「いづれも」と「いずれも」、どっちが正しい? 意味や使い方も解説
その他の「いづれ」「いずれ」を使った表現
「いづれも」「いずれも」以外にも、「いづれ」「いずれ」を使った表現にはさまざまなものがあります。ついでに押さえておきましょう。
(1)「いずれさま」
この「いずれ」は「だれ」という意味の代名詞で、「いずれさま」は「どちらさま」「どなたさま」という意味です。
古風な言い方なので、現代で使われる場面は限定されています。
(2)「いずれもさま」
「いずれもさま」は「皆々さま」という意味。「いずれもがた」という場合もあります。
(1)の「いずれさま」が1人の相手に使われるのに対し、「いずれもさま」は複数の相手に使われます。
(3)「いずれ菖蒲か杜若(いずれあやめかかきつばた)」
「いずれ菖蒲か杜若」は、どちらも優れていて優劣がつけがたいさまを表します。
菖蒲(あやめ)と杜若(かきつばた)はどちらも同じアヤメ科の花で区別がつきにくいことから、この言葉が生まれたといわれています。
(4)「いずれかいずれ」
この「いずれ」は「どちら」という意味の代名詞で、「いずれかいずれ」は「どちらがどちら」という意味です。
源氏物語では「いずれかいずれなど問ひ給ふに」と使われています。
(5)「いずれともなし」
「いずれともなし」の意味は「どれもこれも同様であること」です。「いずれとなし」とも表現できます。
「いづれも」と「いずれも」は場面によって使い分けよう
「いづれも」と「いずれも」の違いは、歴史的仮名遣いか現代仮名遣いかということ。
歴史的仮名遣いの「いづれも」は必ずしも間違いではありませんが、ビジネスなどで公用文をつくる時は「いずれも」が正しいとされています。
一方、俳句や文学の世界では、作者の意図によりあえて「いづれも」と表記されるケースも。
「いづれも」と「いずれも」のように、どちらかが明確な間違いではない言葉の使い方で迷ったら、両者の違いを理解して状況により使い分けることが大切です。
あえて「いづれも」を使う機会は少ないかもしれませんが、本を読む時などに出会う可能性はあるので、「いづれも」が歴史的仮名遣いであることを覚えておくと良いでしょう。
(にほんご倶楽部)
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※この記事は2023年06月13日に公開されたものです