【No.27】和の文化を大切にするお酒マーケターの場合
いつも輝くあの人は、仕事でどんなバッグを使っているんだろう? バッグとその中身は、仕事への姿勢や価値観を映す鏡。企業で働くマイナビウーマン世代の女性をインタビューし、彼女たちの仕事バッグをのぞく連載です。
取材・文:ミクニシオリ
撮影:三浦晃一
編集:照井絵梨奈/マイナビウーマン編集部
シンプルなアイテムで揃えているのに、なぜかおしゃれな人がいる。
オフィスカジュアルという縛りの中では、どうしてもコーディネートがシンプルになる。ラクで無難ではあるのだけど、地味になったり、自分らしさが出しずらかったりするのはちょっと寂しい。
サントリースピリッツ株式会社のRTD・LS事業部で働く上田紗帆さんは、もともと広報部出身で取材現場への外出も多かったという。シンプルなセットアップに身を包んでいるのに、どこかおしゃれに見える彼女。
平日の出社コーデでもおしゃれな彼女は、自分とは何が違うんだろう。
上田 紗帆さん
2016年にサントリーホールディングス株式会社へ入社。サントリーのものづくり部門全体での横断的な企画・運営を経験。その後、広報部でメディア担当を経験した後、希望のマーケティング部署へ異動。近年人気が高まっているジンである、翠のマーケティングを担当。発売以降、男女幅広く若年層のトライアルを獲得しているブランド「翠(瓶)」から発売した「翠ジンソーダ缶」のブランド担当として、「ジンソーダ」をハイボール、レモンサワーに続く第3のソーダ割りとして浸透させるため、日々奮闘中。
「社外への外出も多い働き方なので、しごとバッグは大きめで機能感も重視。手土産を買った時でも収納できるサイズで選びました。ブランドは、キャリーケースなどビジネスバッグで有名な『ace』のもの。女性用ビジネスバッグの種類も多く、収納ポケットもたくさんついているので使いやすいです」
本革のリュックできっちりして見えるけれど、柔らかい色味に女性らしさも感じられる。上田さんの雰囲気にもぴったりだ。
●バッグの中身
1 社用PC
2 iPhone
3 名刺入れ
4 ポーチ
5 韓国のお土産で買った非常用ポーチ
6 秋田犬の巾着
7 ペン、ロルバーンのノート
8 ペンケース
9 博多土産の巾着
10 タオルハンカチ
11 財布
バッグの中身を広げてみると、思いの外カラフル。でもどこか統一感があるように見えるのはなぜなんだろう。
「ポーチやお財布など、人からのお土産や海外旅行の際の自分へのお土産として買った、地場のものが多いからでしょうか。旅行が趣味で、その土地の文化に触れることが好きなので、オーセンティックなアイテムを選んでしまいがちです」
たしかに言われてみると、どことなく和やオリエンタルなテイストのアイテムが多い。色味が多くても繊細な主張のアイテムが多いので、全体は大人っぽくまとまっている。
一番気になった博多土産の巾着の中身を覗くと、中からはおやつがたくさん。
「今は会社がフリーアドレス制で、デスクにおやつが置けないのでこうして持ち歩いています。小腹が空いた時につまむんですけど、和素材が好きなのでラインナップが渋いですね(笑)」
おやつ袋を自分で作っておくと、好きなものをちょっとずつ食べられるのがいい。上田さんの雰囲気がシンプルで大人っぽいだけでなくおしゃれにも見えるのは、こういう遊び心を持っているからなのかもしれない。和菓子が中心なので、つまみたくなっても背徳感がない。
お財布とポーチもオーセンティックなデザインのものが入っていた。
「お財布とポーチは、それぞれ海外旅行で買ってきたアイテムです。財布がイタリアの革製品店で、ポーチは韓国の出店だったかな。おっちょこちょいなので、休日バッグから荷物を仕事バッグに入れ替える時に、お財布を忘れてしまうことが多くて。ポーチの中には、非常用の現金やカードが入っています」
最近ではキャッシュレス化に伴ってスリムな財布を使っている人も多いけれど、あえて大きいものを選んでいるという彼女。非常用のお財布もいいアイデアだ。
ナチュラルな雰囲気のアイテムが多い中で、ひときわ目を惹いたのがこちらのブルーのアイテムたち。
「今私がマーケティング担当しているのが、SUNTORYの『翠』という国産ジンなんです。翠のイメージカラーでもあるターコイズブルーの名刺入れは、清澄白河の革製品店で一目惚れしました。ノートはキャラクターがかわいくて、エジプト展で衝動買いしたもの。こうして話していると、ほとんど直感でアイテムをセレクトしていますね(笑)。
でもなんとなく、面積を取るものはナチュラルカラーのものをセレクトして、小物にアクセントカラーを入れるようにしています」
ジンはもともと海外のスピリッツだけど、上田さんの担当している『翠』は日本人にも親しみやすいように、アクセントにゆずや緑茶などの和素材が使われている。親しみやすさとおしゃれさのバランスが、ちょっと上田さんに似ているような気もする。
「『翠』はもともと瓶でしか売っていなかったんですが、今年の3月には缶タイプのものが発売して、より手軽に手に取っていただけるようになりました。私もお酒は好きな方なのですが、翠はジンの爽やかさに、和素材のすっきりした風味が加わっているので、飲みやすくて大好きなんです」
缶のまま飲むのもいいけれど、夏は氷を入れて飲むとより爽やかになりそう。上田さんはしょうがやゆず、梅など、和の薬味を気分でアレンジして飲むのもお気に入りなんだとか。
「翠が飲みたくなるのは、早帰りのフライデーナイトかな。自炊した料理と一緒に楽しみたくなりますね。餃子など脂っこい料理の口直しにもいいですし、ささみの梅肉添えなど、テイストの似たものと一緒にすっきり楽しむのも美味しいんです」
ひと瓶買うのは勇気がいるけれど、缶なら手軽に試せそう。アルコール度数は7%で、缶チューハイの中ではどちらかと言えば度数は高い方。気になるあの人と、ロングタイプを半分こ……なんて妄想も捗る。
「もともと日本文化が好きで、学生時代から薙刀や弓道など、和の美しさに惹かれ続けてきました。時代はどんどん変わっていくけれど、バランスを取りながら、日本ならではの素材や価値を大切にしていきたいです。自分から希望して入ったマーケティング部で、最初に担当できたのがこのお酒で良かった」
上田さんが柔らかく、そしてどこかおしゃれに見えるのは、和の文化を大事にしてきた凛としたしなやかさを纏っているからなのかもしれない。日本や世界を歩き、培ってきたセンスが生んだ和洋折衷な魅力。それが、上田さんのおしゃれなアクセントの正体だった。
※この記事は2022年06月27日に公開されたものです