(笑)。一応コミュニケーション系の学科にはいたのですが、どれだけ座学で学んでも、生の人間とたくさん話した方が得られるものが多い気がします。

Q.6 なぜ起業しようと思ったのですか?

会社員として働いていた時に、レンタル彼女時代のことを書いたブログをやっていたのですが、現役で利用されているユーザーさんとキャストさんからメッセージがくることが多くなって、それぞれの問題点が見えてくるようになったんです。そこからその問題点を解決できるような事務所を自分でつくりたいなって思ったのがきっかけですね。

事務所を作ることへのハードルはそんなに高く感じていなくて、「とりあえずやってみよう。失敗したらその時考えよう」くらいの気持ちでした。

大学時代の合コンとレンタル彼女のバイトが人生の転機に

Q.7 創業当初、大変だったエピソードがあれば教えてください。

大変なことしかなかったです(笑)。完全にプレイヤーの方でやってきたので、運営だったりとか、経営だったりとか、何にも分からないところから始まって大変でしたね。

あとは、私がプレイヤーだった時に気にしていなかったことが、他の女の子にとっては気になることだったり。そこで「気にしなくて大丈夫だよ!」というのではなく、その子の立場になって、その子の気持ちに寄り添ってケアをしるなどといった、キャストのマネジメントやメンタルケアも大事なことなんだなと学びました。自分と同じで考えちゃいけないんだと痛感しましたね。

プレイヤーではなく、自分が経営側に回ったことで初めて気づくことがたくさんありました。

Q.8 創業してから一番うれしかったことは何ですか?

やっぱり依頼してくださった方が、喜んでくれるのが一番うれしいです。頑張ってここまでつくり上げてきて良かったなって思いますね。

「喫茶れんたる」はレンタル彼女・彼氏というより、“コミュニケーションの専門店”としてやっているので、ジェンダーで悩んでいる方や、少し特殊な悩みの方とかが来てくださることが結構多いんですが、そういう方の捌け口になれて本当に良かったなと思いますし、そういった悩みを受け止める場所になれてきていることを日々うれしく感じます。

私自身が、“彼女”としての立ち位置を求められているというより、話し相手や、相談相手として求められているなと感じることの方が多かったので、“コミュニケーションの専門店”という今の形にしています。

Q.9 創業してから一番つらかったことは何ですか?

脱サラして事務所を立ち上げた初期の方に、コロナ禍に入ってしまったことですかね。人と会うお仕事なのに、人と会うことはもちろん、緊急事態宣言で外出も禁止されていたので……。

最初の方は本当に仕事が無かったですし、不要不急の斡旋になってしまうので宣伝もできず、そこで何もできなかったのがすごくしんどかったです。

Q.10 仕事でやりがいを感じるのはどんな時ですか?

実際に私自身がまだキャストとして活動もしているので、そこで実際に依頼者さんにお会いして、「すごく楽しかった」と喜んでいただけるのがやっぱりうれしいしですし、やりがいになりますね。

“コミュニケーションの専門店”としての展望

Q.11 毎日のタイムスケジュールを教えてください。

結構夜型人間なので、寝るのは大体3時くらい。24時以降に脳が冴えちゃうんですよ。雑音がないと色々考えてしまって眠れないので、YouTubeを見ながら就寝します。“耳かき動画”というのは海外の耳かき動画なのですが、毎日1時間くらい見ています(笑)。

仕事はレンタル彼女だったり、事務所のお仕事だったりバラバラなのですが、それに加えて恋愛やコミュニケーションのコンサルもしているので、1日7〜8時間は常に何か仕事をしている気がします。最近だとキャストさんを増やしたので、それぞれの方向性や、どうやってマネジメントしていこうかなとか考える時間が今一番多いです。

Q.12 何歳まで仕事をしたいですか?

生きている限りは何かしらしてたいです。趣味と日常の楽しみと仕事が一緒になっている状態なので、逆に仕事が無くなった時が死に時かなって思ってしまうくらい。

今、キャストとしては月10回前後の仕事量なのですが、本当はもっと運営としてのお仕事を減らしてキャストとしてのお仕事をやりたいんです。運営を手伝ってくれる人たちも最近増えてきたので、自分がやるところを少しずつ減らしてそれが実現できるようにしたいなと思っています。

キャストとして働くからこそ、教えられることもあると思いますし、何より他のキャストさんに何か教えるためには、自分がキャストとして圧倒的であり続けることが大事だと思っているんです。なので、事務所をもっと大きくしたい、もっと多くの人に知ってもらいたいという気持ちはもちろんなんですが、キャスト6、運営4くらいの割合でお仕事できればいいなと思っています。

Q.13 今後の展望を教えてください。

今はレンタル彼女、レンタル彼氏、レンタル友達として「喫茶れんたる」をやっているんですが、このお仕事をやっているとカウンセラーさんのところへ行くのが怖かったり、逆にカウンセラーさんのところへ行きたかったけど予約が2カ月待ちだからこっちに来ましたって方がちらほらいるんですよね。

人や友達として楽しい時間をご提供するのはもちろんなんですが、カウセリングの一歩手前、まず一回自分の話を吐き出せるような場所として、認知してもらえるようにしたいなと思っています。

私たちは専門家ではないけれど、話を聞くことや向き合うことはできる。キャストの中にはメンタルに関する知識がある方や、実際に鬱病になったことがある方、セクシャルマイノリティの方もいたりするので、悩みを抱える方がもっと身近に自分の悩みを打ち明けられる場所を作っていきたいです。

※この記事は2023年07月09日に公開されたものです

瑞姫

フリーランスの取材・インタビューライター、コラムニスト。主にエンタメ、トレンド、グルメ、ビジネスカテゴリで活動中。

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