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「お電話差し上げる」の意味と正しい使い方。目上の人に使ってもOK? 注意点は?

にほんご倶楽部

「お電話差し上げる」はビジネスシーンで使ううえで正しい言葉なのでしょうか? 目上の人に使ってもいいのか、使う際の注意点、言い換え表現について解説します。

「お電話差し上げる」という言葉は、ビジネスシーンで欠かせない電話対応でよく使われる言葉です。こちらが使う場合もありますし、先方から使われる場合もあるでしょう。

「お電話差し上げる」という表現は丁寧な敬語ですが、捉え方によっては失礼にあたる場合もあるので、実は使い方が難しい言葉になるのです。

この記事では、「お電話差し上げる」の意味や正しい使い方、シーンに適した言い換え表現を解説していきますので参考にしてください。

「お電話差し上げる」の意味

「お電話差し上げる」の意味は、相手に対して「電話をする」ことを伝える言葉です。

ちなみに「お電話」は美化語であり「お食事」や「お魚」など、頭に「お」や「ご」をつけた用語です。

「お電話差し上げる」は「お電話」の美化語と「差し上げる」という謙譲語が組み合わさった丁寧な表現となります。

「お電話差し上げる」の使い方と例文

「お電話差し上げる」は、ビジネスシーンはもちろんプライベートでも目上の人に対して使います。

「差し上げる」は謙譲語であり、相手を敬う意味で使われます。「~してあげる」だと上から目線のような印象がありますが「差し上げる」によって、敬意を払った表現として幅広いシーンに使えます。

例文

・上司に確認しましたら、お電話差し上げます。

折り返し電話したい時など、電話口の相手や取引先に対して「後ほど電話したい」旨を伝える時の例文です。

対面でも電話対応でもよく使うフレーズのため、改めて電話をすることや、掛け直す時間帯など分かる範囲で伝えると、さらに相手に状況が伝わりやすいです。

・申し訳ございません、〇分後にお電話差し上げてもよろしいでしょうか?

他にも、再度電話をかける必要がある時は、具体的にどれくらいの時間が過ぎてから掛け直せるのか、相手の都合をたずねる表現です。

「お電話差し上げてもよろしいでしょうか?」と疑問形にすることで、相手にとってもその時間帯に電話に出ることができるか確認できるため、お互いのスケジュールのズレを減らせます。

「お電話差し上げる」を使う時の注意点

「お電話差し上げる」を使うにあたって、気を付けたいポイントがいくつかあります。使い方に注意したうえで、相手にとって失礼にならないようスマートに対応しましょう。

(1)目上の相手には他の表現がおすすめ

「お電話差し上げる」は謙譲語であり、基本的に目上の人にも使えるフレーズです。しかし「差し上げる」は「してあげる」といった意味にもとれるため、相手によっては失礼だと感じられる可能性があります。

そのため、基本的に目上の人や上司に対しては「お電話差し上げる」よりも「お電話いたします」「お電話させていただきます」のようなシンプルな表現の方が、誤解を招かずスマートに伝えることができるでしょう。

(2)「お電話差し上げるようにいたします」はNG

「お電話差し上げます」をさらに丁寧に伝えようとして、丁寧語を足して長い言い回しにならないよう気を付けましょう。やってしまいがちな表現が「お電話差し上げる」に「いたします」を付け加える表現。

回りくどい印象を与えてしまうため助長的な表現にならないように短くすっきりとした言い回しを心がけましょう。

(3)セットで使いがちな「電話番号を頂戴できますでしょうか?」はNG

相手に電話を折り返したい時に、「お電話差し上げますので、電話番号を頂戴できますでしょうか?」といった言い回しをしがちです。

実は「頂戴」という表現は、物を受け取る時の言葉です。そのため電話番号は物質的なものではなく、何かをもらうわけではないため、あまり適切ではありません。

電話番号を続けて尋ねる時には「電話番号を伺ってもよろしいでしょうか」「折り返しますので、電話番号をお聞かせ願えますか」など、別の表現に変えましょう。

「お電話差し上げる」の言い換え表現

「お電話差し上げる」は、さまざまな言い換え表現があります。代表的な3つの言い換え表現をご紹介します。

(1)「ご連絡差し上げます」

電話ではなくメールや手紙など、別の手段で連絡をとる可能性がある時は、「ご連絡差し上げます」を使うと良いでしょう。

連絡用途が明確になっている場合は、「後ほどメール差し上げます」「後日お電話差し上げます」という表現に言い換えると、より丁寧な伝え方となります。

(2)「お電話いたします」

前述した通り、「お電話差し上げます」だと「あげる」という上からの表現に感じられてしまうことがあります。上司や目上の人に対しては「お電話いたします」と丁寧語で話すと、上から目線のイメージがなくなります。

「お電話いたします」は柔らかい表現のため、お客様に対しても幅広い年代に使いやすい言い換え表現です。

(3)「折り返しいたします」

あらかじめ電話で折り返す必要がある時は、「お電話差し上げます」ではなくシンプルに「折り返しいたします」でも、電話を後ほど掛け直すという意図が伝わります。

たとえば「○○は現在不在のため、恐れ入りますが後ほど折り返しいたします」と、伝えれば短い文章で必要な情報を相手に伝えられます。

「お電話差し上げる」はビジネスで電話を掛けたいシーンに使える言葉

「お電話差し上げる」の表現は、主にビジネスシーンでよく使われています。ただし、「差し上げる」という表現はもともと「してやる」「あげる」といった、上からの表現が元であるため、丁寧な言葉であっても相手によっては不快に思われてしまうことも。

そのため年上や上司など、目上の人に対しては「お電話いたします」などの丁寧語がおすすめです。

ほかにも「折り返しいたします」といった表現でも、後ほど電話を掛け直すという考えが伝わるため、あまり長い文章にならないよう必要な言い回しを考えてみるのも良いでしょう。

(にほんご倶楽部)

※画像はイメージです

※この記事は2023年04月11日に公開されたものです

にほんご倶楽部 (敬語・ビジネス用語専門編集プロダクション)

いつも使っているけれど間違った認識も多い「敬語」や「ビジネス用語」。人にはなかなか聞けない常識から応用編まで、日本語に関する情報を発信。

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