「いらっしゃいますでしょうか」は正しい敬語? ビジネスで使える表現を紹介(例文つき)
ビジネスシーンにおいて、電話などで「いらっしゃいますでしょうか」が使われることは珍しくありません。しかし、これは二重敬語であり、できれば避けるべき。本記事では、「いらっしゃいますでしょうか」が使われがちなシーンや言い換え表現を紹介します。
電話の対応をしている時、「○○さまはいらっしゃいますでしょうか」という表現を聞いたことはありませんか?
よく聞く言葉ですが、二重敬語にならないのか、正しい敬語なのか気になっている人は少なくないでしょう。
本記事では、「いらっしゃいますでしょうか」が正しい敬語なのか解説。よく使われがちなシーンや例文、言い換え表現も紹介します。
「いらっしゃいますでしょうか」は正しい敬語?
それではさっそく、「いらっしゃいますでしょうか」は正しい敬語なのか解説します。
「いらっしゃいますでしょうか」は二重敬語
二重敬語とは「尊敬語+尊敬語」「丁寧語+丁寧語」のように、同じ種類の敬語を重ねて使う表現を指し、誤った使い方とされています。
では、「いらっしゃいますでしょうか」は二重敬語になるのでしょうか?
「いらっしゃいますでしょうか」は、「来る・行く・いる」の尊敬語「いらっしゃる」、丁寧語の助動詞「ます」、疑問視「ですか」に推量を加えた丁寧語「でしょうか」から成ります。
丁寧語を連続して使っているため、二重敬語の定義に当てはまりますね。つまり、「いらっしゃいますでしょうか」は二重敬語であり、正しい敬語といえません。
正しくは、尊敬語+丁寧語の「いらっしゃいますか」となります。
ビジネスでは「いらっしゃいますでしょうか」を使う場面も多い
前述したように、「いらっしゃいますでしょうか」は敬語として正しいとはいえません。
しかし、実際には電話口などで「○○さまはいらっしゃいますでしょうか」のように使われる場面も少なくないでしょう。そのため、一般的な言葉として容認されているとも考えられます。
正確な敬語ではないとはいえよく使われる表現なので、使われ方や「いらっしゃいますでしょうか」への返答の仕方を知っておくと、ビジネスでは役に立つといえます。
「いらっしゃいますでしょうか」が使われやすいビジネスシーン(例文つき)
ビジネスにおいて、「いらっしゃいますでしょうか」はどのようなシーンで使われるのでしょうか。
(1)電話で相手への取り次ぎを頼む時
会社や部署の代表電話に架けて、目的とする人への取り次ぎを頼む際、「いらっしゃいますでしょうか」を使う人がいます。
例文
・「○○課の○○さまはいらっしゃいますでしょうか」
(2)訪問先で相手を呼ぶ時
取引先などの会社を訪問し、受付で担当者を呼んでもらう際も「いらっしゃいますでしょうか」が使われる場合があります。
例文
・「本日14時から○○さまと会議のお約束をしております、株式会社○○の○○と申します。○○さまはいらっしゃいますでしょうか」
(3)相手の名前を確認する時
「いらっしゃいますでしょうか」は、初めて会う相手の顔と名前が一致していない時などに、名前を確認する目的で使われることがあります。
・「○○さまでいらっしゃいますでしょうか」
「いらっしゃいますでしょうか」を正しい敬語に言い換えると?
「いらっしゃいますでしょうか」を正しい敬語に言い換えた表現としては、以下のようなものが挙げられます。
(1)「いらっしゃいますか」
前述したように、「いらっしゃいますでしょうか」は「来る・行く・いる」の尊敬語「いらっしゃる」、丁寧語の助動詞「ます」、疑問視「ですか」に推量を加えた丁寧語「でしょうか」から成ります。
二重になっている丁寧語を1つにして正しい敬語表現に直すと「いらっしゃいますか」となります。
(2)「お取り次ぎ願えますか」
電話口で取り次ぎを頼みたい時は、「○○さまにお取次ぎ願えますか」と表現することもできます。
▶次のページでは、「いらっしゃいますでしょうか」への返事の仕方を紹介します。